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ふるさと賛歌「六ヱ門音頭」 サン・ファン号に思いはせ 石巻フォークキャラバンに聞く

 かつて石巻市内の祭りなどで歌われた「六ヱ門音頭」を覚えているだろうか。明るいメロディーは盆踊りでもよくかかっていた。六ヱ門とは、伊達政宗の命を受けた遣欧使節を率いた支倉常長六右衛門のこと。同市で復元船サン・ファン・バウティスタ号の解体反対運動が展開される中、あの歌をもう一度思い出してみませんかー。【本庄雅之】

もう一度口ずさもう

「六ヱ門 六ヱ門 君の手に持つ 望遠鏡 未来の世界が見えるかい」―。

 何となく元気が出そうな歌声が2月から3月にかけ、ラジオ石巻の番組から流れた。曲は、平成23年に解散した地元を代表するフォークグループ「石巻フォークキャラバン」のオリジナル。歌ったのは当時の代表メンバー、飯田利通さん(79)=同市築山=だった。

 番組のパーソナリティーを務める飯田さんが「サン・ファンがなくなるかもしれないんだな」と思って選曲したという。平成5年に復元船が完成したのに合わせ、創作した。

六ヱ門音頭を歌った飯田さん

ラジオで歌った飯田利通さん

 飯田さんは「歌いやすいし、みんなで歌うのにちょうどいい。呼ばれて、いろんなところで歌いましたよ」と懐かしむ。サン・ファン広場で歌い、その流れで復元船の中を見物したこともある。「船室が意外に小さく、外国人と一緒で相当にせまかったのでは」と思いをはせた。県の解体方針に「維持するのが難しかったんでしょうね」と語った。

 「六ヱ門音頭」を作詞作曲し、メインボーカルをとっていたのは、キャラバンの矢口清志さん(75)=同市茜平=。実は、支倉常長をテーマにした作品は7曲あり、全て矢口さんが手掛けた。

六ヱ門音頭を作詞作曲した矢口さん

作詞作曲した矢口清志さん

 サン・ファン号の進水に向け、コーラスグループの「石巻メンネルコール」から依頼され「サン・ファン・バウティスタ号讃歌」を作ったが、「もっと親しみやすい曲を」と「六ヱ門音頭」を創作した。

 婦人会などの協力であちらこちらの祭りでかかり、中心市街地ではパレードが行われるなど「随分はやりましたよ」と矢口さん。その後、曲を知る人たちが高齢化したこともあり、次第に忘れられていったという。

 復元船の現状に「木造船を維持、管理していくのは大変。いつかぶつかる問題と思っていた」という。「政宗の発案で月ノ浦から出航した。石巻のアイデンティティかというと疑問だが、歴史は伝えていかなければ」との考えを示した。

 それでも「曲に関心をもってもらい、使われるのはうれしい。いつでもどうぞ」と大歓迎。石巻人による郷土に根差したオリジナルソングが埋もれるのは、もったいない気がするのだが。


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