変化する力

進化論 ~変化する力=レジリエンス~

「祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり」という有名な書き出しではじまる平家物語は、平家の栄華と没落を描いた有名な物語である。

栄えたものは必ず滅び、権力を持ったものも長くその権力を持ち続けることはできないという、この世の無常をあらわしたものだ。

そして、平家滅亡においてその最大の功労者となった源義経もまたその数年のうちに没するのである。

1980年代の自然科学者チャールズ・ダーウィン(イギリス)が「種の起源」を書き表し、進化論を提唱した。ある種は、長い時間をかけて変化し進化する。そしてまたある種は、退化し滅するということが、「種の樹」であらわされていた。

奇しくも、そのことは平家物語にも通じ、科学の目と人生観がどこかで「樹」を同じにしていることも想像を拡げる。

さらに、現代の経済界に目を移すと多くの著名な経営者たちが生き続ける為の「変化すること」への絶対性を唱えている。日本では「富士フィルム」などがその変化を実行してきた代表格である。

一方、同じ写真フィルムで一時代を築いた米映像機器大手イーストマン・コダックは破綻した。百年以上も続いたこの企業が没落した要因のひとつが「変化することができなかった」ことなのである。

震災で被災し、変化を余儀なくされた私たち一人ひとりも、未来に向かうさらなる変化のために忍耐強く進まなければならない。

進化論から読み解けるのは、「最も力の強いものや最も頭のいいものだけが必ずしも生き残れるわけではない、変化に対応できるものが生き残る」である。

石巻日日新聞社 代表取締役社長 近江弘一

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