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ラフの描き方を変えただけで絵のスランプから抜け出した話

なぜ、私が急にトレース台欲しいって言い出したか、という経緯を書いておきますね。

* * *

私はここ1年ぐらい、絵の上達が遅くて悩んでいました。特に、線画がぱっとしませんでした。

・時間が掛かった割りに、どう塗ったらいいか分からなくなる
・微妙な仕上がり
・同じ絵に時間を掛けて、描いても描いても良くならない

という悪循環に陥っていました。

そこである時、Twitterでこの動画を見かけました。

私は線を重ねて描いちゃだめ、っていう思い込みにとらわれてることに気づきました。線を重ねて描いた方が魅力的な場合もあるのです。

そこで、「アレ? 私もしかして何か線に対して勘違いしてる?」と思い、試しに線を重ねて描いてみることにしました。

そこから、「アレ? ラフも同じでいいんじゃない?」と気づきます。「迷い線ってもっとたくさん引いていいんじゃないか? 迷い線の少なさって絵の上手さや速さと実は直接関係ないんじゃないか?」と考え始めます。

そこで、思い切ってラフ画はできるだけ思ったように描き、崩れを意識しないようにしました。

まずは雰囲気、ぼんやりとした迷い線だらけの状態で描き、そこから何度も下書きを繰り返して少しずつ線を抽出していく描き方に変えました。

結果的に手戻りも減り、全体の工程がスピードアップしました。

今まで、ラフ~線画の段階を焦っていた(ラフの段階はもっとざっくりで良い)という考えが足りませんでした。
ラフの時点で微妙じゃね? と思ってしまうような絵を量産していたのが、上達やモチベーションを阻害する原因になっていた気がします。

周りの人から言われた「自分よりも上すぎるレベルのことをやろうとしているからできない」というのは半分正しい指摘で、半分間違っていました。

確かに、自分の能力よりも難しいことはやろうとしています。
しかし、それを一度にやろうとするからできないのであって、少しずつなら目標としているある程度のラインまでは近づけられるということです。

そのためには、事前に迷っておけば良かった、後の工程で気づいた、学習的に意味のない出戻りをできるだけ少なくする必要があったのです。

これに気づくのに2年ぐらい掛かりました。今の描き方に確信を持って、いろんな講座を見てから「だよね~」ってなってます。お絵かきって気づきのゲームだなぁ、と常々思います。

私の場合、頭の中のぼんやりしたイメージをそのままガスガス描いたラフから、少しずつ精度を上げることで、今まで抱えていた「なんか違うなぁ」という感覚を明確にできました。

1. ラフはできるだけザクザク、迷い線も気にせずに思ったように描く。
2.
そこから、少しずつ線を拾っていく。このとき、無理に迷い線を減らそうとしない。必要に応じて、この段階で初めてパースや補助線を使っていく。
3.
迷ったら最初のラフに戻ったりして、イメージや全体の雰囲気が壊れていないか確認しながら線を少しずつクリンナップしていく。

今までは、「迷い線を減らさなきゃ」「最初から補助線を使わなきゃ」という意識がありました。

そうではなく「迷ってもいいからまずは雰囲気を描く」「線をクリンナップするときは雰囲気を壊さないように」という意識で描き進めることで、線に向いていた意識を絵の完成形に軌道修正できました。

最近見た動画だと、俺妹やエロマンガ先生のかんざきひろ先生も4回ぐらい描き直しつつ、徐々に精度を上げながらラフ~線画を描いています。

ちなみに、この描き方は立体を作っていく方法と一緒です。

片桐裕司先生も、おおざっぱに捉えることで対象の雰囲気をつかむことが大切だと教えてくれました。詳しくは「クリエイターとして生きる:壁を越えるために、自信を持つために」という本に書かれていますが、片桐先生のセミナーでも同じ内容が紹介されています。

ちゃんと気づくきっかけにも、1、2年前に出会っていたのです。というか、これをやっていなければむしろ今気づかなかったのかもしれません。

この記事の内容って絵が上手い人から見たら当たり前だと思います。けれど、何かおかしいな、ハマってるなって思ったら自分が思っているよりも一歩引いて見てみるのって大切だなぁと思いました。

片桐先生のセミナーみたいに、良い経験って本当に後々まで良い影響を及ぼすんだなぁって思いました。まる。

キャラクターの創作費に使わせていただきます。