ゆめにっき③
高層ビル群の谷間。
遠い青空から真っ直ぐに日差しが降り注ぎ、背中を温めているのを感じる。
がやがやと大勢の気配はするが、認識できるのは自分の存在だけ。
暫く佇んでいると、ふっと真上から影が落ち、辺りが急に薄暗くなった。
はっとして上を見上げると、聳え立つビルの間、ぽっかりと開いた空の青を背景に、信じられないほど大きな大きな白い孔雀が優雅に羽を広げながら飛んでいく。
驚くべきことに、その孔雀は、ビルが切り取った空を覆ってしまうほどに大きかった。しかし恐ろしさは微塵もなく、ただただその雄大さと神々しさに圧倒される。
随分高いところを飛んでいるはずなのに、私の目にはその羽がまるで真珠のような光沢を持っていて、しかもゆっくりとした羽ばたきに合わせ、キラキラと銀糸のように輝く様がよく見えた。それだけでなく、その羽の合わせ目には色とりどりの宝石が散りばめられているのか、時折太陽を反射して青だの緑だのの光が帯のようにたなびいてさえいた。
私は首が痛くなるほど夢中で孔雀を目で追いかけ、頭上を過ぎてその姿が前方のビル群の彼方に飛び去ってしまうまで、じっと見つめ続けた。
そして孔雀が完全に姿を消すと、いつの間にか夜が訪れていたのだった。
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