司法試験本番で裏面を解き忘れた男の末路

【2021.3.23 末尾に追記】 

こんにちは、お久しぶりです。
 Twitterを見てくださっている方には言わずもがなだと思いますが、タイトルの「裏面解き忘れ男」は何を隠そうこの私ですこちらの記事でサクっと触れた通り、私は2020年司法試験1日目の国際私法科目であろうことか「裏面にある設問に気付かずまるまる解き忘れる」という大失態を犯しています。
 「オイオイオイオイオイ」という話なのですが、あの、まさにこれは、言わば、仕方がないという中においてですね、仕方ないよね、という、まさにそういう側面も、あるわけであります(全力の言い訳)。こちらをご覧ください。

画像1

はい。こちら令和2年司法試験国際私法の問題です。美しいですよね。見開き左側に第1問、右側に第2問のシンメトリー。小問やリード文の量も絶妙に均等でバランスが至高の域です。フランク・ロイド・ライトの設計した旧帝国ホテル本館すら彷彿とさせますね。やる気漲る司法試験先頭科目で開始早々に冊子を開けたところこんなに美しい出題が目に入ったら、もうたまりません。シンメトリー厨の私は涎ダラダラ垂れ流しながら答案構成に取り掛かりました。では、続いてこちらをご覧ください。

画像2

ぶっさw試験室抜けるわw。なんとも不細工な問題ですね。こんな中途半端なレイアウトして恥ずかしくないんでしょうか。私だったら穴があったら入りたいです。本当にどうしようもない出題ですね。
 はい。ということでお気づきかと思いますが、この画像2枚目こそが令和2年国際私法の問題の「裏面」だったのです。画像1枚目の続きに、ページをめくるとこれがあったんです。いや~~~~気づきます、これ?私は気づけませんでした。穴があったら入りたい。

 まあそんなわけで私は裏面を解き忘れてしまったわけです。試験中やけに時間と解答欄余るな~~~と思ったとか、気付いたのが試験全日程終了後で助かったとか、まあ色々話したいことはあるのですがそんなことは今回どうでもよくて。結局これってどうなん?という話です。こんなミスしたら試験結果どうなっちゃうの?って話です。
 試験後に国際私法の先生や受験生とも話したところ、裏面の配点はおそらく25~30点あるだろうということでした。ということは、残り75点満点で闘うことになります。司法試験は基本的には並程度の出来だと50点が付くようになっているのですが、そうすると並の出来だと得点率5割で37点くらいになる計算です。私は国際私法は模試とかではまさに並の出来でしたので、おそらく35点とかそのくらいの点数が付くだろうと予測していました。そうすると、他の7科目の感触がかなりイマイチだったことを加味すると、どうも合格点に届かないのですよね。そんなわけで、試験後は合格発表まで常に「どうして裏面を確認しなかったのさ…バカバカバカ…」と病んでいました。
 時は流れ2021年1月20日の合格発表。正直もう無理やろという感じで意気消沈しながら確認したのですが、、まさかの合格でした!!!本当にうれしかったし、なんかもう茫然自失という感じでしたがまあそれも今回はどうでも良くて。国際私法どうなったん?という話ですね。これがどう評価されたのか。合格したからには合格点を取れたということですが、先述の通り感触的にはどうシミュレーションしても合格点には届かなかったはずなんです。で、一体どういうことやねんと思いつつ今日1月30日に成績通知が来たのですが、問題の国際私法は…


54点

でした。おおお?先述の通り、裏面の配点を考えると私の答案は75点満点なはずであって、そうすると得点率が72%ということになります。これは国際私法だと1位クラスの得点率です。とてもじゃないけど私がそんなに出来てるとは思えないので、どうも単純には受け取れない。というわけで考えてみたのですが、以下のような仮説がありえるのかな、と感じます。
 まず、裏面の配点が圧縮されたという説です。どういうことかというと、私以外にも裏面解き忘れちゃった人が沢山いたため、試験委員の方で「これじゃ試験成り立たねえ、やべえ」という話になり裏面に配点を本来の25~30点から圧縮したのではないかということです。そのため私の受けた失点ダメージも想定より小さくなったのではないかということです。もっとも、この説にも反論があって、私の友人やTwitterなどで観測している限りでは、国際私法受験者で裏面解き忘れた人は殆どいないのです。ただ再反論もありまして、「殆ど」とはどういうことかというと5chの掲示板に一人いたのです。というか、私はその方のコメントを読んでミスに気付かされたのですが、ともかく観測できない範囲で実は沢山いるのかも、という再反論はあり得ます。この辺はもし本当に解き忘れが多かったなら採点実感で触れられると思いますのでそこで真偽を確認できるのではないかと思います。
 もう1つの説ですが、そもそも得点が素点じゃないせいじゃないかという説です。というのも、司法試験の得点というのは採点基準票に従って算出された素点がそのまま反映されるのではなく、それを加工して一種の偏差値のような形に計算しなおしたものが得点として計上されるとされています。そうすると、0点や100点なんかは滅多に付かず、だいたい30点~70点程度の幅に収斂していくわけです。その結果、素点ベースよりも得点ベースの方が点差が圧縮され小さくなりやすいと言えます。そのため私の失点ダメージが得点上は軽減されたのではないか、ということです。たしかにこれもありそうな話なのですがやはり反論があります。というのも、得点が偏差値(的なもの)だとすると、54点というのは平均的な出来よりも良い出来ということになります。とすると、私の失点ダメージが圧縮されることを加味しても、そもそもの素点自体も真ん中らへんより良かったということになってしまいます。とはいえ、裏面まるまる解き損ねた事実は変わらないわけですから、やっぱりそれはちょっと無いんじゃねえの?というのが私の考えです。

 ということで、結局なにがどうなって54点になったのかはハッキリとは分かりませんでした。ただ、ここからどんなインプリケーションがあるかというと、「問題まるまる解き忘れても、ダメージは軽減される」ということかと思います(※記事末尾に追記があります)。なので、もしもこの記事を読んでくださっている方が司法試験で問題解き忘れてしまってウオオオオオオとなっていたとしても、「あなたが思っているほどのダメージじゃ無いよ」ということです。だから、そんなに悲しい顔をしないでください。そのことを伝えたくてこの記事を書きました。

 最後に、そもそも「裏面を解き忘れる」というバカなことをしないための対策法をお伝えしておきます。
 1つは、試験の問題用紙は次ページまで熟読すること。また、選択科目では問題冊子の表紙に各科目が何ページから何ページまであるかの目次があるので、そちらもしっかり確認すること。当たり前ですね。
 もう1つは、過去問をフルスケールでしっかり答案まで書くことです。どういうことか。実はお恥ずかしい話ですが私、国際私法の過去問をフルで書いたことがありませんでした。答案構成ばかりしていたんですね。なので、国際私法を本番形式で書いたのは模試での僅か1回だけで、たったそれだけの経験で司法試験に突っ込んでしまいました。その結果、司法試験本番の試験中に「なんか時間余ったな~」「なんか解答用紙余ったな~」となっても、異変に気付けなかったのです。「まあ、こんなもんか。」と思ってしまいました。過去問演習をしっかりやり、時間の相場観・分量の相場観をしっかり把握していれば「何かがおかしい」と気付けたはずです。私はそのシグナルを読み取れませんでした。冒頭で「アンラッキーでした」「かわいそうな私」みたいなニュアンスを醸し出していましたが、It's all my fault、完全に私自身の実力不足だったわけですね。

 そういうことですので、まずはとにかく裏面を解き忘れるなんてバカな真似はしないこと!そして、もし万が一やらかしちゃっても、意外とダメージ無いよということ!この2つを今日は覚えて帰っていただければと思います。

 最後までありがとうございました。ではでは~


【2021.3.23 追記】 
 先ほど令和2年司法試験の採点実感が公表されたのですが、国際私法に下記のような記述がありました。

画像3

 ここまで私のnoteを読んでくださった方には既におわかりかと思いますが、明らかに時間の制約ではないのですが
 それにしても、私以外にも同じやらかしをした同志が一定数いらっしゃったようでうれしいですねぇ!(私自身、最近Twitterで新たに1人発見しました)。そうすると、1つ目の裏面の配点が圧縮されたという説が信憑性を帯びてくるような気もします。
 一方、これは後出しで申し訳ないのですが、記事執筆後の得点開示を見たところ、国際私法以外の科目得点率は軒並み7割オーバーでしたので、国際私法においても単純に私が裏面の解き忘れた問題以外で7割ほど得点し54点に達した可能性もあります。そうすると、必ずしも得点圧縮説を支持できるとは限らないかなとも感じます。
 結局のところよくわからんなあという帰結になってしまうのですが、ひとつ言えることがあるとすれば裏面解き忘れてもみんなもヤってるかもだから気落ちしないで!ということですね。
 このnoteが試験委員の先生方に目に触れ、来年度以降の作問で活かされることを願います。


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