前を向いて-look forward-
みんなが下を向いているから、私は前を向く。みんなありがとう。
いつもみんなのお陰で勉強できています、私。大して頭が良い訳じゃないけど、そこそこの成績をこれまで維持できているのもみんなのおかげ。
みんなが携帯電話に送られた記号やら番号やらが書かれた写真を必死に見つめる間も私は前を見ている。
前を向いていても、下を向いていても多分結果は同じだと思う。そんなことはいくら頭の回転が回らない私でも分かる。
でも、私は前を向いている。だって前に向いた時にしか見えないものがあるから。まだ知らないことに出会える時間に。そして、私だけが得られるものが。大概は他愛もないことだと思われるかもしれない。
でもね、この時間は今だけで、私の前に現れたスーパー成長タイムかも知れない。前に誰かいる限り、私は前を向いて生きたい。それがかけがえのない時間だと、後から振り返ったらきっと、思えるはずだから。
たまに私も下を向いてしまうことがある。そんな時はどこか落ち込んでたり、上手く調子が出なかったりしてる。1人の殻に閉じこもって自分思考スパイラルに陥っているらしい。
誰かを頼るのも何となく嫌だな、気が乗らないなって感じる。みんなもそうだと思う。
私は能天気な性格だから、時々しかそんな風に思わないかもだけど、毎日必死に頑張ってるんだよね、みんな。
だけど、私みたいにちょっとだけでも良いから前を向いて欲しい。
目の前にあるものや人に目を向けて、見つめて欲しい。
あの子と一瞬目が合って、軽く会釈されるかもしれない。先生の小噺にクスッと笑いが出てくるかもしれない。自分にしか見えないものが見えてきて、ちょっと気分が晴れやかになるかもしれない。みんなが前を向いていい事に出会えたらいいな。
「はーい。とっても良い声で読んでくれましたね!みなさん、拍手してあげましょう。」
はぁはぁ、私、音読なんていつぶりにやったのだろう。たまたま休憩中に書いていた日記を先生に見られたのが昨日のこと。先生が是非みんなに教えて欲しい、と言ってきて、断るというのもおかしいから今日HRの時間にみんなの前で日記を読むことにした。読み終えてふと思った。音読してた私、ずっと下向いちゃってたなぁ。
ふと前を見る。みんなの視線が優しく私に注がれている。
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