長女が吸入を始めた日

こんなにも心細くて、
なぜか力強い自分を感じるのは久しぶりだ。

子どもがいつ咳込み、
タクシーを呼んで救急に駆け込むか分からない
子ども二人を抱いて、行けるのだろうか
行ったあと入院になるかもしれない
しかし、下の子は入院に付き添えないはず
さて、これはどうなるのだ
分からない、分からないけれど
準備はするのだ.安心して眠れるために.

明日の朝を迎えることが、
こんなにも長く感じるなんて.
いつもは二人が寝てからの自分時間は
あっという間に過ぎるのに
心がソワソワして藁にも縋る想いで神に祈った.

どうか、どうか、彼女を助けてください。
眠らせてあげてください。

次女ちゃん、
吐く長女ちゃんの対応を優先させて、ごめんね。吸入器を物珍しそうに
キラキラした目で触ろうとする貴女に、
キツく言ってしまってごめんね。
必死だったよね、ママ。
夕方も熱ある長女が眠いからとセカセカ動き、
まだ遊びたい次女ちゃんを相手出来ず、ごめんね。
二人共、頑張ってくれてありがとう。

ママ、しっかりするから。
頼むよ、二人共、宜しくね。
頑張れ、パパ。
出張先で眠る旦那へエールを送れるくらい、
少し心の余裕ができた

そんな気持ちも束の間.
ゴホッと、寝室から響く音に
私の心臓は脈打ち速くなる.
私よ私、頼むよ、私。
大丈夫、みんな大丈夫。大丈夫だから。




朝がきた


外の明るさを確認した私は
寝不足の目を擦りながら
朝ごはん作りへ軽い足取りで向かった

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