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子どもの「やる気スイッチ」 実はアノ人が鍵を持っている

先日、教職員の異動の発表がされた。担任が「いい先生」だったなら、さぞかし親子で悔しがっているでしょう。でも、卒業まで親以外の多くの大人と関わるのは悪いことではない。異動じゃなくても毎年クラス替えがあれば小学校だけで6人の教員と関われる。たった一年だけでも“本物の教育”を受けた体験は将来的にいい経験値となるはずだ。逆に下記のような教員に出会ってしまったら人間不信になりそうだけど…。

科学的根拠のある教育を受けているか?

「どこかの誰かの成功体験や主観に基づく逸話ではなく、科学的根拠(エビデンス)に基づく教育を」そう訴えるのは教育経済学者の中室牧子氏。私が尊敬する教員に薦められ『「学力」の経済学』を読んだ。

・テストでよい点を取ればご褒美をあげます。
・本を1冊読んだらご褒美をあげます。
どちらが子どもの学力を上げる効果を持つのか?
前者はアウトプット、後者はインプットに対しての報酬。この問いに関して私の予想は大ハズレ。まさかのインプットのほうに軍配が上がることに。

理由として「本を読む、宿題をする」といった方法が具体的かどうか。かたやアウトプットの報酬の場合、具体的な方法は示されていない。大人は自分で考えられるが子どもにはそれが難しい。その方法を教えるのは誰か? ここで教員の出番である。どんな質を持った教員が理想だろうか。

「いい先生」とは、昨年も今年もクラスの平均点が80点である先生ではなく、昨年の平均点は30点だったけれども今年は35点にできる先生。
ある子どもを、他の子どもや集団と比較するのではなく、過去のその子自身と比較して昨日よりも今日、今日より明日と伸ばしてやれる先生こそが、「いい先生」なのです。

教員へのご褒美は効果がある?

世界中では様々な実験をしているんだなぁ。アメリカでは給与やボーナスを成果主義にすることで教員の質を上げられないかと一定期間試みた。結果、効果は見られなかった。ご来院中の大学生は学習塾のアルバイトをしているが、この成果主義のお陰で時給が1.5倍になったんだけどなぁ。不思議なもんだ。人によりけり。

別の実験ではボーナスの「与え方」を2通りで比較した。
・生徒の成績の上昇に応じて学年末にボーナスを得られる。
・最初に一定のボーナスを得られるが、学年末に生徒が目標の成績を達成できなかったら与えたボーナスを没収される。
※どちらもボーナスの金額は同じ。

結果的に「ボーナスを失う」可能性のあったグループに教えられた生徒のほうが成績上昇した。「一度得たものを失うのは嫌」という気持ちのことを損失回避と呼ぶらしい。その実験に関わった教員のプレッシャーたるや尋常じゃなかっただろう(笑)。そう、「やる気スイッチ」の鍵は生徒自身ではなく教員が持っているのだ。

こんな簡単な方法で子どもの成績が良くなるのであれば導入しない手はない。費用対効果バツグン! なにせタブレット端末を買ったりといった余計な経費がかからないから。ただし、今まで公務員という立場にあぐらをかいていた結果を出せない教員の大量退職者が発生しそうだから現実的ではないだろう。


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