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不測の事態に本性が現れる

ある美容師さんに起きた話。スタッフが病気療養で5日間不在になることを余儀なくされた。スタッフが1人欠けた状態では既にいただいている予約を全てこなせないので、日時変更できないか連絡がつくお客様に電話をしてみたとのこと。

すると・・・出るわ出るわ本性が。「なんであたしが変更しなきゃなんないのよ、他の人を動かしなさい!」とキレられたり、 落ち着いた声で「分かりました、もうそちらを利用しませんので」などなど。大半は快く応じてくださった方が多かったわけだが、まぁそんなん言われたらショックですよ。

確かにお客様自身には何の非もない。かといってスタッフも病気になりたくてなったわけでもない。こういう不測の事態に本性が現れるのだ。3年前には出入り口にデカデカと「東京の方お断り!」と張り出した飲食店があった。私はよく食べに行くお店だっただけに「あぁ・・・あの店主は差別的な考えを持つ方だったのね」とショックを受けたものだ。

毎回、最後の施術と覚悟せよ

上記の美容室で電話を掛けたお一人は「あら、そうなの…実はね今度のカットが最後になるかもしれないと思っていて」とお話しされたそうな。以前から体調が思わしくないのは知っていたが、大きな手術を控えているようだ。手術が上手くいっても、その後は抗がん剤治療が待っている。すると脱毛でウィッグになるかもしれないので最後のカットだったというわけ。もしかしたらそれが最期の会話となってしまう場合も考えられる。お店にとっては1回のカット。されど、お客様によっては覚悟の1回でもある。当院でも同じようなことが想定されるので再度気を引き締めて施術に当たらねばと思った次第。

全てのお客様が本音で話してくれるとは思わない。接客業に携わる方々にとってはあるある話だが「また来ます」の半分以上は期待しないほうがいいこと。「てめぇんとこにゃ金輪際来ねぇからな、覚えてやがれ!」なんて言って帰る人は皆無だろう。いろいろなお店があるが、気持ちはもうリピートしないと分かっているのに、大抵は心理的に相手から嫌われたくないスイッチが働いて「また来ます」と言ってしまうと思う。でもね、長年接客業をしている人にはそんなことバレちゃっているわけ。それを聞いた従業員は「なんか気を遣わせちゃってすいませんね」と思っているだろう。今まで文句タラタラ言っていた人が会社を辞める決心をした途端、急に周りに優しくなっちゃうパターンと似ている。

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