1人で夢の国に行った話

12月前半某日午前、どんよりとした灰色の雲が空を覆う中、俺はJR京葉線のとある駅に一人降り立った。
舞浜駅。そう、言わずと知れた夢の国への最寄り駅だ。

なぜここへソロで来ようと思ったのか。
メンタル強化だ。
なぜメンタル強化なのか。
ナンパに役立つと思ったから。

短絡的といえば短絡的だが、元々俺は1人ディズニーに興味があった。お一人様を極めていく中で、帝都やその近辺に住むという機会もなく、旅行なんかで来るわけでもない。遠征も予定無し。
今夏にナンパを始めて気づいたことがある。これは界隈でもよく言われていることだが、ストナン中の孤独感というものはあまりにも強大な敵だ。地蔵に直結する。さらに俺は人目を気にしすぎるという非モテ属性も兼ね備えているため、鍛錬を積む必要があった。
一人ディズニーを楽しめるなら、なんか何でもできる気がする。安直すぎる考えだが、まぁ許してやってくれ。

今回の目標は3つ
● 3大マウンテンを制覇すること
● ソロ案件がいれば声掛けしてみること
● 全力で楽しむこと

舞台はディズニー"ランド"の方。さぁ、行こう。

入園ゲートでチケットの確認と、手荷物検査。
手ぶらで来たのでそのまま通り過ぎる。「え、1人?なんなんコイツ」みたいな検査係の目線。気にしない。

まずはワールドバザールというエリアで、パークを楽しむための必需品を購入。そう、カチューシャ。めちゃくちゃ種類ある。。。
が、その中で一目見ただけでビビッときたものがあった。

ドンッ!!!!

これはね、もうね、絶対に男根のメタファーでしょ(笑)
ということで、チ〇コを頭に装備した俺は意気揚々と店を後にした。

バザールの中心には圧倒的な偉容を仰ぐクリスマスツリーが設置されている。はぇ~、すっごい大きい。
ここでいきなり今回のディズニー遠征において最大の試練が訪れる。
ツリーの前ではキャストカメラマンによる撮影が行われていた。ゲストたちが後ろに長い列を形成していた。
なんか思い出に残りそう。そんな軽い気持ちで並んでみる。順番が近づくにつれて、
あ、これ衆目に晒されるパターンや。
気づくが遅い。

キャスト「何名様で撮影ですかぁ?」(営業スマイルだが可愛い
俺「あ、一人です」
キ「あ、畏まりました!それではツリーの前にお立ちください!お次1名様です」
俺「お、お願いしまーす」
カメラマン「笑ってくださーい!今はマスク取っても大丈夫ですよー!」
キ「すみませーん!ただいま写真撮影中でーす!ツリーの両端を空けてご通行いただきますようご協力お願いしまーす!」(クソデカ声で周りの群衆に(周りの視線)
俺(は、早く撮ってぇ)
パシャリ




バザールを抜けると目の前には広場。広場には銅像が立っていた。カーネル・サンダースの像だ。
その前でも、例によってキャストカメラマンによる撮影が行われていた。もちろん列をなすのはカップルやファミリーばかり。

広場の最奥には、かの有名なお城が。まるで富士山のように雄々しく巨大、だが東大寺とはまた違った美しさ。西洋の美しさ。凛としている。
ホロウバスティオンやっけ?(キングダムハーツ並感

まずは1つ目のアトラクションを目指す。ウエスタンランドにそびえるビッグサンダーマウンテンだ。
待機列の待ち時間は約40分。テーマパーク素人には長いのか短いのか分からない。並んでいる間に調べもの。1つの事実が発覚。
「シングルライダーシステム」
一人で乗る場合は、プレミアムパスと同じ入場ルートで優先的に乗ることができる。情弱乙。決して仮面ライダーシリーズの用語ではない。
マウンテン自体は、まぁこんなもんか。絶叫系というには遠く及ばないのだろう。雨がパラつき始めていたので、スプラッシュマウンテンに行く前にスプラッシュ状態になる。

次。
迷う。
たどり着いた先で待っていたのは、

ドナルドニキ。なんやコイツ、ノンバ強いな。着ぐるみゆえ表情が変わらずとも圧倒的身振り手振りで感情を表現している。意外と楽しめた(笑)

次。
クリッターカントリー。
スプラッシュマウンテンはシングル適用アトラクションなので、列最後尾のキャストさんに堂々と声を掛ける。
俺「シングルで乗ります!(若干のドヤ顔」
キ「すみませーん、今日はシングルライダーやってないんですよ」
俺「あ、すんません」
いそいそと列最後尾につく。情弱乙。
待ち時間は約50分。
乗車。
これは、、、けんじワールドの「なめとこ山」に似てるな。
けんじワールドとは、ヒビキ(筆者)出身県にかつて存在した屋内プールのテーマパークである。県民のソウルフードならぬソウルパークだった。ガキの頃よく遊びに行ったな。
そんなことを考えてる内に、落下。楽しい!!!

次。
トゥモローランド。
スペースマウンテン。
待ち時間約80分。長い。
俺の前後は、修学旅行とおぼしきキャピキャピjk3人組とギャル系案件2人。これは、天啓か。神の啓示か。試練か。
コンビだったら意外と声掛け自体はできると思うんよね。現に野郎2人組も園内には多数見かけられた。ただ、待ち時間が長いからトークを繋げるのと、一緒に乗車できなかったら降車後去ってしまう可能性があるのとで、難しいのかな。トーク鍛錬にはなる。
そんなこんなで宇宙船に乗車。これが一番楽しかったな。

次。
同じくトゥモローランド。
バズ・ライトイヤーのアストロブラスター。
これはいわゆる一人称シューティングゲーム。乗り物を回転させながらブラスターでエネミーの弱点を撃つ。普通は2人で乗って、一人が船の回転を務めるのだが俺は操舵兼射手。スコアは確か4400。ヘボい。

次。
飯。バリうまかった。


気づいたことがある。

写真もアトラクションも飯屋もそうだったが、自分の前後のゲストが順番になった時、一緒くたに3名様だの4名様だの聞かれる瞬間が一番きつい。「あ、いや、別々です。僕は1人です。」の瞬間よ。雰囲気で察することのできるキャストのが勿論多いが、できないキャストもいる。

周りの人間は俺のことなんかこれっぽちも気にしていない。これはストリートでも言えること。頭では分かっているが、脚が動かない声が掛けられないのが地蔵。頭と身体を一致させてこそ地蔵が克服できる。もちろん、脳内空っぽも有りなのだろう。
ここでは、ゲストとは夢の国の客人なのだ。ディズニーのことしか頭になく脳内お花畑メルヘン状態だから、誰一人として俺がソロでいることを気に留めない。これ大事。街に持って帰るよ。

アトラクションや飯屋には、提供企業がいる。当たり前っちゃ当たり前のことかもしれないが、企業ロゴが露骨に見えてしまうのは若干冷める。

お昼前後からパレードの場所取りをしているコンビ案件がチラホラ。これがパレードガチ勢。お花見の場所取りに通じるものがある。ちなみに、パレードの場所取りをして、その場で長時間にわたって時間潰しをすることを「地蔵」というらしい。いや本当に(笑)

さぁ、夢の時間もいよいよクライマックス。
18時30分からパレードがあるらしい。雨の日限定のパレードだとか。
いやこれがね、予想以上に良かった。手を全力で振ってしまった。

写真下手くそか。

帰り道。
かのクリスマスツリー。まるで隆起したチン〇のようにそそり立つ。
序盤でやっていたキャストによる撮影は終わっていた。
周りには記念撮影をする輩ばかり。
ここで俺は今日一度も声を掛けていないことに気がつく。
ムーヴをかます。

俺「写真撮りますよ!」
女2件「え、いいんですかぁ!」
俺「はい並んで並んで。いい!めっちゃ映えてるよ!」
 「はい、チーズ!」(クソデカ声
女「ありがとうございましたぁ」(そそくさ
俺「ういー」

同じようなやり取りを3回ほど。
あれ、これただの写真撮ってくれるいい人だわ。

野郎「写真撮ってもらってもいいっすか」
俺「ういー」(カップルかいな
 「はい2人ともくっついて!いい!お似合い!」
 「はい、チーズ!」

写真撮りボランティアソロディズニー非モテ奴の爆誕。

しばらくすると、即興でキャストが写真撮りの代行を始める。誰か俺のナンパチックなボランティアをチクったのかも。
一人でもナンパ厳禁夢の国(五七五)

今度こそ本当に帰り道。夢から覚める時間。
初冬の寒い風が身体を切っていく。
目標は2個半達成というところか。予想以上に楽しめたよ。








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