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「シニアゆるトレ」で健康に 福祉用パチンコ台導入

矢本デイ・ちょ筋ばこ 男性関心 楽しんで運動

 自宅に閉じこもりがちな男性要介護者の利用率向上と継続につなげようと、東松島市矢本の機能訓練型デイサービス「ちょ筋ばこ」は、新サービス「シニアゆるトレ」を展開している。足こぎペダルと連動して玉が打ち出されるパチンコ台「トレパチ」、脳トレなどを楽しめるタブレットテーブルを石巻地方で初導入。継続的な運動に結び付けられるとして注目を集める。

 同施設は、やもと整骨院から法人化した㈱フェニックスエレメント(貴田義人代表)が平成27年に開設。ゆぷとなどが入る矢本駅前の複合施設1階を使い、1日2部制。各日定員10人で運営している。

 通所介護施設の利用比率は全国的男性3女性7と言われ、ちょ筋ばこもその傾向が見られていた。その大きな要因として、男性の地域コミュニティーの狭さが挙げられる。長年仕事一本で頑張ってきた人が多く、引退後の生活は「男が外に出るなんて」という考えも珍しくない。デイサービス利用への抵抗感もあり、お試し利用が継続利用につながらないとの課題もあった。

 このためケアマネジャーや施設利用者の紹介をきっかけに、男性一人でも目的意識を持ってゲーム感覚で楽しめる新たな介護予防サービスを導入。継続利用に結び付けたいと「シニアゆるトレ」を企画した。

 トレパチは、豊丸産業のパチンコ台「コマコマ倶楽部」と足こぎペダルを連動させ、足を動かすと球が打ち出される。液晶に同じ図柄がそろう「大当たり」後には、演歌歌手の坂本冬美さんの曲が楽しめるとあり、自然と画面の状況に夢中になり、利用者は苦と感じずにペダルをこいでいる。

 タブレットテーブルでは、反射神経を鍛えるタッチアプリ、計算や間違い探し、将棋にオセロなど脳トレや指先に刺激を与える認知症予防アプリを利用でき、既存のエアロバイクと連動した京都観光ゲームなども利用できる。ターゲットは脳梗塞後のリハビリ、変形性膝関節症などの介護疾患を持ち、閉じこもり傾向にある男性要介護者らだが、女性からも好評を得ている。

パチンコの演出を楽しみながら運動器具で汗を流せる

 要支援1の三浦正喜さん(91)=同市矢本=は通所3年目。「通うのは疲れると思っていたが、今では朝から張り切っている。運動で夜はぐっすり」と魅力を語る。トレパチなども活用中で「ペダルの重さを調整できるので、無理なく画面を楽しみながら運動できている。昔、パチンコをやったことがあるので、大当たりしても出玉を積めないのが少し残念」と冗談も。

 同施設管理者の佐京芽生さん(47)は「トレパチ利用の方々は普段の器具よりペダルをこぐ回数が多くなり、楽しみながら運動につながっている。楽しみながら続けられるよう今後も工夫したい」と話した。【横井康彦】

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