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アルビレックス新潟戦 試合前プレビュー(2022年 J2 第42節)

こんにちわ。ひだりです。

週中のホーム最終節、おつかれさまでした。

ただありのままの現在地を見る試合になりましたが、それはそれとして平日のクソ寒い夜の野津田に集まった約3000くらいのゼルビアサポ。

多くの方にいいねいただき、セレモニーの最後まで残っていた多くの方が同じようにあの場を見守ってたのかな…と思うと染みる敗戦のしんどさも少しは和らぐ気がしました……しんどいけど。

これから来る変容の風に畏怖を覚えつつ、目の前の今をやりきりたい最終節。
2022年天皇杯王者・甲府に続き、2022年J2王者・アルビレックス新潟との一戦です。なんて贅沢なシーズンラスト!

このプレビューについて

分析にあたってはDAZNで見られるアルビレックス新潟戦のハイライト+フルマッチ(前後半15分以降)をざっとチェックして、

・どんな戦い方を志向しているのか
・どんな形で失点しているか
・特徴的な選手は誰か

あたりを気にしながらチェックしています。

今回のフルマッチはCKで獲得したホームチームが虎の子の1点を守り切り首位チームに地をつけた直近の第41節ヴェルディ戦、お互い前重心vs前重心のがっぷり四つの様相を呈し1-1の痛み分けに終わった第39節山形戦をラッシュでざっとチェックしました。

アルビレックス新潟について

アルビレックスの試合を見ていると、攻守どの局面でも高い集中力を効かせる凄みを感じます。

攻撃はゴール方向へのベクトルを意識したポゼッションで、人数もしっかりかけてこぼれたボールを再度回収し、分厚い攻撃をしかけてくる。

ボールが相手に渡った瞬間、相手のパスコースと進行方向をふさぐ方向で、ボールホルダーにしっかり圧のかかるプレスが飛んでくる。
即時奪還してショートカウンター、または自分たちのボールポゼッションに回帰するところまで念頭に置いた「攻撃としての守備」という印象が強い。

舞行龍ジェームズ、千葉和彦の両CBが状況見てステイ&ボール保持時はしっかりラインを押し上げる。
サイドの藤原奏哉、堀米悠斗も高い位置を取って高、島田の中盤と連携して前進。
センターサークル付近でかなりしっかりとゲームの起点を作れるので、そこから前のアタッカー陣は、もうそれは充実していますよね……伊藤涼太郎、小見、イッペイシノヅカ、三戸、松田詠太郎、全員今シーズンのどっかでは活躍の名が流れたアタッカーの面々、最前線に決定力の高い谷口海斗、そして

感覚的には、CFやサイドアタッカーの数名以外、全員MFのようなサッカー。J2クラスなら他チームでボランチで出場できそうなレベルのスキル、判断力、賢さ、戦う力を持った選手ばかりでサッカーが構成されている印象です。

攻撃にも守備にも、リスクを覚悟しながらしっかりと相手ゴール方向へのベクトルで前進することを決してやめない、知ってはいましたが、今回振り返って試合映像を見てみて、改めて勇敢なチームだなと感じました。

最終節町田戦にかかっているもの

そして、アルビレックス新潟にとって今節の町田戦にかかっているものが、なかなか多い。

  • ホーム最終節

  • 町田には昨年から直近3連敗中

  • 昨シーズンの最終節(田中達也ラストマッチ)も対戦し町田の2-0勝利なので雪辱を晴らしたい

  • アルビレックスは勝てばJ2通算200勝を達成

  • 同日試合後にJ2優勝表彰式&最終戦セレモニーが開催される

  • J2優勝・J1昇格に意気上がる3万人超えの観客が集まる圧倒的ホーム感

J1へいざ!なモードで、前節ヴェルディ戦を落としていることもあり、今節はなにがなんでも勝利をもぎ取る覚悟を決めている印象は、報道・メディアを通じてもひしひしひしと感じます。

町田の超絶アウェイっぷり&「最近のいろいろ」から漂うゼルビアの絶対的ヒール感が胸熱です。チーム状態考えたらヒールもクソもないんですが、、。

さておき、これだけ意気の上がった優勝チーム相手に最終節ガチンコ勝負というのは、それ自体は非常に光栄というか、シンプルに面白いシチュエーション。

好材料というほどのものではないですが、2016年J2再昇格以降、町田は最終節に負けていません。

なぜか、というほどの理由が上げられるわけでもないですが、チームカラーというか、最後までやりきろう、という潔さを最終節に感じることは実際非常に多い印象はあります。

今季はその「やりきる」が徹底できない形で失速しており、ハッキリいって勝つのは実に簡単なことではありません。

それでも、今後の「変容」が予告された中で、これから変わっていくからこそ、この最終節のルーティンは、変えずにぜひともつないでいきたい伝統です。負けられません。

アルビレックス新潟の町田対策

ポゼッション+ハイプレスで主導権を握り倒す

基本的には、町田にあわせてなにか、という戦い方を変化させることはしないはずです。

最終盤の失速以降、町田の戦い方自体に息切れの傾向が見られており、新潟がこれまで築いてきたボールポゼッションと積極的なプレッシングで押し込むことで、町田側の焦りや判断力の低下を誘い、ミスを突き切れる瞬間を90分、粘り強く狙う。

「粘り強く」が効かない町田のチーム状況をふまえると、まずはこのシンプルで当たり前なことがそのまま脅威になります。

裏のスペースの管理

前進に勇気を持ってリソースを割く新潟にとって、エラーが発生した場合のカウンターはある種避けられない課題と言えます。

町田対策として新潟が引いてカウンターを狙う姿は考えづらいですが、町田の武器は基本的には「カウンターの鋭さ」にあるので、CB千葉あたりを中心に「ラインを下げる」という選択肢も持ち、守備時の対応として明確に組み込んでおきたい。

具体的には、攻撃時のCBによる裏へのボールへの対応と、カウンター時の槍となる町田の右サイド・太田修介への対応。

サイドバックとCB・ボランチで連携してのアルビレックス自陣の左サイドのケア。特に左SBは、ボールを持っていない時の上下動で、太田を守備に走らせる時間を増やす、前方向へラクに走らせない工夫を行いたい。

絶対新潟から点取るマンであるドゥドゥが累積警告で欠場な点は朗報(ゼルビアにとっては超悲報)

後半30分以降の選手起用

町田のゲーム終盤の集中力の瓦解は明らかなので、後半30分以降の交代で攻撃の目の変化は用意しておきたい。

終盤コージとか普通に効いてしまう。ホーム戦でのPK決められた時も75分交代で入ってきていた。DFですが時に謎のパンチ力を打ち出すトーマスデン投入とかも町田は苦手そう…。

UX新潟テレビ21のyoutubeチャンネルのライブ配信番組「はるかの気ままにアルビトーク」内の情報によると、新潟の松橋監督も今シーズン「ゼルビアへの敗戦でリズムが崩れた」みたいな談話を出していたこともあるそうで……監督レベルでのスカウティングは徹底的に行った上で試合に臨んでくるであろうことは間違いなさそうです。

町田のアルビレックス対策

正直、現状のチーム状態の前提

  • 65分以降のゲームコントロールできず、終盤耐えられない試合が多い

  • 交代策の活用方針が極めて不透明

  • ドゥドゥ不在

あたりを考えると、対策とかいう以前のところで問題がのさばっているところはあって「がんばれ……がんばれ」程度しか言えない感もあるのですが、逆に焦点はクリアな気がしなくもない。

コンパクトに戦う

求められるのは強度と集中力。アウェイ熊本戦のように、コンパクトさと際の強さで中盤でのボール奪取〜カウンターを狙いたい。

ラインを下げ過ぎれば新潟の思うつぼになる。

かといって上げすぎるほどの最終ラインの危機管理は現状期待しづらいため、ミドルサード付近を底に組み立てを行いたい。

ボール保持時の危機管理

ボールを持たれる時間が長くなると見込まれるが、フィジカル&ゲーム体力的な問題も考慮し、シチュエーションによってはボールを保持する時間を作りたい。

高江と安井の役割が重要。状況見て前後関係を入れ替え、前向きに圧力をかけてくる新潟DFを真正面から受けないよう留意したい。
中盤で相手守備を引き寄せた上で、空いたスペースや人にボールを展開したい。

ゴール前の創造力を

新潟の攻守の強度・バランスを考えると、各駅停車でボールをつないで打開することはまず難しい。
決めきるには相手守備の想像を越えるプレイが必要になる。

ゴール前で「これは止めようがない」というレベルのアタックが求められる。
ダイレクトプレー発動での局面打開が基本になるが、そこに終始しすぎるのは危険+新潟側も中央と裏をダイレクトで突いてくることを織り込んで対応してくるはず。

選手ひとりひとりの判断で、以下に相手守備の裏をかけるか。
パスルートがあってもあえてパスを出さずにシュートのもひとつの変化。
最近の試合では、ゴール前でやや他人任せにも見えるパスをカットされるシーンも散見される。

最後なのだからアタッカー陣は「この1試合でシュート5本以上打つ」くらいの目標で貪欲にプレイしてほしい。

新潟は、守備面でいえば構造的に整理された守備が行えるチーム。明確な守り方を持ったチームだからこそ、選手の創造力によって生み出されたプレイなら、守備ロジックを回避し急撃を打ち出せる可能性がある。

昨年最終節の海舟ゴール&ドゥドゥゴールも敵陣で相手の意表をつく形で奪ったゴール。

今年ホームの山口一馬ゴラッソも然り。

アタッカーの選手たちは、存分に自分のプレイを打ち出してほしいと思う。
安井も高江も平戸も太田も、その他ゼルビアの全選手に、サッカーを楽しんでほしいと心から思う。

まとめ

相馬ゼルビアにはじまり成熟を進め、鋭く、鋭く尖らせてきた「チャレンジャーとしてのサッカー」は、今シーズンで終わることになるのかもしれないと予感しています。

もちろんチームがチャレンジをやめるという意味ではありませんが、選手も資金も環境も、様々なものが足りない時代から、すべて揃っていく時代へ移行することで、エッジ効かせたスタイル一本槍でJ2を戦うには、限界が見えてきた。

今後の命題は、ある種「オーソドックスにサッカーが強いチーム」になること。
戦術的な引き出しを増やし、相手を見て、自分たちを理解して、試合全体の流れを読んで90分を通じて優位に試合を展開させていけるチームを目指していくことになる気がします。

それこそ今のアルビレックス新潟が表現しているような「どんな対策を打たれても、ここまでやれば勝ちきれて当然」と感じられるチームです。
それはおそらく、昨年のホーム磐田戦で、磐田相手に感じたものでもあります。

上のようなツイートをしていたこともあり、郡司さんの記事で、チーム内から「勝者のメンタリティ」の重要性が、このタイミングで語られたというのも驚きました。やや示唆的なものに感じられる。

すでにJ2は、そうした説得力のある強さを身に着けたチームでなければ勝ち抜けないレベルのリーグになってきているように思います。(甲府の天皇杯優勝がその難しさを証明してくれました)

オフシーズン以降の今後について確定してわかっていることはほとんどありませんが、そうした転換期への入り口としてふさわしいゲームを期待します。

ポポヴィッチ監督と作り上げたソリッドなサッカーで、この3年間のチャレンジの成果を見せてほしい。

泣いても笑っても今シーズン最後、どうせなら笑おう!全力で戦いましょう。共闘!


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