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国道352号(枝折峠・樹海ライン)を堪能する

道路そのものが目的地になる旅もいいものだ。年間、私の何倍もツーリングに行っている方からお勧め&脅された道路がある。国道だが“酷道”でもあると。そのポイントは新潟県と福島県を繋ぐ国道352号の枝折(しおり)峠。

地図で見ると「ウッ・・・めっちゃ遠い…」 寄り道を考えると日の出から日の入りまでの超ロングコースだな。そこ以外にも地図を眺めていたら良さげなクネクネ道を見つけた。魚沼市と只見町を結ぶ“六十里越”と呼ばれる約40kmの峠道。六十里越雪わり街道とも呼ばれる国道252号。

まずはそこを往復。道路はそこまで酷くないがトンネルが暗い。暗いというより、そもそもトンネル内に照明がないのだ。入口から出口まで肉眼で確認できる距離なので不要と判断したのか? 直射日光で眼にダメージを喰らわないようダーク系のバイザーを付けているとセンターラインすら見えない。私のヘルメットはバイザーの下約2cmが隙間なので、顎をグッと上げ目線をその位置に固定して走った。まぁ面倒くさがらずバイザーを上げりゃいいだけなのだが。

トンネルで神経を少し減らしつつも全体的には眺望もよく楽しい街道だった。さて、本日のメインコース(ミッション)に移ろう。元の道路に戻って進路は南。途中の魚沼市では同じ雪国の米沢市との違いを感じさせられた。まず、家の基礎が背丈より上がほとんど。車庫は上半分が丸いカマボコ型で「屋根の雪を下ろす」という概念がないんだな。それだけの積雪ということだ。決して魚沼市民の前では積雪が多い自慢をしないでおこうと思った。

ようやく国道352号との分岐に出た。ここまでで既に6時間以上走ったぞ。そろそろ尻が愚痴を言い始めてきたな~ このまま無事に家へ帰れるのかと本気で考え始めた。まぁ来た道を戻っても同じ時間かかるのでミッション完結に向けて走り出す。

峠そのものは磐梯吾妻スカイラインのような感じで何ら酷道ではない。国道の中では酷いほうなのかもしれないが。小刻みにカーブが連続するので、軽いバイクならヒラヒラと舞うように駆け抜けられる。思い通りのラインで走られたら気持ちいいぞ~

酷道の洗礼を浴びたのは山側からの沢水。上手く道路下に排水されているところもあったが、大半は道路を横切るように垂れ流し。しかも流れやすいように溝が掘られているので、その深さを見誤った私は「ビシャッ!」と膝まで被っちゃったよ。「ひぃ~」 以後は沢水の度に速度を落として通過する。福島方面に走れば下流側、新潟方面は上流側。どっちがマシなんだろうね?

「落石注意」の看板もあったが目視できたのは2個のみ。そこだけを考えれば高畠町の国道399号(鳩峰峠)のほうが酷いぞ。普通にゴロゴロ落ちているから。もしかすると普段からそういう峠を走っているので352号が酷道と感じないのかもね。上には上があるってもんだ。

バイカーのマナー

他の方はどうなのか、私はバイクの日はなぜか道の駅に立ち寄りたくなる。今回も通り沿いの道の駅へは全て入った。天気の良い日は必ずと言っていいほどバイカーが居て「どちらから?」など話をしてくる。世間的にはバイカーは怖がられたり嫌われる立場だが皆んないい人たちだよ。

私はクルマも乗るが、峠では後ろに来たバイクには100%譲る。気持ちいい速度域が全然違う乗り物だからね。これもまたバイカーたちはハンドサインでお礼を送ってくれる。我が物顔で公道を走っているのはほんの一部。そんな輩はバイカーたちにも嫌われてるってもんだ。公道ではお互いさま精神で走るのが一番安全。

今回のツーリングでもプレッシャーをかけないよう十分な車間距離を保っていたのに前方のクルマは後ろに気づいて皆さん譲ってくれた。ありがたいことです。こういうマナーの良い方々だからこそ路上にゴミが一つも落ちていないんだね。

そんなことを考えながら会津若松市に抜ける分岐点で352号とはサヨナラ。街なかに下りてみて感じるのは服装選択の難しさかな。クルマは空調でコントロールできるが、バイクは精々ジャケットとパンツのベンチレーションで空気の抜けを変えるくらいだもんね。山と地上では体感温度が5℃は違うから悩ましい問題。

緑が全体に茂っている9月も悪くないが、これからの紅葉シーズンはさぞかし素晴らしい絶景を見せてくれるだろう。景色は美味しいものと一緒で、さすがに毎月となると飽きるからね。目の保養はたまにでいい。特に今回の総走行距離は下道オンリーで562km。正直ちょっとしんどかった(苦笑)。これをバカみたくぶっ飛ばさず無給油で走れたことに自分で自分を褒めてあげたい。おかげで燃費はリッターあたり53kmの新記録を叩き出したぜ!


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