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石巻日日新聞

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石巻市・東松島市・女川町の話題を掲載している夕刊紙「石巻日日新聞」のnote版マガジンです。とっておきの地域情報と過去記事などのアーカイブ。無料と有料記事があります。ぜひぜひフォ…
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2023年3月の記事一覧

花火打ち上げ7割「開北」希望 川開き祭り市民アンケート 100回記念 前夜祭も調整

 第100回の記念大会となる今年の石巻川開き祭りは、当初の8月5、6日に加え、4日に前夜祭を行う方向で調整が進められている。最大の呼び物の花火大会は5日とし、前夜祭も中瀬で供養花火を打ち上げる予定。花火大会の会場は3カ所の候補地に一長一短があって決まっていないが、実行委員会が市民から募ったアンケートでは回答者の約7割が前年より上流の開北橋付近を望んだ。  花火大会の打ち上げ候補地は、中瀬公園と開北橋下流、石巻南浜津波復興祈念公園。アンケートは2月13日から今月10日まで、実

先生ありがとう 石巻地方で離任式 石巻小 見送りの花道

 石巻地方の小中高校は、教職員の定期人事異動に伴う別れの季節を迎えた。各校で退職や転任する教員を送る離任式があり、石巻市立石巻小学校(川田知宏校長・児童382人)も29日に実施。児童は寂しさを感じつつも離れる10人の教諭や支援員を笑顔で見送った。  体育館であった式では5年の小山内葵さん、梅村萌愛さん、鈴木希空さんが児童代表で送る言葉を述べ、「先生方との別れは寂しいが新しい学年・クラスで頑張るので遠くから見守ってほしい。いつまでもお元気で活躍を祈っている」と感謝を伝えた。

ひまわりの種がつないだ縁 「冬のファンタジー」のカズン 石巻を初訪問

 冬のファンタジーなどの楽曲で知られるポップスデュオ「カズン」の古賀いずみさんと漆戸啓さんが26日、石巻市の「がんばろう!石巻」看板前で手を合わせた。2人は5月24日にマルホンまきあーとテラスでコンサートを開く。「石巻の方々に素敵な時間を届けたい」と語った。  カズンは、平成7年にデビューしたいとこ同士のデュオ。ビール飲料のCMソングに起用された「冬のファンタジー」のほか、「風の街」「ひまわり」など多くの人気曲を出している。  今回は民主音楽協会主催で、福島県郡山市、仙台

映画文化をまちなかに 名作「ひまわり」上映 石巻名画座 好調な船出

 名作映画の鑑賞を楽しむ「石巻名画座」が25―26日、シアターキネマティカ=石巻市中央=で初めて開かれた。上映されたのは昭和45年に公開されたイタリアなど4カ国合作映画の「ひまわり」。計5回の上映に約150人が訪れた。  イベントを仕掛けたのは、同名画座代表の本庄雅之さん(63)。高校まで石巻市で暮らし、東京のスポーツ紙で芸能記者、デスクを務めた。令和3年にUターンし、石巻日日新聞社で記者として活躍。昨年8月に引退後、情報誌「石巻学」の発刊にも関わっている。  昭和期から

女川町 4年ぶり津波伝承復幸男 「逃げろ!」の合図で高台に 町内外106人全力疾走

 女川町で25―26日、「おながわ春のまつり」(同実行委主催)が開かれた。津波襲来時に高台避難の教訓を伝える「津波伝承女川復幸男」では、参加した町内外の106人が町役場南側から女川小中学校校庭までの約250メートル(高低差約25メートル)を駆け上がった。1位の小島涼太郎さん(22)=福島県福島市=に「1番復幸男」の称号が与えられた。  春のまつりは、4年前にファイナルを迎えた「女川町復幸祭2019」の思いを引き継いだ企画。道の駅おながわ開業2周年に合わせ、コロナ明けの観光回

「6枚の壁新聞」展示 未来屋書店石巻店 若い世代の反響大きく

 震災直後、石巻日日新聞社が手書きした「6枚の壁新聞」がイオンモール石巻内の未来屋書店石巻店で展示されており、うち1枚は現物が飾られている。特設コーナーに震災関連書籍26冊が並び、新書や絵本なども豊富にそろえた。4月半ばごろまで展示されている。  同石巻店のコンセプトは「子どもたちの知の拠点」。市内に博物館などが少ないため、「子どもたちの学べる場所になれたら」との思いが込められている。  毎年、3月11日が近づくと東日本大震災の特設コーナーを設けているが、壁新聞の展示は今

3度の日本一で有終の美 サックス奏者菊地恋さん(石巻西高) 夢は飼育員 専門学校へ進学

 サックス奏者による全国規模の大会「第9回Kサクソフォーンコンクール(Kサクソ)」の動画審査部門高校生の部で、石巻西高校3年生でソプラノサックス奏者の菊地恋さん(18)が日本一に輝いた。Kサクソで頂点に立つのは3度目。抜群の安定感と演奏技術の高さ、表現力の豊かさなどが審査員から高評価を得た。  小学5年時にサックスを始めた菊地さんは、湊中吹奏楽部時代の顧問だった加藤仁久さん(68)の指導で腕を磨き、国際大会でも入賞するほど。Kサクソも加藤さんの勧めで参加した。  演奏曲は

大型のミンク1頭捕獲 小型商業捕鯨 鮎川漁港 陸揚げで活気

 石巻市の鮎川漁港に16日、沿岸小型商業捕鯨で捕獲されたミンククジラ1頭が陸揚げされた。同漁港では2年ぶりで、3月の陸揚げは初めて。15日に今年の操業を始めたばかりであり、幸先の良いスタートにクジラのまちは活気に包まれた。  近年の海水温の変化からクジラの北上が早くなると予測し、これまでよりも2週間早く、初めて3月に操業を始めた。(株)鮎川捕鯨(伊藤信之社長)=同市鮎川浜=所属の第3大勝丸は、16日午前9時15分に県南の亘理沖で体長7・53メートルのオスのミンククジラを発見

ボランティアがいたから 物心支援に尽きぬ感謝 石巻市渡波 高橋 のり子さん

 石巻市渡波字栄田にある㈲高橋電気商会の高橋のり子さんは発災当時、事務所内で強い地震に襲われた。「柱にしがみつくのがやっと。上からエアコンが落ちてこないかおびえていた」と振り返る。大津波警報を受けて内陸に孫を連れて避難。この間、無人の店に津波からの避難者が垂直避難先を求めて押し寄せ、30―40人が2階に登って難を逃れた。「店に命を救われた」と、12年過ぎても避難者の感謝は絶えない。  同商会は昭和49年創業。石巻市立女子商業高校や渡波中学校の真向かいで、中間を国道398号が

有事も〝家族〟と一緒に避難 しつけと責任は常に アニマルクラブ石巻代表 阿部 智子さん

 大規模な自然災害が起きた時、ペットのケアは後回しにされることが多い。だが、飼い主にとって大切な家族の一員であることに変わりはない。まだ見ぬ次の災害に向け、東日本大震災から何を学び、飼い主はどう心構えるのか。動物支援を続けるNPO法人アニマルクラブ石巻=石巻市不動町=の阿部智子代表は「飼い主が責任を持って守り抜くことが大切。人もペットもかけがえのない命」と話す。  震災が起きた時、阿部さんは多賀城市の市民会館でアニマルクラブの活動や保健所での殺処分の現状などを紹介するパネル

子どもと大人のつなぎ役 復興の先見据えた教育支援 かぎかっこPJ代表 神澤 祐輔さん

 震災後、石巻市に住んで地域の若者たちと商品開発やまちづくりに携わってきた神澤祐輔さん。平成25年から復興を見守りながら地域の担い手育成に力を注ぐ。「震災を直接体験していない、記憶にない若者たちが増える中、新しい世代に伝え、残していく教訓や記憶が不可欠」と話す。  神澤さんは兵庫県三木市出身で、小学生のころ阪神淡路大震災を経験。震源地から離れていたが、朝に大きな揺れがあってとても驚いた。その後、京都で内装などを担当するデザイナーとして仕事をしていたが、まちづくりに興味があり

天に届け祈りの大輪 渡波の空に1尺玉 遠藤さん「人の縁」感謝

 石巻市渡波地区の住民有志のボランティア団体「チームわたほい」を中心とした実行委員会は11日、地区内で震災犠牲者の慰霊や平和への願いを込めた花火を打ち上げた。  住民や企業から善意を募り、令和3年から毎年、発災日に合わせて実施。今年は花火の直径が約320メートルになる10号玉(1尺玉)3発を含む計93発を渡波港長浜の防波堤から打ち上げた。花火は見上げる人々の笑顔を優しく照らし、天にも届く大きな音を響かせながら夜空に咲いた。  津波で子ども3人を亡くした遠藤伸一実行委員長(

東日本大震災から12年 言葉をつなぎ 命をつなぐ

■難しさ増す震災伝承 東日本大震災の発生から11日で丸12年を迎えた。仏教では十三回忌となり、人々は特別な思いで故人に心を寄せた。あの日、突然訪れた別れ。残された人たちは心の行き場に迷い続けた。大切な人の死を受け入れることができず、あいまいな喪失を抱え続けたまま年月が流れた。  震災を乗り越えて商いを始めてもコロナ禍で苦境に立たされ、泣く泣くのれんを下ろす店もあった。コロナは世界中に拡散し、気づけば他の諸課題は陰に隠れた。復興、再生の原動力は人だが、ウイルスはそのつながりを

霊前に誓った古里復興 一線退き気ままに生活 石巻市南光町 田倉 晴昌さん

 東日本大震災の津波で、石巻市南浜町にあった自身が経営する電気設備工事の会社と自宅が流され、一緒に働いていた長男の昌実さん(当時37)を亡くした。翌年の市の追悼式で「歴史ある石巻の復興に希望を持って立ち向かうことを霊前に誓う」と遺族代表の言葉を述べ、10年余り会社の継続に奔走。80歳を契機に経営から退き、畑を作ったり、木を植えたりして気ままに過ごす。  震災当時は石巻電気事業協同組合の理事長を務めており、会議でいた石巻市大街道地区の組合事務所で地震に遭った。すぐに戻って来る