メモリーズをオフする第三夜

 シェフの気まぐれサラダくらいに気まぐれに書くアレ。

 さてメモリーズオフシリーズである。前回は5までを振り返ったが、それ以降はKIDが倒産した後に、別のメーカーが版権を買って出したものなので、正確にはメモリーズオフシリーズではない、と言えるかもしれない。可能な限りオリジナルスタッフを集めていたし、6に関しては原点回帰をしようという意思を感じさせた作品だった。
 ……まぁ、それが裏目に出た形に終わったのだが。

 さて、その6である。
 声優の青田買いをしがちだった過去作に比べると、平野綾や後藤邑子といった当時の流行りの声優を採用したことで話題になった。茅原実里は5のFDで出ていたので、S〇S団のヒロイン勢揃いとはいかなかったが、それをして新規ユーザーを狙ったんだろう、と思わせる声優器用だった。

 とはいえ、声優だけでゲームが作られるわけではない。当然ならが、ギャルゲーの魅力はヒロインの魅力と、シナリオの出来がだいぶ評価点を占めることになりやすい。UIが話題になることもあるが、この面ではKIDは最初から最後まで百点の出来をたたき出したシリーズである。現代の美少女ゲームのUI周りの元祖はメモリーズオフシリーズ、と言い切ってもいいくらいに完成度が高いものを出し続けたので、これはいい。

 となると問題はヒロインとシナリオである。
 が、6はここが非常に弱かった。魅力的なヒロイン、と聞いて思い出せるのは後藤邑子演じたクロエくらいだろう。シナリオの出来も悪くなかった。他のヒロインはとにかく、印象が薄い。

 本来のゲームのメインヒロインの幼なじみとクラスメイトで恋人がいるのだが、前者は出来損ないの涼宮ハルヒだし、後者は気弱だけど健気な女の子を描いたはずが、何かがずれていた。
 その結果として、後者はいいが、前者はとにかく嫌われた。ハルヒ事態、賛否両論のあるヒロインだが、その劣化コピーなのだから高い評価なんて夢のまた夢になるのは当然だった。

 残りのヒロインは……田中理恵の演じた年上ヒロインと、宮崎羽衣の演じた後輩だが、この二人はいてもいなくてもどっちでもいい、くらいの扱いだった。本来であれば、クロエもこの位置に来るはずだったのだろうが――メインヒロインは前述の二人なのだから――いかんせん、クロエはいいキャラだった。6の褒めるべき唯一の点だとさえ言っていいだろう。

 そんな6だったから、見事にこけた。だが、5の時点で評価は低かったので、低空飛行を維持するくらいはできた。せっかくのシリーズのリスタート作品がそれでどうする、という話は正論だが、大人にだってできることとできないことはある。と、諦められるくらいに年齢に、当時でも、俺はなっていた。

 余談だが、メモリーズオフシリーズ最終作と銘打たれたIFで各作品のメインヒロインが出てくるのだが、6からはクロエと年上ヒロインだった。メイン二人はどちらも出ていない。他作品はメインヒロイン、あるいは、メインヒロイン+人気ヒロインという形だったのに、である。6のメインヒロイン二人ははたして何だったのだろう。いやまぁ確かに、魅力的とは言い難い二人ではあったのだが……。

 意外と長くなったのでここまで、というか、7であるゆびきりに関してはあまり語りたくないというか、典型的な大人向けラブストーリーを勘違いした上で、オタクの好きそうな悲しい過去を合体させたら、合体事故を起こしてしまったかのような作品だから、プレイしていて苦痛だった記憶しかないので……。これのトラウマで、俺は最終作と銘打たれた(現在は撤回されたが)IFを買うのをだいぶ躊躇ったくらいだった。そのIFもこのゆびきりの影響か変な所にぶっ飛んでいた作品ではあったが、上手いこと着地させたので評判はいいわけだが、その前のゆびきりはほんとまぁ……。

 なので、続きを書くかはわからない。
 なお、プレイしたい人はPS4、Switchで発売されたメモリーズオフヒストリア上下巻を買うと楽だ。上巻なら躊躇わずにお勧めできる。下巻を買うのはかなりのボウケンスピリットが必要になるが……。

 しかし、シンス・メモリーズを脇に置いて、発表された正統続編……どうするかなぁ。買うのかな……

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