主役はワンダ『ドクター・ストレンジ マルチバース・オブ・マッドネス』レビュー

【概要】

2022年5月公開。MCUの28作目。
監督:サム・ライミ
脚本:ジェイド・バートレット マイケル・ウォルドロン

【あらすじ】

元天才外科医にして、上から目線の最強の魔術師ドクター・ストレンジ。
時間と空間を変幻自在に操る彼の魔術の中でも、最も危険とされる禁断の呪文によって“マルチバース”と呼ばれる謎に満ちた狂気の扉が開かれた──。
何もかもが変わりつつある世界を元に戻すため、ストレンジはかつてアベンジャーズを脅かすほど強大な力を見せたスカーレット・ウィッチことワンダに助けを求める。
しかし、もはや彼らの力だけではどうすることもできない恐るべき脅威が人類、そして全宇宙に迫っていた。
さらに驚くべきことに、その宇宙最大の脅威はドクター・ストレンジと全く同じ姿をしていて…。

公式HPより引用)

【登場人物】

ドクター・ストレンジベネディクト・カンバーバッチ/三上哲)
 本作の主人公で魔術師。「いかにもカンバーバッチ」な捻くれた天才。魔法でだいたい何でもできる。
ワンダ・マキシモフ(エリザベス・オルセン/行成とあ)
 アベンジャーズの魔女「スカーレット・ウィッチ」。『ワンダヴィジョン』でいろいろあったみたいだが、見ていないのでよく分からない。本作での立ち位置はヴィラン。
ウォン(ベネディクト・ウォン/田中美央)
 ストレンジが指パッチンで消えていた間に「ソーサラー・シュプリーム(至高の魔術師)に就任した。好き。
クリスティーン・パーマー(レイチェル・マクアダムス/松下奈緒
 ストレンジの元恋人の救急救命士。
アメリカ・チャベス(ソーチー・ゴメス/鬼頭明里)
 ヒロイン。次元間を移動する能力を持つ少女。能力の制御が出来ない。
トミー・マキシモフ(ジェット・クライン/上野黎也)
ビリー・マキシモフ(ジュリアン・ヒルヤード/宮岸泰成)
 ワンダが妊娠から僅か2日で出産した双子。詳細は『ワンダヴィジョン』を観よう。

<イルミナティ>
 異世界におけるヒーローたち。サノスを倒している。
バロン・モルド(キウェテル・イジョフォー/小野大輔)
 1作目に登場した魔術師。本作では異世界のバロン・モルドとして登場。
チャールズ・エグゼビア(パトリック・スチュワート/麦人)
 テレパシー能力を持ったミュータント。X-MENでおなじみのプロフェッサーX。イルミナティのリーダー。
キャプテン・カーター(ヘイリー・アトウェル/園崎未恵)
 スティーブ・ロジャースではなくペギー・カーターが強化人間になったようだ。盾が英国国旗になっている。
キャプテン・マーヴェル(ラシャーナ・リンチ/花藤蓮)
 キャロルではなく、彼女の親友マリア・ランボーがキャプテン・マーベルになったとか。
リード・リチャーズ(ジョン・クラシンスキー/星野貴紀)
 ファンタスティック4のリーダー。体を伸ばしたり縮めたり自在に変化させる能力を持つ。
ブラッカガー・ボルタゴン/ブラックボルト(アンソン・マウント)
 インヒューマンズの王。破壊力を持った声を武器に戦う。

<注意>
ネタバレがあります。
あくまでも個人の感想です。

【よかった点】

①    ホラー映画として秀逸
 ヒーロー映画を見に行ったと思っていたら、ホラー映画だった。ちゃんと怖かったし、ちゃんと面白かった。瞬間移動しても「まあ、ワンダだし」でだいたいOKなのは便利だ。せっかくなのでゴア表現がもうちょっとあってもいいと思うが・・・。ディズニーじゃなければもっと刺激的な映画になったのでは?
②    ワンダの強さ
 元々『インフィニティ・ウォー』や『エンド・ゲーム』では素でサノスを圧倒する実力を見せたワンダ。経験不足で不覚をとることもあったが、アベンジャーズでもキャプテン・マーベルと並ぶ最強候補だったが、ぷっつんワンダが存分に力をふるっているのは見応えがあった
③    ストレンゾンビ
 序盤からの伏線回収に加えて、戦い方も普段のストレンジと違ってよかった。

【悪かった点】

①    ワンダをうまく処分した感
 残っているアベンジャーズメンバーを見るとワンダが強すぎるので、今後の使い勝手は悪そうだな、と。契約も切れるのかな。だから最後に大暴れさせて死んでもらおうというような…。見せ場を作ってもらっただけマシかもしれないけどね。
②    かませ役が本当にただのかませ役
 プロフェッサーXとかファンタスティック4とか色々出したけど、もうちょい見せ場があっても良かったんじゃなかろうか。ワンダに手も足も出なさすぎた。比較的頑張ったキャプテン・カーターとキャプテン・マーヴェル(ランボー)もキャプテン・アメリカとキャプテン・マーヴェル(ダンバース)に相当するキャラであれば、もっとさぁ。主人公補正がついていないとこんなものか
③    マルチバース世界の描写がもう少しあってもよかった
せっかく異世界に行ったんだから、もうちょっと町中を歩くシーンが欲しかった。ストレンジとアメリカ・チャベスの関係性を深めることにも繋がると思うしね。
④    アクションは特筆するもの無し

【まとめ】

単体作品としてちゃんと面白いし、ちゃんと怖い
孤独故に狂気に身を委ねたワンダへの感情移入ができれば傑作ともいえると思う。そういう意味では独身の僕よりも、家族、特に子供がいる方が見ればもっと心を揺さぶられると思う。『ワンダヴィジョン』を見ていればもっと楽しめたかな。ちょっともったいなかった。
ただ…上でも触れたけども、ワンダをうまく処理したな…という。シリーズの1作品と考えると評価は1つ下がる。

ワンダはどうすれば幸せになれたのか。思えば酷い人生だ。
彼女の孤独を癒すことはできなかったのか。両親を失い、魂の半身であるピエトロを失い、愛するヴィジョンを失った。強すぎる力のせいで人々には恐れられるし。ワンダ好きだったから、少し悲しい。
主人公のストレンジのストーリーが「昔の彼女のことを吹っ切る」でしかないので、ワンダが実質的な主人公。さよならワンダ・マキシモフ

評価 ☆4(ちゃんと面白い)

今後のMCUはマルチバースを軸に展開していくんだろうけど…。
これ、もう世界観広がりすぎて正直しんどい。あんまり複雑にするとついていけなくなりそう。

【改善案】

なぜホークアイを出さないのか。ホークアイは『エイジ・オブ・ウルトロン』でワンダの兄ピエトロとの因縁もあるし、ワンダがアベンジャーズとして戦うきっかけも作っているし、『エンド・ゲーム』のラストでも会話があったじゃんか。彼が説得していれば…という思いがどうしても残ってしまう。
あと、やっぱりワンダを主人公に据えたこの物語も見てみたい。そっちも面白い気がする。

今後見たい映画が山積みなんですよね。『シン・ウルトラマン』『トップガン マーヴェリック』『マイティ・ソー ラブ&サンダー』『バズ・ライトイヤー』とか、怖いもの見たさで『Holic…』とか『バブル』とか『鋼の錬金術師』とか…。尺的にどう映画化するんだ『からかい上手の高木さん』『ゆるキャン△』とかね。楽しみですね。

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