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禪院姉妹が″″″永遠″″″になった


※これより先は週間少年ジャンプにて連載中の「呪術廻戦」…というよりその物語に登場する禪院真希・禪院真依という特定キャラクターのネタバレしかない感想文です。まだ読んでない、これから読む予定の方は注意して下さい。
そして5月31日に発売した週間少年ジャンプ2021年26号までの話にも触れています。単行本派の方に全く優しくありません。よろしくお願いします。







「大嫌い」という言葉を聞いてまぁいい気持ちになる人間はそう居ないし私も全然いい気持ちににはならないのだが、

だいきらい 【大嫌い】
1.きらうこと、いやだと思うこと、また、そのさま
2.好ましくない傾向
3.「お前が幸せそうでもムカつくが絶望してるのもムカつくし側に居られたらブン殴りたくなるのに自分の視界から外れた瞬間探しに行く自分を止められないこのぐちゃぐちゃな感情を言い表すにはこれしか無い」というクソデカ感情をどうにか一言にまとめたもの

我々の業界において「大嫌い」は項目の3に当たる。これだからオタクは駄目…っ!
全然関係ない話に見えるけどとりあえず聞いてくれ。頼む。本当に。後生だからオタクの汚え断末魔(レクイエム)聞いてくれ…!!


禪院真希と禪院真依、彼女たちは「呪術廻戦」におけるサブキャラクターだ。重要なキャラクターではあるのだが決して主人公では無いです。
呪術廻戦においての説明は省略するが、彼女たちは禪院家という長い歴史と権力を持つ由緒正しい家に産まれた双子の姉妹。まぁこの禪院家がクソ封建的で絵に描いたような酷い家父長制で牛耳っている連中はクズだらけという最悪の役満みたいなトンデモ家だった訳ですが。
当然、そんな家なので「女である」というだけで姉妹は非常に冷遇されているし、そもそも相伝の術式を受け継げなかっただけで落ちこぼれ扱いされている。ちゃんと能力あるのにねえ!!!!!!!!!

そんな中で姉である禪院真希は「落ちこぼれ」という烙印を押されたままでいる事を良しとしなかった。
単行本五巻で彼女の気持ちが吐露されているのだが、曰く「あのままじゃ私は私を嫌いになってた」ということだった。なんとも家を出て「自分が禪院家当主になる」と言い切った真希らしい。
私はこういう、自分の好きな自分で在る為に戦う強くて美しい女が大好きなので、も〜すっごい真希が好きです。本当に強くて美しくてカッコいい。

一方の真依はそんなに強くなれない子だった。
姉のことを落ちこぼれと見下し馬鹿にしていたが、本当は姉の才能を誰よりも認め、羨望していた。

「私は呪術師なんてなりたくなかった」
「アンタのせいよ! アンタが頑張るから 私も頑張るざるを得なかった! 努力も痛いのも怖いのももううんざり!」
「ウチでコキ使われるのの何がいけないのよ!適当に雑用こなして適当に生きれば良かったじゃない!」
「なんで一緒に 落ちぶれてくれなかったの?」

真依………泣くな………っ!俺が″″″守護″″″る………っ!!
妹はただお姉ちゃんが一緒に居てくれればそこがどんな地獄だろうと良かった 良かったんだよ…お姉ちゃんが手を放さないでいてくれればそれだけで……!!
ちなみにこの後に真依が真希に向かって「大嫌い」と言う。もうお気づきですね?憎しみと執着と嫉妬と羨望、全部がぐちゃぐちゃになったどうしようもない気持ちを「大嫌い」と真依は表現したのです。

純粋な好意だけじゃない、ドロドロとした憎悪だけじゃない、たった一人に喜怒哀楽全部の感情を向けてしまうような苛烈な「なにか」、所謂クソデカ感情です。オタクが大好きなやつ〜〜!!

こんなもんを単行本五巻で突然ブチ込まれたので、それまで「呪術廻戦おもしろいな〜」と気楽に読んでたのに「何!?何!?何!?何!?NANI!?」とちょっとしたパニックになってた。
ちなみに私はFate/stay nightでは遠坂姉妹、ひいては間桐桜が好き。もう分かるだろ!?強くて美しい姉とその姉に羨望と憎悪を向けてしまう妹の図だよ!!!!!!!!遠坂姉妹については別記事よろしくね。


そんな姉妹だからもう凄く好きになってしまったし、今後和解してくれたら嬉しいな〜と思ってた。

思ってたんだよ。

そうはならんかったんだよ。

その後の呪術廻戦の展開はそれはもう大変なことになり、色々あって真希は呪具の回収の為に禪院家に戻る事になった。
その結果禪院家はクズばっかだったし実の父親が最低最悪だったことが分かるし嫌な奴だと思ってた禪院直毘人が実はこの家の中では相当な常識人枠だったことが分かるしでもう本当に最悪としか言いようが無いことになってしまった。誰が父親が実の娘を「出来損ない」と言ってぶった斬ると思うんだよ。

父親により重傷負う真希と真依。
周りは呪霊だらけ。
でも戦う力がもう無い。

どういう展開になるかなと見守ってたら。

妹が自分の命を姉に捧げた。

もう一度言う。


妹が自分の命を姉に捧げた。


イ″ヤ″ァ″ア″ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!
和解しろって言ったじゃん!!手を放さないでって言ったじゃん!!真依が真希に言ったんじゃん!!なんでお前が手を放すんだよ!!しっかり握っててよその手を放さないでよ!!(J-POPの歌詞みたいな発言)

そのシーンがまた印象的なんですよ〜何これ宗教画?美術館に飾ろ?私に金と権力があったら全ての美術館に飾るところだった。
おそらく精神世界のような海で二人は再会する。そこで事情が飲み込めない真希に真依は淡々と「自分の術式で武器を作る」「作ったら私は死ぬ」と説明し海に入っていく。
当然真希は納得できない。待てと叫びながら妹を追いかける。
そこで真依は言うのだ。

「何かを得るには何かを差し出さねばならない」
「そういう利害がいちいち成立しないのよ双子の場合はね。だって一卵性双生児は呪術界では同一人物とみなされるから」
「アンタは私で、私はアンタなの」
「私が居る限り 真希 アンタは一生半端者なの」

いや姉は妹がそばに居てくれさえいれば半端者でも良かったと思うよ!?!?!?!?!?!?!?

そして掴もうとした手はすり抜け、妹は「約束して」と幼子に戻って、微笑んで、姉に呪いをかけていった。

その後の現実のシーンが本当に最悪(褒め言葉)
真依がまるで真希を守るように身体を丸めて倒れ伏し、まるで胎児のように身体を丸めた真希が真依の顔を見つめ、泣きながら「起きて」と懇願する。

こんなんオタクのHPはもうゼロよ〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
助けて!!助けて!!確かに「海」って「産み」ともされるから母親の象徴であるとかどこかで聞いたけどこんな「産み直し」は聞いてない!!妹が死ぬことにより一人の人間として「産まれ直し」姉が完全に覚醒するなんて聞いてない!!
和製スパイダーマンかこの展開は!!(大いなる力には大いなる責任が伴う)(スパイダーマンは大切な人を亡くす事により『スパイダーマン』として覚醒する byスパイダーバース)
そして海のシーンでは雁が飛んでいくコマがあるし、真依が最後真希に手渡すのは(おそらく)雁の羽。雁といえば枕詞は「遠つ人」。ちったぁ手加減してくれ芥見先生!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

そして2021年5月31日発売週間少年ジャンプ巻頭カラーでは白い服(死装束)の真依と黒い服(喪服)の真希が微笑みながらまるで手を繋いで空を飛んでいるような絵なのだ。
しかしその手は布で隠され、手を繋いでいるかどうかは定かではない。そうだよね「手を繋ぐ」って他人同士でないと出来ないもんね真希と真依は「同一人物」だもんね「アンタは私で私はアンタ」だもんね手を繋ぐ事をあやふやにしたから二人で一人がいよいよ真に迫ってくるねでも来ている服は決定的に生者と死者を分けてるねどうして!?!?!?!?!?

推しの姉妹が世界一悲しく美しくなってしまった。どうなってんだ。どう受け止めればいいんだこれは。

そして真希の「ごめんな」という台詞すら大きく変わってしまった。
単行本五巻での彼女の「ごめんな」は、真依に対して「一緒に落ちこぼれてやれなくてごめんな」だった。
しかし最新話では「一緒に落ちこぼれてやるのが私たちの正解だったのに、ごめんな」になってしまった。

真希の美しさは変わってない。
でも怒りを発露する事なくただ淡々と禪院家を殺しまくる真希の姿は痛々しいとしか言いようがない。

今の真希の胸中にあるものって…「虚無」じゃないですか…?私は何かに熱中していた人がふと虚無に襲われて呆然としてしまうというシーンに酷く動揺してしまうし嫌だ!と思うタイプなので、いっそ真希が怒り狂ってた方がまだ心が安定した。そんな綺麗で冷静な顔で皆殺しにしないで…………。
禪院家当主になる事だって、自分の好きな自分で在る為に必要だったのもあるだろうけど、妹に家での居場所を作ってあげるのも彼女の中では相当大事なことだったはずなんです。
その妹が「全部壊して」と約束という名の呪いを残し、姉を生かす為に死んでしまった。今の真希は妹との約束を果たす為に、クソな場所だったけど自分のかつての家とそこに住まう人々を皆殺しにしている。
「人の心とか無いんか?」と言われ、「ああ。あいつが全部持ってっちまったからな」と返す真希。

もうなんだろうねこのこれから先何が起こっても絶対真希が幸せになることはありませんよみたいなこの展開。
まあこれで姉は二度と妹の形見である刀を手放すことはないだろうし幼い真依が「手を放さないでね」と約束したことは守られますね。え…こんな形で…?
確かに呪術師はろくな死に方しないと本編中で散々言ってますけどね。限度がある限度がある何事も限度があるのよ。


推しの姉妹が美しいまま″″″永遠″″″になってしまったんだけどどう受け止めればいいのか未だに分からん。もう分からん もう… 何も…… 助けてくれ……
とりあえず直哉の顔面がメロンパンみてえにボコボコにされないと気が済まないです。来週も楽しみにしてます。

ところで芥見先生お忙しいんじゃないですか?無理しないで欲しい。しっかり休んで下さい…。

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