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東北代表に日本製紙石巻 7年ぶり日本選手権へ

都市対に続く〝ダブルドーム〟

予選決勝で七十七下す

 社会人野球日本選手権をかけた東北最終予選の決勝戦が9日、仙台市民球場であり、日本製紙石巻は7―2で七十七銀行(仙台市)を下し、7年ぶり3度目の本戦(10月29日から京セラドーム大阪)出場を決めた。大一番のマウンドを託された先発生長蓮は8回6奪三振2失点と好投。これに応えるように打線も奮起し、序盤と終盤の集中打で勝利をつかんだ。同じ年に都市対抗野球と日本選手権両方での本戦出場権を得るのは平成29年以来7年ぶりとなった。【山口紘史】

伊藤監督を胴上げし、本戦出場を喜ぶ選手たち

 日本製紙は二回、1死満塁から8番橋本優哉の左前適時打で1点先制。なおも2死満塁で1番小林俊輔が左翼線に落とす適時打で2点を加えた。五回に1点差まで詰め寄られたが、七回に主軸の水野隼翔、丹呉響平、小野悠介の3者連続適時打で4点を追加し、突き放した。

 生長は変化球を軸にした投球で相手打線を翻弄ほんろう。四回まで被安打1と安定感を見せ、五回のピンチも踏ん張った。最終回のマウンドに立った川合勇気も気迫の投球で圧倒し、最後は三振に仕留めた。選手たちは雄叫びを上げながら川合に駆け寄り、頭上にⅤサインを掲げた。

マウンド上で勝利の歓喜をあげる選手たち
優勝した日本製紙石巻のメンバー

 本戦出場を祝う胴上げで宙を舞った伊藤大造監督(58)は「春から攻守ともに、つなぐ意識で鍛錬を積んだ成果が出た。生長はよく投げてくれたし、その他の選手も都市対抗の悔しさをばねに成長してくれた」と評価した。

 日本製紙は、過去2度出場した日本選手権本戦でいずれも初戦敗退。伊藤監督は「まだ勝ったことがないので、まずは初戦突破を目標に戦う。あと約2カ月何ができるのか、チームで話し合い、準備していきたい」と話していた。

 日本選手権は、都市対抗野球と並ぶ社会人野球の最高峰。都市対抗が東京ドームで催すのに対し、日本選手権は京セラドーム大阪が会場。両方に出場することを俗に「ダブルドーム」と呼び、全社会人選手たちの目標となっている。

新人生長いきなが エースの風格

さえる制球と変化球

 7年ぶりに日本選手権本戦の切符をつかんだ日本製紙石巻。勝利の立役者となった先発の生長蓮投手は4月に入団したばかりの新人だが、夏以降、メキメキと頭角を現し、今やチームをけん引するエース。今大会(東北最終予選)の最優秀選手にも選ばれた。

勝利の立役者となった先発生長

 7月の都市対抗野球でも初戦のKMGホールディングス(福岡市)戦に先発し、5回3被安打9奪三振1失点で全国デビュー。8月のJABA長野大会では、都市対抗覇者の三菱重工East(横浜市)相手に九回途中7奪三振2失点と堂々の投球を見せ、いずれも勝利した。

 「都市対抗で東京ドームの舞台を経験したので、今日は緊張せずに投げられた」と生長投手。持ち前の制球力を生かし、序盤から中盤にかけてはチェンジアップを見せ球にストレートで押し、球威が落ちる六回以降はカーブなど変化球中心の投球で七十七打線を抑えた。「本戦は当然強い相手ばかり。1イニングでも長く腕を振り、勝利に貢献したい」と意気込んだ。

「つなぐ打線」後押し

 今季の日本製紙は切れ目のない「つなぐ打線」も魅力の一つ。高出塁率を誇る1番小林俊輔や長打力のある佐藤晃一、4番丹呉響平ら若手選手の活躍が目立つが、中軸の水野隼翔や俊足の小野悠介、巧打の橋本優哉らベテランも「ここぞ」という時の勝負強さが光る。

二回、先制適時打を放った橋本

 この日、先制打を含む2安打を記録した橋本は「皆で声を掛け合い、いい雰囲気で戦えている。自分がつなげば若手がさらに打ってくれる。個々のつなぐ意識が勝利につながっていると思う」と仲間への信頼をのぞかせた。日本選手権の目標については「目の前の1勝を積み重ね、8強以上を狙いたい」と話していた。


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