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岩手県一関市にある隠れ宿「果実の森」全室に源泉かけ流し檜風呂

 石巻日日新聞社が3月25日に発行した大人世代の情報誌「おとなDAYS」。創刊号では石巻市を代表する日和山にある2件の茶屋を紹介した。8ページの中に旅や経済、昭和レトロなどの企画記事があり、他の情報誌を寄せ付けないほど文字の大きさにもこだわった。

◆おとなDAYSの読者「館内も紹介して」

 読者反応も良く、「眼鏡をかけなくても読める」「レイアウトがきれい」「日和山に行ってみたくなった」などの感想が続々。記事だけでなく、豊かな広告に対する意見もあり、岩手県一関市にある隠れ宿の果実の森には「館内を紹介してほしい」という声があった。

①おとなDAYS創刊号で広告掲載後、問合せ殺到

おとなDAYS創刊号で広告掲載後、問合せ殺到

◆石巻市から1時間20分

 広告に「石巻から三陸道で2時間の旅」とある。「では行ってみるか」。読者の質問に応えるべく、休日を使って三陸縦貫自動車道路を北進した。石巻市から一関市までは一関街道を使えば2時間弱。意外と近い。三陸道が延伸してからはさらに距離が縮まり、登米インターチェンジを降りて国道342号を進めば一本道。時間にして約1時間20分。JR石巻線、東北本線を利用しても同じぐらいであり、もはや仙台市に向かうのと大して変わりない。

◆街なかで楽しむ黒と灰の珍しい湯花

 果実の森は一ノ関駅前から車で約10分。幾分小高い山の途中にある。アジアンと和の融合と言うべきか。異国情緒の中に和の雰囲気が広がる。すぐにスタッフが現れ、にこやかな笑顔を見せる。アポなしの突撃取材だったが、断られることなく支配人の高橋弘樹さんも快諾してくれた。

②果実の森の外観は和とアジアンの融合

果実の森の外観は和とアジアンの融合

 館内を案内してくれたのはフロント事務の遠藤知代さん。宿泊施設の果実の森は2018年11月にオープンした宿。全室に源泉100%かけ流しの青森県産檜風呂が付く。隣接する山桜桃の湯は17種類のお風呂が楽しむことができ、果実の森の宿泊者は自由に使うことができる。

④木々の揺らぎを感じながら足湯が楽しめる

木々の揺らぎを感じながら足湯が楽しめる

 先に案内されたのが桃の湯。ロビーの脇に劇場があり、役者たちの観劇は無料だが、現在は新型コロナウイルスの感染拡大防止で休演。レストラン、ラーメン店など飲食店も充実している。風呂は岩風呂やシルク風呂、壺風呂、女性用には天空露天風呂もある。

③新型コロナの影響で現在は休演中だが、再開すれば役者のステージが間近で楽しめる

新型コロナの影響で現在は休演中だが、再開すれば役者のステージが間近で楽しめる

 ここの風呂には黒と灰色の湯花が浮遊、沈殿している。いわゆる秘湯と呼ばれる山奥の温泉で目にすることはあるが、街なかの温泉では珍しい。桃の湯は温泉ソムリエのお墨付きを得ており、説明文にはソムリエの署名入りで「入浴後も温泉成分が3時間も皮膚からの浸透効果が持続するため、皮膚の弱い方以外はシャワーを浴びずに、そのままおあがり下さい」と記されている。
 もちろん館内説明を受けた後、桃の湯の入り口から入り、一般客として入浴。その効果を肌で感じたことは言うまでもない。
 話は戻り、桃の湯には宿泊もできる。リーズナブルなベッド、畳式の部屋からリビング付きまでスタイルに合わせて選ぶことができる。食事を付けることもできるが、素泊まりも可能。選択肢はいかようにもある。

⑤桃の湯の宿泊はリーズナブル

桃の湯の宿泊はリーズナブル

 桃の湯と果実の森は廊下で結ばれ、途中でジャズが流れる一室があった。「ここはコーヒーを飲みながらジャズが楽しめる喫茶室です」と遠藤さん。食事を楽しみ、部屋の温泉につかり、ふらり廊下に出て喫茶室に立ち寄る。流れるジャズを聴きながら椅子にもたれて物思いにふける。そんなぜい沢な時間も楽しめる。

⑥果実の森にある喫茶室。ジャズを楽しみながらコーヒーを楽しむ。至福の時だ

果実の森にある喫茶室。ジャズを楽しみながらコーヒーを楽しむ。至福の時だ

◆夜は木々のライトアップ 朝はリスの鳴き声

 次はいよいよ客室巡り。全37室あり、全て檜風呂付。1階の客室には露天風呂まで備えられている。夜はライトアップされた木々が自然の雄大さを感じさせる。「リスの鳴き声を聞いたことがありますか。ここではよく聞こえますよ」と遠藤さんの声も弾んだ。

⑩檜風呂は全室完備。独り占めできるなんて幸せだ

檜風呂は全室完備。独り占めできるなんて幸せだ

⑪1階の部屋には露天風呂も完備。檜風呂と合わせ2種類の風呂が各部屋にある

1階の部屋には露天風呂も完備。檜風呂と合わせ2種類の風呂が各部屋にある

 部屋は廊下も含めて全てバリアフリー。どの世代にも使い勝手が良く、アメニティグッズも充実。フロント脇にはシャンプーバーまであり、髪質に合ったシャンプーが選べるほか、色とりどりの9種類の浴衣もどれにするか迷うほど。無料のマッサージチェアー、ランドリコーナーも完備しており、長期滞在も可能だ。

⑧客室は全てバリアフリー。誰にでも優しい造りと広さが魅力

客室は全てバリアフリー。誰にでも優しい造りと広さが魅力

⑨椅子の多い部屋もある。これなら畳に座るのが難しい人もこれは便利だ

椅子の多い部屋もある。これなら畳に座るのが難しい人もこれは便利だ

 外に出れば広い庭園が広がっており、春の桜から秋の紅葉まで彩が楽しめる。専用ハウス内で育った完熟の果実をもぎ取ることもでき、それを夕食のメニューに組み込んでもらうこともできる。夕食はコース料理で県産黒毛和牛ステーキや三陸産の魚介類、自家菜園で栽培した有機野菜もふんだんに使用。ビールや地酒との相性も抜群だ。
 新型コロナウイルスの感染拡大は全国に広がっているが、4月21日現在、岩手県での感染者はゼロ。日本でも唯一だ。人口密度の低さや広大な土地が感染を防いでいる可能性もあるが、実際に訪れて感じたのは、県民の意識の高さ。発症者がいないにも関わらず、密閉、密集、密接のいわゆる〝3密〟回避を徹底しており、営業時間の短縮や消毒液の設置など気の緩みがない。

◆満足の行く時間がここにある

 もちろん果実の森、桃の湯ともに感染対策に力を入れている。新型コロナ禍が終息してから訪れるのもよし、喧騒を離れ、家族など少人数で部屋風呂を使いながらゆったり過ごすのもよし。きっと満足のいく時間がここにはある。【外処健一】


▽果実の森=岩手県一関市赤荻字笹谷393―6(0191ー34―6600)

▽山桜桃の湯(0191―33―1118)


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