見出し画像

東北電力女川原発 2号機の安全対策工事完了

 東北電力は27日、女川原発2号機の安全対策工事が完了したと発表した。再稼働は9月ごろ、営業運転開始は10月ごろを想定し、今後は原子炉への燃料挿入と起動に向けた検査や試験を行う。再稼働すれば、東京電力福島第1原発と同じ沸騰水型軽水炉としては初めてで、被災地の原発としても初となる。東北電は「安全確保を最優先に、地域にも丁寧に説明しながら、再稼働へ全力で取り組む」としている。

 安全対策工事は震災後の平成25年から実施。想定される最大級の津波に備えて防潮堤の高さを海抜約29㍍(総延長800㍍)にかさ上げしたほか、緊急時の電源確保で高台にガスタービン発電機を設置し、事故時に原子炉格納容器の圧力を下げて破損を防ぐフィルター付きベントを設けるなど対策。原子炉建屋内の電線管が火災で損傷しないよう断熱材などで補強も行った。工事費は約5700億円。

9月ごろ再稼働へ大詰め

 9月ごろの再稼働へ、作業は大詰めを迎えている。今後は原子力規制委員会の使用前確認や重大事故を想定した訓練が予定されており、7月ごろには原子炉に核燃料を挿入するなど準備を進める。

 これとは別に令和8年末までにテロ対策の「特定重大事故等対処施設」を約1400億円かけて建設する予定。テロ対応への訓練も同時進行で行っていく。

防潮堤の工事について説明を受ける立地自治体の職員ら(令和4年12月)

 工事完了について東北電の樋口康二郎社長は「引き続き、安全確保を最優先に一つ一つのプロセスにしっかりと対応し、13年ぶりとなる再稼働に向け、確実かつ丁寧に進めていく。地域の皆さんにも当社の取り組みを分かりやすく丁寧に説明する」とコメントした。

 立地自治体の一つである石巻市の齋藤正美市長は「これまでも安全確保を優先した取り組みを求めてきたが、今後行う各種試験や検査もしっかり対応し、安全性のさらなる向上と地域への丁寧な説明、情報発信を果たしてほしい。引き続き県や女川町と連携して発電所の安全確認に努める」と談話を出した。
【山口紘史】

最後まで記事をお読みいただき、ありがとうございました。皆様から頂くサポートは、さらなる有益なコンテンツの作成に役立たせていきます。引き続き、石巻日日新聞社のコンテンツをお楽しみください。