見出し画像

過疎地域の定住へ若者の声

石巻市 20―41歳が意見交換

 人口減少が進む石巻市は6日、過疎地域の若者を集め、どうしたら地元に同世代が暮らし続けることができるかを聞く意見交換会を初開催した。地域ごとの課題はある程度共通し、仕事、住まい、交通、娯楽など。魅力には海・山の自然景観や人のつながりが挙げられた。市は今後、出された定住の方策を精査し、できること、できない理由を市長から返答する。

 旧1市6町のうち河北、雄勝、桃生、北上、牡鹿出身の若者を募った意見交換会。市役所近くのささえあいセンターを会場に、20―41歳の男女28人が参加した。

 平成17年の合併時に17万人を超えていた市の人口は、東日本大震災もあって4月末現在13万3393人。うち河北9330人、雄勝1030人、桃生6318人、北上2032人、牡鹿2010人となっている。

地元にないものや魅力を挙げていく参加者

 年間の出生数は合併時の1241人に対して601人と半減した一方、亡くなる人は2千人超。こうした少子高齢化に加え、転出超過が続く。市の人口は昨年だけでも約2千人減っており、将来の「消滅可能性自治体」にも分類されている。

 意見交換でははじめに、市がこうした現状を紹介。子育て支援や市内への移住・定住策を講じているが、効果を上げていないという。

 これを踏まえ参加者は、地域ごとに机を囲み「地元に足りないこと、嫌なこと」「地元の魅力」を意見交換。自然豊かなのは観光客に良くても住民には不便で、「車がないと生きられない」「仕事がない」「子どもの遊び場が少ない」との声が出された。地域によっては店や病院、道の求めがあった。

できること精査し返答

 唯一無二の学校や地域づくりの提言もあり、岡浩復興企画部長は「ヒントになることがいっぱい。働く場は大事だが、どういう企業なら働きたいのか具体的に教えてほしい」などと頼りにした。

地域ごとに出た意見を発表する参加者

 北上出身で市内在住の佐藤茉美さん(27)は「皆が考えていることが言語化できるいい機会」と参加に満足。住み続けたい気持ちはあり、「地元の努力だけではできないことが多く、市全体として予算をかけた方策がいる」と望んだ。

 「過疎地域と言われることは気にしない。その通りだから」と言うのは桃生の渡邊翼さん(21)。地元で手に職をつけた兼業農家を目指しており「不便なところもあるけど、悪い場所ではない」と人のつながりを大事にした。雄勝出身の山下知晃さん(36)は「今あるものを生かして発展していければ」と古里に願った。【熊谷利勝】

最後まで記事をお読みいただき、ありがとうございました。皆様から頂くサポートは、さらなる有益なコンテンツの作成に役立たせていきます。引き続き、石巻日日新聞社のコンテンツをお楽しみください。