仮面

みんながマスクをつけるようになって、僕は学校に行けるようになった。
誰も僕に気がつかないし、僕はどこにでも自由に出入りできるようになった。
最寄駅から何駅か先の、降りたことのない駅に降りて、駅前を適当に歩く。
そういう時に、たまにマスクをしばらくの間外してみる。
なんだか露出狂みたいな気分だ。
僕は学校や地元ではもうけして晒さない顔を露に、背中がぞくっとするまで知らない街を歩き、気が済んだらマスクをつけて家路に着く。
朝焼けみたいな夕暮れがとても気分がいい。
僕はこの舞台に、いつ降りても登ってもいい、そんなキャラクターになれたんだ。

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