47都道府県ご当地エース大学を調べた
県庁所在地というものがある。
多くの都道府県においては、「県庁所在地＝県の名前＝最大都市」だが、これには多くの例外がある。実は県の名前を冠していない、実はもっと栄えている中心都市がある、など。
そんな感じで、「都道府県のエースとなる大学が、実は県の名前を冠していない」「名前を冠する大学の他に、よりエースというべき大学が存在する」という例があると面白いのではないかと思い、調べてみた。
さて、ここで重要となるのは「エース大学」の定義である。多くの場合、「都道府県の名前を関した国立大学＝最も人気が高い大学＝最も偏差値が高い大学」である。特に、象徴性や歴史という点ではこれに敵うものはなく、わざわざ調査をするまでもない。
そこで、便宜的に「エース大学＝最も偏差値が高い大学」という方式にする。なお、ここでいう偏差値は、ベネッセが運営するサービスであるマナビジョンの数値を参考にした。しかし、ここで問題になるのが医学部である。多くの大学において医学部は特異的に偏差値が高い。当然、医学部しかない大学は突出して偏差値が高くなる。そのため、普通に計算すると「医学部のある総合大学または医科大学だらけ」という状況になるので、特別ルールとして「医学部（及びそれに準ずる学部）しかない大学は除外」ということにした。
後述するが、医学部以外にもそのようなピーキーな特性をもつ大学は存在し、それが高い偏差値を記録している例はある。そのような大学は面白いので対象とした。
結果
以下、上のルールで算出した 47 校を述べる。詳しい考察は後で述べるので、別に読み飛ばしても構わない。
北海道大学、弘前大学、岩手大学、東北大学、国際教養大学、山形大学、福島大学、筑波大学、宇都宮大学、群馬大学、埼玉大学、千葉大学、東京大学、横浜国立大学、新潟大学、富山大学、金沢大学、福井大学、都留文化大学、信州大学、岐阜大学、静岡大学、名古屋大学、三重大学、滋賀大学、京都大学、大阪大学、神戸大学、奈良女子大学、和歌山大学、鳥取大学、島根大学、岡山大学、広島大学、山口大学、徳島大学、香川大学、愛媛大学、高知大学、九州大学、佐賀大学、長崎大学、熊本大学、大分大学、宮崎大学、鹿児島大学、琉球大学
王道パターン
まず、「都道府県の名前を関した国立大学＝最も人気が高い大学＝最も偏差値が高い大学」であるパターン。予想通りほとんどがこれである、冗長なので列挙は避けるが、47 都道府県中 34 都道府県がこれにあたる。
ほぼ王道パターン
旧国名
現行の都道府県名ではなく、旧国名を背負ったパターン。
信州大学
琉球大学
なお、県名を背負った長野大学は公立、沖縄大学は市立。沖縄は「沖縄市」も県庁所在地ではないし、とことん県名の影が薄い。
県庁所在地
都道府県名ではなく、県庁所在地の名前を背負ったパターン。
宇都宮大学
横浜国立大学
金沢大学
名古屋大学
神戸大学
なお、栃木県は、自治医科大、獨協医科大学などの私立の医科大学が多数存在し、偏差値的にはそれらが宇大を上回っているが、上記の医学部除外ルールに従い選外とした。
広域を名乗ってしまったパターン
県に飽き足らず、それを含む地方全体を名乗ってしまったパターン
九州大学
東北大学
とはいえ、どちらも、名前負けせず地域を代表するに足る名門大学といって差し支えないだろう。
余談だが、広域を名乗ってしまった系の最上位に亜細亜大学がある。アジアレベルだと、清華大学、北京大学、シンガポール国立大学などの、世界大学ランキングのTOP 10 に名を連ねたこともあるような超名門が存在するため、さすがにこれは名前負けと言わざるを得ない。
以降、面白いと思った大学を個別に述べる。
弘前大学（青森県）
めずらしく県庁所在地ではない。そして、国立であるのは弘前大学の方であり、青森大学は私立。なぜこのような経緯をたどったのだろう？
国際教養大学（秋田県）
英語に特化した超ピーキー大学が秋田県にあるらしい。特定技能に特化した少数精鋭の学校ということで、性格的には医学部とかに近い気がするけど、面白いのでこれを秋田県エースとする。
筑波大学（茨城県）
言わずとしれた研究者の町・つくば。もはや違和感もないが、よくよく考えると、県庁所在地をさしおいて都市名＋大学がエースとなる数少ない例のひとつでもある。更に言うと、県名を冠した国立総合大学である茨城大学よりも偏差値が高い。これはさすがにかなり珍しい、というか全国唯一な気がする。
都留文科大（山梨県）
山梨大学（国立）よりも偏差値が高い。ただ、これもある種のピーキー大学で、教育に特化した大学らしい。山梨大学の方が総合大学で理系学部もあるし、そもそも文系学部の偏差値にもそれほど差がないけど、なんとなく応援したいので都留文科大を山梨県エースとする。
奈良女子大学（奈良県）
なんと、奈良大学（私立）よりも、奈良県立大学（公立）（医学部除く）よりも、奈良女子大学の方が偏差値が高い。調べてみると、唯二の国立女子大であり、つまり東のお茶の水女子大と双璧を成す存在であるということだ。格が高い！
と言うか、奈良には「県名を冠した国立総合大学」はないらしい。地元志向のエリート奈良男子高校生はどこに行けばよいのか。まあ、お隣の大阪に行けばいいか……。
いわゆる「お受験」の範疇からは外れる余談になるが、奈良には NAIST があるので、研究方面ではそのイメージが強い。大学院大学を含めて話をすると、沖縄には、OIST という、東大以上の大学ランキングを持つ化け物大学があるので、琉球大よりもむしろがそっちがエースになるかもしれない。
雑感
王道パターンがほとんどを占めるのは予想できたが、私立が一校もリストアップされない、というのは予想外だった。一校ぐらい、地元の国立大学を押しのけてエースに君臨する地元最強私立大学があってもおかしくないと思ったが。
なお、選定基準は、ベネッセの偏差値データを基にしたかなり雑な判定であり、各地方の肌感とはかなりズレている可能性がある。与太話だと思って聞いてもらいたい。
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