見出し画像

視聴率の上がる方法って、いつまでも変わらない。タメイキ

25年ほど前、テレビの仕事を始めたばっかりのころ。先輩のディレクターからこんな話をされたことがあります。

視聴率の上がる方法知ってるか?それは、うまい食べ物という食欲を掻き立てるもの。動物とかを見て「かわいい」と思う清い心。そして何より「人の不幸」や。ここを押さえたら視聴率は取れる。」

と・・・。

クソみたいな話だな。と当時も思ったし、今思い返してみてまたまた同じ気持ちになってますが・・・。

美味しいものを紹介するのはいい!前向き!

動物とかの映像!めちゃみたい!

人の不幸・・・・どうやねん、コレ? 

これを取り上げていくのって非常に醜いよな~~。とずっと思っていました。でも人が喜ぶのはそこなんです。嫌な話です。この人より私はマシだ。という気持ち。 ざまーみろ!という気持ち。そんなこと許せないという変な正義感。。。

いろんな気持ちが入り交るために、感情が動きます。感情が揺さぶられやすいことが「人の不幸」なんです。

人は残酷なもので、人の不幸を面白いと感じてしまうんですね・・・。他人の不幸は蜜の味・・・。

画像1

こんな人の不幸っていやだなあ。と思いながら仕事をしてきました。だからその不幸の先にどんなメッセージがあるのかを考えるようになりました。

実は、お笑いもこの「人の不幸」を<笑い>に変えて見せる芸でもあります。体を張った無茶なチャレンジや、いじりなど、ちゃんと互いの許容範囲の中で見せて笑わせていく「芸」なんです。裏には笑わせようとしている気持ちが働いています。不幸や失敗を笑いに転嫁していく芸。こう分析しちゃうと普通にテレビを見れないようになってしまうかもしれないですが・・・。「芸」と「リアル」をはき違えないでほしいのです。

これを勘違いして、「いじり」だと言う言い訳をして、人を傷つける言葉を投げかける「イジメ」。相手を美味しく、回りも気分よくさせて和ませるのが「いじり」。と僕は勝手に定義しています。

愛のないイジリはイジメであって、イジメは人の傷つけて死にまで繋げてしまう。

この度の、女子プロレスラーの木村花さんの逝去もその延長線上にある出来事ですよね。非常に悲しい話ですし、その話題を取り上げているワイドショーも視聴率を取らねばならない使命もあり取り扱っています。

この番組が伝える情報の裏にあるメッセージをしっかり受け取ってほしいのです。簡単に言うと「再発防止・抑止」です。

このようなことがモラルを問うということを、番組やメディアは背負っています。ただ視聴率の為だけに扱っているのではない部分をもっと感じ取ってほしいです。残念ながら、当時の先輩が僕に言った言葉は、ただただ視聴率を取るためのコツ。=という言葉でしかなかったのが残念です。

もう一つ残念なことと言えば、今朝の番組でのコメンテーターの説得力も必要ですが、コメンテーターの訴え力も必要です。

「こんなことが二度とおこらないようにしてほしいですね。」

ある番組のコメンテーターの言葉です。他人事ですよね。魂がこもっていない言葉になっている。それでいいのか?その人の役割のセリフをただ言っているだけになっていないか??実際に伝えるのは難しい事だけど、表情だけ険しくて、非常に冷たい言葉だけ残していったなあと感じました。


僕は、人に何かを伝えなければならない職業を選んだのだから、今朝のこの出来事を見て、気を付けないといけないと思いました。


【今回のつけたし】「食欲」の話、「かわいい」の話、これらのテーマもう少し掘り下げていこうと思います。企画のヒントになってくれればと感じました。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?