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メジロ押し

古本屋で仕入れた志村英雄、山形則男、柚木修共著『野鳥ガイドブック』(永岡書店、1989年)のメジロの項には、こちらのような「豆知識」が付されています。

大勢の人が押し合っているような状態を「めじろ押し」という。これはメジロの群れが、互いに体を密着して枝にとまる様子からつけられた。スズメなどは間をあけてとまる。

そう言えば、前にこんな写真を撮ったぞと引っ張り出してみたのが冒頭の写真。愛媛県松山市の岩堰にて。なるほど、体をぴったりと寄せ合っていますね。

同書の著者紹介の中で、豆知識は柚木修が担当したとあるので、おそらくメジロの豆知識も柚木氏の手によるものだと思われます。柚木氏は小学館『図鑑NEO』の鳥の執筆者として知られる方でした。

ちなみに、当方のネタ帳ともいえる杉本つとむ著『語源海』(東京書籍、2005年)には、以下のような引用が紹介されています。

洒落本『通気粋語伝』(1789年)から
見(けん)ぶつはめじろのをしおう(押し合う)ごとくさきをあらそふ
貝原益軒『大和本草』(1709年)から
小童おしあひて中なる者推出さるれば、又中なる者をおし出す戯をいふ→現在でいうおしくらまんじゅうのこと?

つまり、メジロの生態→①人が観光地、人気の店などで隙間なく押し合っている様子②おしくらまんじゅう、という2通りの連想が生まれ、現在のように行事や物事が次から次へと順番待ちしている様子などにも用いられるようになったようです。

いずれにせよマイナスの意味で用いられることはまずありませんね。(「難問が目白押し」とは言わない)そのあたりにも可愛いメジロさんのプラスイメージが関わっているのでしょうか。

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