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「はまにて」 牡鹿半島 移住者の営み

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東日本大震災後のボランティア活動をきっかけに石巻市に移住した2人。結婚後は牡鹿半島の浜で生活を営む。漁師と写真家、二つの顔を持つ鈴木省一さん、彼を支える妻の陽子さん。やがて子ども…
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#牡鹿半島

はまにて 第8回 「当たり前の風景」

 なんでこんなにもごみだらけなのだろう。牡鹿半島の海やビーチも、四季折々の表情が美しい山沿いの道も。娘を保育園に送る10分の間に、いくつのごみを目にしているだろう。磯でカニを探す、その足元にどれだけのごみが打ち上げられているだろう。  娘が生まれる以前は、ごみのポイ捨てこそしないけれど、積極的に拾うこともありませんでした。基本、スルー。けれど娘が生まれ、一緒に散歩をするようになると、落ちているごみを無視するわけにはいかなくなりました。

はまにて 第7回 「ご近所さん(鹿)との付き合い方?」

 牡鹿半島には、その名の通りたくさんの鹿がすんでいます。運転している車の目の前を鹿が横切るなんてことはザラにあり、我が家は日々、もっと密接な距離感のお付き合いをしています。

はまにて 第4回 「ねこのはなし(後編)」

 前回に引き続き、我が家の周りの地域猫たち、そして不妊手術についての話にお付き合いください。  公益財団法人どうぶつ基金が運営する「さくらねこ無料不妊手術事業(さくらねこTNR)」。活動資金の全てを民間からの寄付でまかなっていて、大まかな流れとしては(登録→申請→猫を捕獲→TNR協力病院へ連れて行き手術→元いた場所へ猫を解放→どうぶつ基金へ報告)となります。

はまにて 第3回 「ねこのはなし(前編)」

 月一連載「はまにて」第3回と第4回は、この浜での暮らしをお話しするのに欠かせない猫たちについて前後編に分けて書きたいと思います。  皆さんは、「地域猫」という言葉をご存じでしょうか?特定の飼い主がおらず、野外で生活している猫を野良猫と呼びますが、その中でも地域住民が合意のもとに餌をあげるなど〝地域ぐるみで管理されている猫〟を「地域猫」と呼びます。

はまにて 第2回 「浜の春」

 たらんぼ、ゼンマイ、シャコエビ、ワカメにひじき―。  山と海に囲まれた浜の周りには、旬のごちそうがあふれています。そしてこれを書いている今は、ちょうどひじき刈りシーズン。私たちが住む浜でも、先日「開口」を迎えました。

はまにて 第1回 「ずっと石巻にいるの?」

 夫、神奈川県出身。私、群馬県出身。2013年に石巻で出会い、その数年後に結婚。現在は、牡鹿半島のとある浜に家を借りて暮らしています。  東日本大震災のボランティアがきっかけで石巻に住み始めた私たち。結婚する前も、結婚してからもしばらくは「ずっと石巻にいるの?」「いつ地元に帰るの?」というようなことを、周りの人から度々聞かれていました。  実際ふたりの間でも、他所への移住話が出ることはあります。特に私は寒いのが苦手なので「もっと暖かいところへ…」という気持ちもありつつ、結