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監護権の話 〜調査官調査

親権には身上監護権と財産管理権があって、離婚が確定する前にこの監護権を争うことがあります。監護権とは、要するに子どもを養育する権利のことです。

例えば子どもが配偶者に連れ去られたとき、家庭裁判所に監護権の審判というものを申し立てることで、子どもの身柄を取り戻そうとすることができます。親権の争いで裁判をしている場合、大概がこの監護権の審判です。

この監護権の審判では裁判所の調査官による調査が行われるのが通例です。この調査官調査が超重要で、調査官は調査結果を報告書にまとめて裁判官に提出するのですが、この報告書にはどちらを監護者とすべきか調査官の判断が含まれます。
裁判官がこの調査官調査の結果をひっくり返すことは余程の理由がなければまず考えられず、監護権の審判は事実上調査官調査の結果で決まります。

私の場合、調査官調査は妻と私に対する面談、妻と私の家庭訪問、私の母親との面談、さらには保育園ヒアリング、児童相談所からの意見聴取が行われました。

調査官との面談では2時間がっつり聴取が行われました。内容はかなり細かく、新卒からこれまでの会社遍歴から家系図、子育ての様子、そのときどんな気持ちだったか、収入の見通しに再婚予定まで聞かれました。長丁場と思いきやあっという間でした。調査官の腕なのか、気を抜くと気持ちよく喋ってしまい、途中で冷静さを取り戻さねばと自分に何度もブレーキをかけました。

家庭訪問では私の母親も主たる監護補助者として面談をしました。ここでも健康状態から収入まで事細かに聞かれたそうです。
調査官は部屋の様子もかなり細かく見ていました。掃除の程度、クローゼットの中身、お風呂にトイレ、キッチン、全て見ていきました。確認点はいろいろあったようですが、子育てに適した清潔な家であるか、洋服やおもちゃなどの子育て関連用品があるか、お風呂に子ども用シャンプーや椅子があるか、トイレに子ども用便座があるか、テーブルの角をガードしているか、キッチンの安全が確保されているかなど、子育てを本当にしていれば必ずあるものの確認、どのくらい子どもに関心があるかを物品から推察していたようです。家庭訪問では私と子どものかかわり合いが細かくチェックされていました。そもそも懐いているか、声かけの仕方、泣いたときの対応、かなり細かくチェックされていました。

保育園にもヒアリングが行われました。出席日数、どちらがどれだけ送り迎えをしたか、発熱時の対応はどちらがしたかなど、正確に報告がなされていました。その他保育園での様子、親として保育園とコミュニケーションが取れているかなど、全く嘘がつけないレベルで報告がされていました。保育園の先生方には大変ご面倒をおかけしました。改めて大変な仕事だと思います。

当然妻側にも面談と家庭訪問が行われました。これもまた事細かにヒアリングがなされていました。

調査官のバックグラウンドはよく分からないのですが、調査官は柔和に見えて見るべきはしっかりと見ており、またどちらが監護者として相応しいか判断まで行っています。事実上子どもの人生を決めているわけで、凄まじい重責を求められる仕事です。本当に頭が下がります。


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