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「はまにて」 牡鹿半島 移住者の営み

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東日本大震災後のボランティア活動をきっかけに石巻市に移住した2人。結婚後は牡鹿半島の浜で生活を営む。漁師と写真家、二つの顔を持つ鈴木省一さん、彼を支える妻の陽子さん。やがて子ども…
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記事一覧

はまにて 第12回(最終回) 「海のように」

 約2年前に念願だった漁業権を取得してから、夫はほとんど休まず海に出てきました。手探りで始めたシャコエビ漁もアナゴ漁もタコ漁も、ちょっと急ぎ過ぎじゃないかと思うくらいどんどん網やカゴの数を増やして、普通は2人がかりで揚げるような数のカゴを1人で揚げ、朝早くから暗くなるまで、土曜も日曜もなく。

はまにて 第11回「特別な時間」

 (前置き)この「はまにて」は毎回、夫の写真と妻である私の文章で構成していますが、現在夫が長期で石巻を離れているため、今回のみ私がスマートフォンで撮影した写真を使用します。  夜から降り始めた雪が予想以上に積もって、朝起きたら一面の銀世界。 (これは保育園、行けないなあ。)

はまにて 第9回「思い出の中の風景」

 新しい年が始まりましたね。年末年始はいつも群馬と神奈川に帰省するのですが、今年は久しぶりに石巻で過ごした我が家。石巻特有?のお正月飾り「目玉木(めだまぎ)」を初めて飾ってみたり、その華やかさに目を輝かせた工作好きの娘と一緒に、折り紙と割り箸でせっせと目玉木を手作りしたり。初詣は我が家のすぐ脇に建っている浜の神社へお参りをして、石巻ならではの年末年始を満喫しました。

はまにて 第9回「ねねって呼ばないで」

 今年の7月に息子が生まれてから、早4カ月が経ちました。生まれる前はイメージすら上手くできなかった家族4人での生活が、少しずつ当たり前になって来ています。

はまにて 第8回 「当たり前の風景」

 なんでこんなにもごみだらけなのだろう。牡鹿半島の海やビーチも、四季折々の表情が美しい山沿いの道も。娘を保育園に送る10分の間に、いくつのごみを目にしているだろう。磯でカニを探す、その足元にどれだけのごみが打ち上げられているだろう。  娘が生まれる以前は、ごみのポイ捨てこそしないけれど、積極的に拾うこともありませんでした。基本、スルー。けれど娘が生まれ、一緒に散歩をするようになると、落ちているごみを無視するわけにはいかなくなりました。

はまにて 第7回 「ご近所さん(鹿)との付き合い方?」

 牡鹿半島には、その名の通りたくさんの鹿がすんでいます。運転している車の目の前を鹿が横切るなんてことはザラにあり、我が家は日々、もっと密接な距離感のお付き合いをしています。

はまにて 第6回 「変化の波を乗りこなせ!」

 暑くて長かった夏も、少しずつ終わりが見えてきましたね。群馬県出身で暑さには強い自負のある私も、石巻に住み始めて10年目にして初めて暑さがこたえた夏でした。夫もさすがにあの暑さの中、炎天下の船上で作業するのは危険を感じたようで、船を出す時間を明け方と夕方にずらしたり、獲った魚をすぐ冷やせるよう、水を入れた大量のペットボトルを凍らせて保冷剤代わりにしたりして対応していました。

はまにて 第5回 「ここにあるもの」

 先月、梅雨明け間近のとても暑かった日、我が家に第2子が誕生しました。5年前に長女が生まれた頃の記憶を手繰り寄せながら、久しぶりの新生児との生活が始まりました。

はまにて 第4回 「ねこのはなし(後編)」

 前回に引き続き、我が家の周りの地域猫たち、そして不妊手術についての話にお付き合いください。  公益財団法人どうぶつ基金が運営する「さくらねこ無料不妊手術事業(さくらねこTNR)」。活動資金の全てを民間からの寄付でまかなっていて、大まかな流れとしては(登録→申請→猫を捕獲→TNR協力病院へ連れて行き手術→元いた場所へ猫を解放→どうぶつ基金へ報告)となります。

はまにて 第3回 「ねこのはなし(前編)」

 月一連載「はまにて」第3回と第4回は、この浜での暮らしをお話しするのに欠かせない猫たちについて前後編に分けて書きたいと思います。  皆さんは、「地域猫」という言葉をご存じでしょうか?特定の飼い主がおらず、野外で生活している猫を野良猫と呼びますが、その中でも地域住民が合意のもとに餌をあげるなど〝地域ぐるみで管理されている猫〟を「地域猫」と呼びます。

はまにて 第2回 「浜の春」

 たらんぼ、ゼンマイ、シャコエビ、ワカメにひじき―。  山と海に囲まれた浜の周りには、旬のごちそうがあふれています。そしてこれを書いている今は、ちょうどひじき刈りシーズン。私たちが住む浜でも、先日「開口」を迎えました。

はまにて 第1回 「ずっと石巻にいるの?」

 夫、神奈川県出身。私、群馬県出身。2013年に石巻で出会い、その数年後に結婚。現在は、牡鹿半島のとある浜に家を借りて暮らしています。  東日本大震災のボランティアがきっかけで石巻に住み始めた私たち。結婚する前も、結婚してからもしばらくは「ずっと石巻にいるの?」「いつ地元に帰るの?」というようなことを、周りの人から度々聞かれていました。  実際ふたりの間でも、他所への移住話が出ることはあります。特に私は寒いのが苦手なので「もっと暖かいところへ…」という気持ちもありつつ、結