タイパク4話 どうしろってんだよ編

テーマとは何か?これは非常に広範に用いられる言葉でオリジナリティの影の双子のような存在だ。芸術作品や大衆娯楽としての側面がある以上、ただ楽しませるだけなく何かを問いかけそれに答えるというのはやはり避けられないのだろう。

私見だがこれは別に作品全体を組み上げる大きな軸である必要はないのではないだろうか?全編を通して巨大な一つの問いに向き合い続ける名作もあるが、小テーマを点在させてそれとの向き合い方の中にもオリジナリティは表現できるし、漫画が上手ければ大仰な軸を通してやる必要はないのが道理だ。才能がどこにあるか分からないからとりあえず学を身につけておけというノリでテーマが提案されているに過ぎないのではないか?という結論。

今回はタイパクが問おうとしていることについて確認して現状どういう流れに置かれておりその下流には何があるかを出した上でみんな大好き哲平さんのクズポイントを確認する流れを取る。いつものアレだ。少々お付き合い頂きたい。

テーマというテーマ

稚記事においてタイパクはビッグになりそうな幻影を見せ、それは背後に控えるテーマとその伝え方だと書いた。具体的には「テーマとは何か?有無は作品にどう影響するか?」を問うテーマだと思っている。

テーマを問うためにはそのテーマに携わる主人公やそれに準ずる登場人物がいて何らかの対立項がテーマを挟んであるのがセオリーだろう。詳しく言うと、まずテーマに携わるある種似た者同士な二人がいて、対立項が存在する。本来同じはずの二人はテーマによって分節されていて、テーマの正否は二人の結末の違いという対立関係に写し取られる。

タイパクはどうであろうか?テーマとは何かを問うため、お互い大きな疑問や衝動を持ち合わせない二人がいる。この二人は才能という残酷な根本原理によって分けられていて、片方はその才能によって成功を収め片方はテーマどころかオリジナリティさえない盗作という方法で作品を勝手に世に出す。

ここだけ見るとお話だけで面白そうだ。問題は作者が意味のある結論に辿り着けるかだが、そうでないならここまでの話なんて脚そ考と何の区別があらんや

苦難の対象としての主人公

主人公とはとにかく苦労する。作品が前に進み何かの疑問に答えを出す動きであるとするなら主人公に降りかかる苦難はそれを実行するための原動力と言っていい。苦難を乗り越えそれによって得た成功は説得力そのものであり、逸話と呼べるものの変わることのない根本の流れである。これの待遇を取ることはあっても、あえて破った上で面白いことはあるまい。

主人公があったさいあくな目を見ていこう。

1、10年の夢想と4年の下積みをするも目が出ない。…編集の苦言があまりにもリアリティがあってかつ主人公が自覚する欠点を言い当てたりもしているので、主人公の努力の具体性が見えないことにかなり負の荷重を与えている。要は「こいつは人の話も聞かずに努力した気になっているだけではないか?」というもの。最近は脳味噌の伴わない乱雑な努力は裏切るという認識が一般化しつつあり、努力をしたアピールはちゃんとやってない口だけのカスの印象を与えかねないのだ。トドメに空っぽ人間と来たので何もインプットしていないのでは?とさえ思わせる。

2、レンジのせいで盗作してしまう…1話で勘違いからピエロっぷりを発揮してしまう所だけ見たら無能は罪ではないしカワイソーな奴くらいだった。未来ジャンプが消えている(実際は棚の隙間に落ちただけだが)ので夢と判断して夢に出た面白い漫画を書いて何の問題があろうか?2話と3話で壮大に開き直らなければの話だが。

3、天才だと思っていた人間は実は自分と同類で単に自分にはそれを補う才能と呼べるものに欠けるだけだった…少年漫画の主人公がする挫折としてはなかなかフルスイングである。廻天の7回転くらい。でもここまでで主人公の評価は地に落ちているのでざまあとしかならない。それに作品がこのままざまあ系になるのかは謎である。

4、作品を描き続けろと言われてしまう…盗作は読み切りでやめにする決意をして、やっと見つけた原作者が勘違いやら盗作への罰としてこれを言い渡してくるなら悲惨だがこれもやはり自分で正当化した後に言いにくるので都合のいい展開になってしまっている。

5、コピーがうまくいかない!…4話全体で何か苦労をみんなで乗り越えるサクセスストーリーみたいな顔をしていやがるが、自分で勝手にぶち上げた本来届けられるはずだった作品を届けるという自分から読者に勝手に向けた大義名分に勝手に自分で縛られているだけで茶番である。加えて自分から被害者については説明するしないでコミュニケーションの悩みを勝手に抱えている。これのクズさについては長くなるので後述。

客観的に見ると主人公はかなり追い詰められているが、乗り越えようとするとでも悪いのお前だろ?と妨害されるようにできている。当然主人公ザマァを行うならこれで問題ないわけだが、画面にうつり続ける主人公はヘイトを稼ぎすぎるし、ザマァにしたって小物すぎるので必要なヘイトが溜まるまで動き続けてもしぶといという感想が強いと思われる。

そして何より、この苦難を乗り越えた所でマイナスがゼロに戻るだけなのでどうもカタルシスが生み出されるとは考えにくい。メタ的にこの曲面をどう乗り越えるか?という点での原作者の主人公ムーブを期待しなければならないというのは妙で面白い体験ではある。それにしたってドリフターズとか読みゃあいいと思うが…いやなんでも…

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おクズポイント総括

では今回の哲平さんのおクズなポイントを総括していきますわ!暴力のほうじゃなくってよ

1、真実を彼女に告げるべきだろうか?…意味不明ですわね。自分から盗作と言い出さずに逃げ出して真実を伝えそびえたのはあなたですわ。伝わらなかったから伝えなくていいなんて戯言ですわよ

2、週刊連載がこんなにもキツいなんて…そもそも連載を始めることをイツキさんと協議なさるべきじゃなくて?

3、それで漫画を描くのをやめてしまったら?彼女が何を選ぶかなんて分からないし謝りたいのは俺のエゴだ!…書き続けたいのもあなたのエゴでしてよ。被害者の前でよく茶番を続けられるわね。

4、漫画ビリー…イツキさんの心中は分かりませんが、彼女の空気を読んだような反応を受けて苦労して作った54ページを一度に破りましたわ。破った後もピンチ力でえぐったみたいになってるしあなたグラップラーの方が向いているのではなくて?

5、

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U19といい編集さんも倫理が不出来なのかしら?

哲平さんの不快さを生み出す黄金方程式は4話までずっと一緒でなんだか胸焼けがしますわね。あくまで常に事態を動かす決定権を持っているのに、何かが起こる度に起こした責任は考えず仕方のないこととして自分を都合よく許しながら愚を重ねていく。ポジティブの最悪の発露ですわ。

広がる地獄

今週はアイノイツキ(パクられ娘)がアシスタントとして帰ってきた。確かに主人公が未来の自分と協力した超えるべき壁として立ちはだかれば、結果的にホワイトナイトを越える作品を彼女が生み出し不幸な人間はいないことになる。と同時にわざわざ破滅する主人公と一緒に沈んでいかなければならないのは酷い話だ。

サクセスと破滅の両方を見せる。その腕前は故意でもそうでなくても感心させられると言えよう。

「なんだろうなこの漫画は昔みた漫画に似ている。」

「シュタインズゲートですか?」

「いや違うな、福本漫画だ。シュタインズゲートほどSFではないし、大抵クズのギャンブル漫画として見ても頭脳を重視するタイプでもない。」

「福本作品、読んだことないな〜」

ではこんな感じで、読むのをやめる人もいるだろうけど来週もよろしく。



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