Advent calendar (12/21)

●12月21日●

「テギョンさん
イブのケータリング
何かリクエストある?」

ジェルミに声をかけられ
テギョンは首をひねる

「イブのケータリング?
何の話だ」

「何って
パーティーのディナーの話だよ」

ジェルミはそれが
当然の様に答えるが
約束した覚えはない

「今年は無理だ
仕事が入った」

「えっ?
そうなの?」

「あぁ
急な話で
俺も戸惑ってる」

時期的に仕事終わりに盛り上がって
打ち上げだの
忘年会だの
誘われる可能性も無くはない
とテギョンは思う

まぁ
誘われても
お断りだが

「そうなんだ
去年のイブは
あんなに楽しかったのに
テギョンさんだけ残念だね」

昨年のイブ
宿所でパーティーが行われた

ミナムとテギョンはほとんど口をきかないし
シヌもミナムを静かに拒絶していたし
ジェルミに至っては大切なバイクまで貸して
日々どんなに問い詰めても
ミニョの居場所を明かそうとしないミナムに
腹を立てていたし

そんな険悪ムードなメンバーの意志では無しに
イブパーティーは
セッティングされていた

最初は無理やり一同に会した事で
余計に空気は険悪になったし
開始後数分で散会になりそうなムードの
パーティーだった

が、そこにミニョが現れた

途端、みんなの表情が和らぎ笑顔があふれた

ジェルミは大はしゃぎで駆け寄り
シヌもゆっくりと近づいて微笑みながら頭を撫でた
ミナムは満面の笑みで親指を立てて見せる

ミニョは漫画にしたなら
まわりに汗を飛び散らせるあの感じで
困惑を見せながらも
照れ笑いを浮かべている

そんな光景を腕を組み無言で見つめながら
テギョンはかなり驚いていた

「座って座って」と嬉々として
ミニョを椅子に座らせた後

ジェルミはテギョンに駆け寄り
「テギョンさん誘ってくれてたんだ
ありがと!嬉しいよ!」

手放しの感謝を向けられるが
テギョンには覚えが無い
だからこんなに驚いている

唇に困惑をにじませつつ
ミニョを見ると

髪を耳にかけながら上目遣いに
テギョンを見つめ返し
ミニョはぺこりと頭を下げた

途端テギョンは隠しきれない笑みを浮かべ
それを誤魔化すようにまた首を傾げつつ唇を動かした

それ以降
ミニョを中心として
パーティーは盛り上がり

セッティングしたアン社長
そしてマ室長の思惑は
ひとまず達成された



「そっか
テギョンさんは出られないのか
残念だな」

繰り返しそう言いながらも
ジェルミはワクワクを隠さず
ぶつぶつ言いながら指を折りつつ
テギョンの元から離れて行った

元々パーティー好きなジェルミの事
少しも不思議ではないのだが

ひょっとして今年も
あいつも一緒のパーティーを・・・?

急に芽生えた焦りに
テギョンは困惑する

クリスマスイブまで
あと3日

何度コールしても応答のない電話に舌打ちし
テギョンはヒールの音を響かせ
足早に歩いて行った

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