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管理者養成学校に行った

はじめに

多分これを公開するのは帰ってきてから数ヶ月後とかになると思う。
あんまり行ってすぐ公開するのもどうかと思うし。なんか文句言われても嫌だし。

前にも少し書いたけど、入社して少ししてから「管理者養成学校」とかいう場所で外部研修を受けた。
多分一般的な知名度は低いと思うので軽く説明をすると、静岡県の富士山の麓にある施設で、コースによって3日間から2週間泊まり込みで研修を受ける。ネット上では「ただのパワハラ」「ここに行かせる企業はブラック」「時代にあってなさすぎる」とか散々な書かれよう。

まあおそらくこの記事を読んでいる人はここに行ったことがある人、もしくは今から行くことになっていて不安でネットの海を漂い、たどり着いた人でしょう。
この記事がそういう人の参考になれば幸いです。

まず始めに断っておくと、参加したのは”フレッシュマン颯爽研修”(通称:颯爽コース)という新入社員を対象にしたコース。
同じ会社の同期が自分含めて数人、その他の会社から来ていた人を合わせると全部で30人余りが7泊8日の研修を受けた。全部で3つの班に分かれて、基本的にほとんどの時間をこの班で行動する。

公式HPに載っていた目的はこんな感じ

正確で適切なマンツーマン指導のもと、社会人として正しい礼儀や基礎的なコミュニケーション力を反復練習により養う。
また、ビジネスにおける行動力を徹底的に考え抜き、暗記することで、行動力を身につけます。

学校内の生活

静岡の山奥にある昭和感満載の施設で少なくとも1週間過ごすことになる。
ネット上で噂レベルに書かれてる校内のルールについて解説する。

基本的に電子機器は回収され、帰る日まで手元に戻ってこない。これを聞くと1週間もスマホ触れないなんて無理!と思うかもしれないが、意外と余裕。
「私毎日1時間はTik Tok見ないと死ぬ!」と言ってた同期の女子もスマホのことなんて忘れてたので余裕。

食堂でしか水が飲めない。
これが一番キモいルール。何故か部屋で水分補給をすることは禁止されており、水を飲むためにわざわざ食堂へ行かないといけない。自販機でジュースを買ったときも食堂でしか飲めない。ちなみに酒も売ってる。

タバコはやたら吸える。
そこまで広くない敷地内に喫煙所が10ヶ所くらいある。昭和すぎる。
講師もみんな喫煙者なのでタバコだけはやたら吸うタイミングがあって、2〜3時間に1回は吸える。喫煙所で他社の人とも仲良くなる。

部屋は4人で一部屋。
コロナ禍ということもあり、広めの部屋に4人で寝る。まあ部屋のメンバーが関係するのは寝る時くらいだからあまり関係ないけど。
男子部屋は基本的にプライバシーはない。


スケジュール

大まかな1日の流れを説明する。

5時半 起床。
5時半起床と書いたが、5時半に起床していては諸々の準備が間に合わないのでだいたい5時15分とかには起きる。身だしなみを整えて訓練服に着替えたら班で1回集まる。時期にもよるけどめっちゃ寒い。

6時 朝礼
晴れていれば外(中庭みたいな朝礼台があるスペース)雨なら食堂でその時施設にいる生徒全員で行う。
校歌斉唱、前日の諸注意などが終わると
「それでは前に出て話したいことがある人」
と司会みたいな立ち位置の講師が言う。
これに0.2秒で反応して手を挙げなくてはいけない。全員。
ちなみに初日とか2日目はだいたい手を挙げないけど最後の方は全員挙げるようになる。その方が楽なので。
講師に指名された人は朝から大声で1分間スピーチする。内容とかは関係ない。とにかく大きい声かどうかが重視される。
これを3〜4人やった後、ラジオ体操を行う。ラジオはないけど。
全員で「イチ!ニ!サン!シ!」と大声を出して全力で体操する。
普通に筋肉痛になる。

7時 朝食
ご飯は特に厳しくない。別に嫌いなもの残したりしても何も言われない。
味はまあ普通。施設の見た目通りの味という感じ。食えないほど不味いものとかは出ない。

7時30分 清掃
自分たちが使っている部屋とそれに準ずる共用部の清掃をする。毎日点数が付けられるが多分最終日まで合格点は出ないのであまり気にせずやった方がいい。
昨日言われたことを完璧にやっても次の日には新しい場所について文句を言われるようになっているので。

8時〜12時 午前の部
訓練服についたリボンを取る時間。それぞれについては後述するのでここでは割愛。

12時 昼食

13時〜19時 午後の部
午前の部と基本的には一緒。

19時 夕食

19時半〜21時 夜の部
講師はいないが、書類を作成したり自習する時間。風呂は班ごとに30分交代で入る。シャワーが2つしかない。

21時〜22時 自由時間
唯一の自由時間だが、携帯を没収されている現代人に1時間暇を潰す術はないのでとても暇。食堂でジュース飲んだりする。

22時〜22時半 就寝準備・消灯
ここでようやく訓練服を脱げる。30分で寝る準備をして22時半には完全に消灯する。22時半以降に喋っていたり電気をつけていると信じられないくらいキレられるので修学旅行みたいなことにはならないです。マジで消灯、就寝。

1日の流れは大体こんな感じ。
もちろん日によって多少は違うし、参加するコースが違えば全然違うと思うけど。

リボン

次に訓練服についてるリボンについて。
管理者養成学校にいる間ずっと着る事になる訓練服(白装束みたいなやつ)には最初に14個のリボンがつけられる。リボンには審査項目がそれぞれ書いてあり、審査に合格するとリボンを外せる。
これを全部外せたら晴れて卒業となりシャバの世界へ帰れるというシステムなのだが、なかなか外れない。全体を通して言えることだけど審査1回目で合格とかまず無い。気合いが足りない、声が小さい、覇気がない、表現力がない、みたいな不明瞭な基準で不合格になる。
100点満点中30点で合格なのに3点とか言われる。普通に。
よって最終日に5.6個残ってるとかザラにあるので今から行く人は最初のうちにリボンが外せなくてもあまり気にしないように。

以下各リボンの詳細です。参考程度に。

・発声
シンプル。ただ大きな声を出す。それだけ。
喉潰した人から合格が出る。

・行動力基本動作10カ条
ネットで検索すれば出てくるが、憲法の条文みたいなのを一字一句覚える。
2分以内に10文字以下のミスで言えたら合格。もちろん大声で。

・歌唱
「旅立ちのとき」というオリジナルソングを歌う。大声で。
ちなみにこれ以外にもやたらオリジナルソングがあって無駄に覚えさせられる。おかげで5日目くらいから鼻歌も全部この学校の歌になる。

・素読
人生について書かれた詩を朗読する。大声で。
感情がこもってるかどうかという最も曖昧な基準の審査の一つ。

・電話
電話対応をする。大声で。
14個のリボンの中だとかなり楽な部類に入ると思う。

・報告書
毎日社長に向けてお手紙を書く。やたら長文で。
細かい書式が決まっていて、少しでもミスると失格になる。
もちろん中身も添削される。

・清書
お手本通りに「いろはにほへと」を書き写すだけ。
字が綺麗かとかはあんまり関係ないっぽい。
最後まで合格基準がわからなかった。

・早書
信じられない速さで読まれる文章をメモして同じ内容を話すというモノ。
講師の読むスピードで難易度が変わりまくるので、後半の方になればゆっくり読まれるようになる。楽な部類。

・体操
ラジオ体操を大声で間違えずにしっかりとやる。
これは結構周りが応援したりして盛り上がる。

・1分間スピーチ
みんなの前で1分間スピーチをする。大声で。
中々合格点が出ない。しかも3回合格しないとリボンが取れない。
毎日これのためにエピソードトークを考える。話すことなさすぎて2017年のオードリーみたいな状態になる。

・電話報告
電話の向こうにいる講師に向かって2分間スピーチする。大声で。
これだけ何故か本物の電話を使う。謎。
電話を使うだけで、やることは1分間スピーチと同じなのでムカつく。

・40の質問
ラスボス前の難敵。
「挨拶の効用」という異常に長い文章を丸暗記してスピーチする。大声で。
後半はこれを覚えるために全ての自由時間が消える。

・卒業試験
ラスボス。5分間自由にスピーチする。大声で。
でも多分これは確定で合格が出る。
このスピーチでこれまで泣かなかった奴も結構泣く。
これが終われば帰れるので頑張って。

・礼儀
最後まで外れない。
多分「最終日まで礼儀に気を使え」的な意味のもの。
審査とかもないので、卒業試験合格と共に自動的に外れる。
特に気にしなくていい。

以上が各審査の内容。
ザッと見てもらえればわかるけど、とにかく大声。
何をするにしても大声。
逆に大声出してれば多少歌が下手でも合格になったりする。
正直明確な合格基準があるのは行動力基本動作10カ条くらいなので、あまり深く考えずやることをお勧めする。

雑感

本当にゴミのような日々だった。
同期はみんな泣いてたし、帰りたいという思いはあったが、個人的には行く前に思ってたほど辛い日々ではなかった。
あんな山奥に10日間も行かされて特に得るものはなく、人生において印象深い経験でもなく、かといってすごく面白いエピソードがあったわけでもない。(これに関しては自分の話術の問題かもしれないけど)

食堂に貼ってあった古い新聞にこの学校のことが紹介されている記事が書かれていて、何となく読んだら創設者が日大芸術学部の出身だった。こんな施設を作る奴が日芸出身なことに少しショックを受けたけど、これも芸術の一部なんだと思って耐えることにしたのを覚えている。

この研修に参加させる企業の意図は大きく分けて2通りあると思う。

一つは研修を通して生まれ変わってほしいと心から願っている企業。
変なベンチャー企業や古い体質の企業はこういう感じで、新入社員は元気とやる気が一番大事!みたいなことを本気で思っている社長に送り込まれている。
もう一つは別に生まれ変わって欲しいわけではないけど、社会人の最初にある程度厳しい体験させとくか、パターンの企業。
この場合、研修から帰った後の本業のブラック度合いを麻痺させる効果があるのでそれなりに意味はある気もする。

弊社は後者のパターン。
なのにあんまり辛くなかった。
3食ちゃんと出るし、睡眠はしっかり取れるし、むしろ生活習慣的には健康的だし、理不尽なことはあるけど怒鳴られたりはしないし。

だからこそしんどかった。研修に意味を見出せなくて。

言いたいことはそれだけ。
もし、もう一回あそこに行ってこいと会社に言われたら辞めます。


おまけ

もし万が一この記事を最後まで読んだ、これから管理者養成学校へ行く、不安で夜も眠れない、楽に帰る方法が知りたい。
みたいな人がいたら続きを読んでください。
誰でも見られる状態にして怒られたら嫌だし有料記事というものをやってみたいので300円だけもらいます。

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