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大漁踊り支えて半世紀 岡さん

後進の指導も熱心に

 勇壮なみこしと元気な小学生の鼓笛隊、心躍る吹奏楽の演奏にダンスの披露。目抜き通りを舞台にしたパレードは、石巻川開き祭りの陸上行事の目玉だ。トリを飾るのが港町らしい「大漁踊り」。石巻市中里で生花店を営む岡静男さん(70)は、長く実行委員会陸上部の委員として大漁踊りを支えてきただけでなく、太鼓のたたき手として盛り上げてきた。
 郷土民謡「斎太郎節」と「遠島甚句」からなる「大漁唄(うた)い込み」に合わせ、男女が浴衣や法被姿で舞う大漁踊り。市制施行40周年記念で昭和48年に始まり、陸上パレードのフィナーレを飾る行事として定着している。川開き祭りが今年100回の記念なら、大漁踊りも半世紀の節目だ。
 企画の始まりの中心を担ったのが石巻青年会議所で、岡さんも「太鼓をたたかせてくれるのなら」と加わった。誰に教わったわけでもなく、地域の祭りで太鼓をたたくのが好きだったから。市民総参加を目指した取り組みで、第1回は約500人が踊った。

太鼓を指導する岡さん

 初期の大漁踊りは生の歌唱と演奏。声がもたないということで後に録音した音になり、やがて輪踊りからパレード形式の流し踊りになった。民謡舞踊の流派は数あるだけに、今の振り付けに落ち着くまでには苦情もあったという。ゆっくりな所作は退屈に映る人もいて、創作部門の創設など試行錯誤を重ねては消えていった。
 「ここまで来たら伝統だよね」と岡さん。川開き祭りの節目と経営する店の創業50周年記念で大漁唄い込みの音源を新しくし、作製したCDを川実行委員会に寄贈した。歌い手は地元民謡歌手の瑞穂あけみさん。それまでの男声から女声になり、より親しみやすくなった。
 生歌でなくなって久しいが、沿道での太鼓の演奏が今も続く。昨年は岡さんを含む3人が3カ所で演奏。たたき手も少なくなっており、岡さんはここ数週間、新たに習いに来た人に熱心に稽古をつける。スローな分、とっつきやすい大漁踊りは市民総参加の祭りの象徴。末永く続くことを願いながら。
【熊谷利勝】

 【メモ】大漁踊りは6日午後6時、アイトピア通り石巻商工信用組合前をスタート。1団体約30分、立町大通りの七十七銀行前までの約500㍍を踊り歩く。参加団体は昨年の倍以上の15団体約600人。陸上行事だけなく、3日間にわたった祭りも締めくくる。


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