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令和3年 第26回岐阜県国保地域医療学会

第26回岐阜県国保地域医療学会は、令和3年11月13日(土)~令和3年11月21日(日)Web形式「オンデマンド配信」にて行われました。
メインテーマを「あたふたコロナからあふたぁコロナへ」として、29件の研究発表がありました。

当院の医師・看護師も多くの研究発表を行いましたが、今回、最優秀演題と優秀演題に選ばれましたので報告いたします。

最優秀演題

多職種チーム医療で変える周術期ケア ~ERAS導入で患者もスタッフも楽になりました~
国民健康保険飛騨市民病院 看護師 ○稲松絵美、小林洋子、大庭のりこ、逢坂ゆきみ、曽根恭子、松葉明美、医師 黒木嘉人、管理栄養士 日比野一輝、理学療法士 洞口拓也 古沢晃也、薬剤師 畑尻哲也

演題抄録
【目的】術後早期回復プログラムとして ERAS( Enhanced Recovery After Surgery)を導入することで、高齢化率 46%を超える地域にある当院で、高齢化した患者層に対応したスムーズな周術期ケアを目指した。
【方法】医師・薬剤師・管理栄養士・理学療法士・看護師による周術期管理チームを立ち上げ、現在のケアを見直し、ERASプロトコールに準じた周術期管理を導入した 。事前にスタッフに対しERASの勉強会を行った。
【結果】従来の管理下でのエビデンスのない処置を整理し、クリティカルパス・患者用パンフレットを作成した。手術 2 週間前のカウンセリングでは、栄養・リハビリ・服薬など各職種が専門性を生かしアプローチした。経口補水療法の導入や不要な下剤の廃止、経鼻胃管留置期間の短縮等は患者の負担軽減に繋がったとともに、点滴開始時間の見直しや前投薬の廃止などスタッフの負担軽減にも繋がった。術中からの疼痛コントロールと嘔気嘔吐予防、また患者と共に設定した離床目標によって患者自身も目標が明確となり、早期離床に繋がった。
ERAS導入前後の比較では、導入前4年間の全身麻酔下外科手術件数 142件、平均在院日数 29.6 日であったのに対し、導入後 1 年間では 11 件 、22.3 日と短縮することができた。
【結論】 ERAS の導入は、患者・スタッフ双方にとっての負担軽減に繋がり、高齢化した患者層においても早期回復に効果があった。

第26回 岐阜県国保地域医療学会 演題抄録集:PDFファイル

優秀演題

療養環境における不快な音の改善 ~患者、看護師の立場より~
国民健康保険飛騨市民病院 看護師 ○曽根恭子、今井晴美、中野亜李紗、後藤弘子、岩﨑美幸

演題抄録
【目的】療養環境における音が患者・看護師の不快に繋がっている現状がある。患者・看護師それぞれの立場より不快に感じる音について調査分析し、改善する。
【研究方法】
期間:令和 2 年 6 月 ~ 11 月
対象者:当病棟入院患者、病棟看護師
方法:
① 6~ 8 月看護師 2 3 名と退院が決定した患者 40 名にアンケートを実施
②アンケート結果をもとに不快 に感じる音を改善
③ 10~ 11 月看護師 23 名と退院が決定した患者 40 名にアンケートを実施
【結果・考察】アンケートの結果、患者・看護師共に不快に感じる音で一番多かったのはワゴンの音だった。ワゴンは車輪に問題があり修繕が難しかったため、新しい静音タイプの物に変更した。改善前、患者 7 名 (25% )・看護師 21 名 (91% )に対し、改善後は患者 2 名 (6% )・看護師 5 名 (22% )と 減少を認めたことから、不快を減らすことに繋がったと考える。
次に多かったのは看護師の話し声や足音だった。これは標語を作成し、看護師の休憩室やトイレなど目に入りやすい場所に掲示し周知した。改善前、患者 6 名 (21% )・看護師 16 名 (70% )に対し、改善後は患者 4 名(13% )・看護師 12 名 (52% )と減少を認めた。目にしやすい場所に掲示したことで、看護師の行動変容や意識付けに繋がったと考える。
【結論】不快に感じる音を改善することで、患者・看護師の不快を減らし療養環境の改善に繋がった。また、視覚からアピールすることで看護師の意識付けや行動変容に繋がった。

第26回 岐阜県国保地域医療学会 演題抄録集:PDFファイル

どちらの研究発表も、岐阜県国保地域医療学会のwebサイトにて全文ご覧いただけます。


岐阜県国保地域医療学会とは
この学会は、平成7年度より開催しており、岐阜県の国保診療施設関係者や市町村国保・衛生・福祉関係者により、 1年間の日々の取り組み等の研究発表、特別講演、シンポジウム等を行います。

引用:岐阜県国民健康保険団体連合会HPより