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ソロモンの偽証

ここのところ、文字を読むのに疲れてしまい、すっかり Audible のお世話になっているのではあるが、大作の「ソロモンの偽証」を読み切った(語弊あり)後、Amazon Prime で本作品の映画版も鑑賞してみました。Amazon におんぶに抱っこなわけですが、正直映画版に関しては、映像化する難しさ、特に映像で表現する限界を感じるわけです。原作は3部構成かつ1部上下構成になっているため、読み応え(語弊あり)が十分にある訳です。そのため、登場人物の家族構成や一人ひとりの心情や置かれている立場を非常に丁寧に描写しているところは、さすが宮部みゆきさんだなと感心しながら映画を拝見しました。
あらすじはここでは記載しませんので是非原作をしっかり読んでいただければと思います。

https://ja.wikipedia.org/wiki/ソロモンの偽証

原作でも映画本編でも特に忠実に表現されているところで、個人的に気になるのは、当時中学生であった主人公藤野涼子さんの度胸とプレゼンテーション能力の高さにはびっくりする訳ですが、柏木卓也、三宅朱里のうちに秘めている黒いものが克明に記録されていて、原作者特有の表現の冷酷さにゾッとします。

主役は藤野涼子(劇中役柄名、役者名とも同じ)ではあるが、みるべきところは三宅朱里だと思っています。三宅朱里の心のうちは、多感な中学生が持つ恐ろしいほどの自己中心的な考えと、幼いが故の凶暴な行動な訳です。中学校生活と家庭という狭い環境の中で追い込まれるということ、無知の凶暴さで追い込まれる心理的描写は思わず目を背けたくなる感覚に包まれました。

はっきり書きますが、おそらく拝読しようと考えて本書を手に取った方は期待していないと思いますが、全くもって爽快感や感動はありません。幼い心に深く刻まれた憎しみや嫌悪を克明に表現している作者の深掘りに脱帽な訳です。しっかりと伏線回収も行われますし、物事の背景がしっかり理解できますので、そういう意味ではスッキリはしました。

宮部みゆきワールドを堪能するには良い作品です、是非お手に取ってみてもらえればと思います。

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