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高校生の熱意 大人動かす

石巻高3年の早坂さん ダンスイベント企画


 「ダンスで地域を盛り上げたい」―。石巻高校3年の早坂比呂さん(17)=石巻市蛇田=が思いを形にしたイベント「Spill(スピル)」が先日、シアターキネマティカ=同市中央=で初開催された。1人で企画し、地域の大人の協力を得て実施。圏域内外から来た50人がハイレベルなダンスバトルやショーを楽しんだ。会場運営に奔走した早坂さんは「準備や運営は想像以上に大変だったが、皆の楽しそうな顔が見られて感無量。今後も僕にできることで地域活性につなげていきたい」と話していた。【山口紘史】

企画した早坂さんはラジオでもイベントを周知した

 6歳の頃からストリートダンスに励んできた早坂さんは、昨年、圏域のダンス競技者の輪を広めるチーム「メイクボンズ」を結成。石巻川開き祭りにも出演するなど地域とのつながりを作ってきた。

 そんな中、キネマティカ運営者で石巻劇場芸術協会代表の矢口龍太さん(40)とつながり、同じ石巻高出身の縁で意気投合。早坂さんは「石巻を盛り上げるため、ダンスを通じたイベントを開きたい」と思いを伝え、矢口さんの後押しを受けたことが「スピル」開催の契機になった。

出演者も撤去作業協力

 企画運営の大半は早坂さん1人で実行。内容や日程調整、協力員の募集もちろん、会場賃料や景品購入費、審判員の謝礼など支出を賄うための収入(入場料)設定にも頭をひねった。周知用のチラシやポスターも自ら手掛けたほか、石巻日日新聞社にも協力を求めた。

 迎えた当日。ふたを開けてみれば立ち見客が出るほどの盛況。出演者の大半は仙台圏の高校生で切れ味抜群のダンスで魅了。トーナメント方式のダンスバトルも白熱し、審判は国内外で活躍する3人のプロダンサーが務めた。出演者は運営側の人員が少ないことを考慮し、会場の撤去作業も手伝うなどして早坂さんを支えた。

ハイレベルなダンスバトルなどが繰り広げられた

 仙台市から参加した高校生グループは「雰囲気が温かかった。石巻に来るのも初めてだったが、良い思い出になった。次回も期待している」と語った。

 当日は音響や舞台設営に追われ、ほぼ踊る出番がなかった早坂さんだったが、「皆の楽しそうな顔が見られて良かった」と満足。「濃密な物語を味わったような感覚で、僕も温かい気持ちになれた。とにかく協力してくれた皆に感謝」と笑顔を見せていた。


 当日はダンスを愛好する私も司会進行で協力した。早坂さんの熱量に押された形だが、その懸命さは「何か力になってあげたい」と思わせるものだった。きっと矢口さんをはじめ、運営に協力した大人も、審判員も同じ気持ちだったはず。頑張る子どもたちを地域が支える。そんな世代を超えたつながりこそが、地域活性化に欠かせない。

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