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勝利の咆哮『ウマ娘プリティーダービー 新時代の扉』レビュー

【概要】

監督 山本 健
脚本 𠮷村清子
 スマホゲーム『ウマ娘プリティーダービー』を原作にしたアニメ映画。Youtubeで公開されていた『Road To The Top』の続編。
3期まで制作されているTVアニメシリーズもあるが、こちらとは世界線が違う。

【あらすじ】

自由気ままなフリースタイル・レースで、
最強を目指して走り続けてきたウマ娘の少女、ポッケことジャングルポケット。
気まぐれに観戦した<トゥインクル・シリーズ>のレースで、
フジキセキの走りに衝撃を受けたポッケは、
自らも<トゥインクル・シリーズ>に挑むことを決意する。
ウマ娘たちの集う『トレセン学園』に入ったポッケは、フジキセキを育てたタナベトレーナーのもと、
一生に一度しか挑戦を許されない『クラシック三冠レース』に挑む。
そこに待ち受けていたのは、ポッケをもしのぐ実力をもつ同世代のライバルたちだった。

公式HPより引用

【見る前の気持ち】

 私はトレーナー(『ウマ娘』のプレイヤーのこと)なので、もちろん楽しみにしていました!
当然、初日の最初の回へバクシンバクシン!!
ちなみに筆者の推しはタイシン、CB、アヤベさん辺りです。追込ばっか。

注意:ネタバレします
   まあ、史実を知っていれば、それがもうネタバレなんけどね。

【用語説明】

ウマ娘
 耳と尻尾が特徴の女性。人類をはるかに凌駕する身体能力を持ち、別世界の名前と運命を背負って生まれる。なぜか見目麗しい女性だけしか存在しない。本能的に走ることが好きで好きで仕方ない。
 ⇒要するに現実世界におけるサラブレットの女体化。

トレセン学園
 ウマ娘が通う学園。各地にそれぞれ学園があるが、東京都府中の学園の試験は非常に難しい。入れただけでエリート(ウララちゃんは別だ)。
 ⇒要はJRA。

【登場人物】

ジャングルポケット(藤本侑里)
 主人公のウマ娘。オレっ娘。ヤンキー体質。
 フジキセキの走りに魅了されている。
 『最強』を目指してクラシック3冠に挑む。
アグネスタキオン上坂すみれ
 同期のライバル。マッドサイエンティスト
 ウマ娘の可能性を探求するためにいろいろ実験している。
 紅茶にめっちゃ砂糖を入れる。
マンハッタンカフェ小倉 唯
 同期のライバル。『おともだち』と呼ぶイマジナリーフレンドがいる
 絶対に追いつけない『おともだち』に追いつくために鍛錬を積んでいる。
 コーヒーをこよなく愛する。
ダンツフレーム(福嶋晴菜)
 同期のライバル。でかい。
 才能の無さを自覚しているが、それでもひたむきに頑張っている。
テイエムオペラオー徳井青空
 レースにおける先輩にして『世紀末覇王』。ぶっちぎりで強い。
 要はラスボス。
 常に芝居がかった話し方をする。
フジキセキ(松井恵理子)
 主人公の憧れの先輩。ヅカ系。こぼれそう
 めっちゃ強かったが、怪我でクラシック3冠に挑戦できなかった。
 学園に入学してきたジャングルポケットにトレーナーを紹介する。
 かわいい。そして南半球。
ナリタトップロード(中村カンナ)
 前作『Rord To The Top』の主人公。オペラオーの同期。でかい
 めっちゃいい人、というかお人好し。
タナベトレーナー(緒方賢一)※ヒト
 ベテラントレーナー。過去にフジキセキを指導していたが、怪我をさせてしまったことを後悔している。以降隠居していたが、フジキセキがジャングルポケットを連れてきたため、指導者として再起する。

【よかった点】

①  大迫力のレースシーン
 カメラワークが本当にすごい。現実の競馬もこれくらいの映像で見せてくれたらいいのに、と思うほど。絶対無理だけど。音も迫力あるし、これは映画館でぜひ見てほしい。
  ジャングルポケットの魅力がヤバい
 ジャンポケはまだゲームで育成キャラとして実装されていないため、まだどんなキャラが描写が少なかったが、今作でかなり掘り下げられた。
 まさか、あんなに後輩力が高いとは…。かわいい。
 タキオンに「勝ち逃げ」されたこと、それに起因する不調からの脱却が濃密に描かれていて、とても魅力的な主人公だった。
  フジキセキの魅力もすごい
 引退済みの先輩として主人公のメンターの役割を果たしているが、タナベトレーナーとの関係、その心にくすぶり続けるレースへの未練と渇望。ジャンポケとの関係の中で描かれるそれらが非常に魅力的。
 余談ですが、彼女は4戦で引退しており、クラシック3冠に挑戦できなかったので、終盤の勝負服(G1でしか着ない特別な衣装)のシーンは「ああ…本番では着れなかった勝負服をここで着るのか…」とエモく思っていたのですが、朝日杯(G1)勝っているのでしっかり着ていますね。勘違いでした。
④ めっちゃ映り込む大量のキャラ達
 セリフのあるキャラだけでも多いのに、セリフなしのキャラが映り込むので、探すだけでも結構楽しい。まあ…トレーナーにとっては、だが…。
 個人的にはアドマイヤベガの「病気」が出たシーンと、アストンマーチャンの「あれ」が出たシーンが最高でした。

【悪かった点】

①  前半の濃密さに比べると、後半の駆け足気味の展開が気になる
 菊花賞の描写が少ないので、序盤から登場しているマンハッタンカフェの見せ場が無いため、なんかぜぇぜぇ言ってる印象しかない。また、絶対王者テイエムオペラオーに挑戦するジャパンカップの前後にもうちょっとやり取りがあってもいいんじゃないかな。急に駆け足になってしまった印象。
 あと、ともに4戦全勝で怪我で引退という共通点を持つアグネスタキオンとフジキセキの会話もぜひ聞きたかった。そこでタキオンの隠している本音を吐露するようなシーンがあったら、多分泣いた。
②  ラストのとってつけたようなライブシーン
 『ウマ娘』にはレースに勝利した後のウィニングライブが付き物だし、当然それを最後に持ってくるのは分かる。ただ、それまでに全く言及が無いんじゃ、ご新規さんが混乱するだろ?セリフだとかでちょっと触れておけばいいんじゃないの?トレーナー以外も楽しめるように作るべき。

【まとめ】

 トレーナーとしては大満足な映画でした。
 スポ根、キャラの魅力、迫力のあるレースとライブシーン。『ウマ娘』に求められるすべてが内包されている良作だと思います。
 ただ、当然ながら『ウマ娘』を知らない人、現実の競馬のシステムになじみがない人には結構厳しいかも。

評価 ☆4 素晴らしいトレーナー向け映画

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