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【コラム】原付が良かった話

こんにちは、建築家見習いの佐藤です。

僕はベトナムの設計事務所で2ヶ月間インターンをしていたことがあります。
ベトナムの街で過ごし、住んでみて、多くのことを感じましたが、そのうちの一つに「原付っていいな」がありました。

日々まちまちは、お散歩コーディネーター並木と建築家見習いの佐藤で「まちを使わない人なんていない。だから語っちゃおう」と始めた、まちに特化したラジオ番組です。
ラジオでは、noteに投稿したコラムを元に、2人で「あーだ、こーだ」自由に語っています

このコラムについて語っているラジオは ↓ です!

ベトナムは原付社会です。朝の出勤時間には、原付が車道を埋め尽くすほど走っています。

ベトナムに行く前は「原付が怖い、危なそう」という印象を持っていました。
実際に、最初のうちは、一見無秩序に走る原付に恐怖を覚えました。
また事故を起こした際に重傷を負うリスクなどもありますし、大量に原付の排気ガスにより空気は汚染されています。

なので手放しに「みんな原付を使うべきだ!」なんて言うつもりはありませんし、僕は普段から原付に乗ることなど全くないです。

ただ、しばらくベトナムで過ごす内に、原付の魅力にも気付き始めました。その魅力から見える要素を考えることは、今後の都市のあり方にも繋がると思い、このコラムを書いています。

柔軟性

ベトナムの街は小さな路地が複雑に入り乱れています。そんな場所を車で移動するのは難しいです。高密度な都市を自由に移動できる手段として、原付は最適でした。

駐車場所も大して困りません。みんな歩道や、飲食店の店内に原付を停めていました。その辺りは、すごく寛容で、住民の心にも柔軟性があったように感じました。

東京という高密度な都市にも、この柔軟性は有効なのではないかと思いました。通常、ふらっと行きたいところに行く時、まず交通手段を考えねばなりません。車、自転車、公共交通機関。全て「ふらっと」を打ち消す要素を持ってしまっているように思います。

多様性

原付における多様性とは、どういうことか。
種類の話ではありません。使い方の話です。

ベトナムで見た風景として印象深かったのは、みんな道に原付を並べ、その上に座り、飲食店で放送されるサッカーの試合を見ていたところです。
原付を座席として、即席のパブリックビューイングができていたのです。

また道端では止まった原付の上に座りながら、談笑する光景などもよく見られました。みんな自分専用の動くベンチを持っているかのようでした。

また原付を利用したサービスも充実してました。
これは、ベトナム版のUberのようなアプリ「grab」を中心に展開されています。

grabでは食べ物が頼めたり、バイクタクシーが気軽に呼べるのです。

スモールモビリティの可能性を見た

ベトナムで感じた原付の良さを、まとめると「柔軟である」「多様である」に加え「手軽である」「人力ではない」ということになります。

これは原付に限らず、昨今議論されているスモールモビリティの魅力と一致するかと思います。

例えばLUUPが提供する電動キックボードは、都市を気軽に移動し楽しめる新たなモビリティの形として注目されています。

たが新サービスの誕生だけでは、ベトナムの原付のような魅力は生まれないでしょう。

このような流れに対して、我々がどのくらい寛容に柔軟に使いこなせるかがキーになるかと思うのです。

僕がベトナムで感じた多くのことは「人々の寛容さ」に依拠していると思います。その結果、原付を利用した即席のパブリックビューイングのような、人々の交流が生まれる素敵な風景が見られるのです。

スモールモビリティは、そのサービスのあり方だけでなく、我々の振る舞いもセットで議論してみたいところですね。

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