愛あふれる『シン・ウルトラマン』レビュー

【概要】

2022年5月公開。空想特撮映画。扱いとしてはリブート映画。キャッチコピーは「そんなに人間が好きになったのか、ウルトラマン。」「空想と浪漫。そして、友情。」。
監督 樋口真嗣
脚本 庵野秀明

【あらすじ】

次々と巨大不明生物【禍威獣(カイジュウ)】があらわれ、その存在が日常となった日本。 通常兵器は全く役に立たず、限界を迎える日本政府は、禍威獣対策のスペシャリストを集結し、【禍威獣特設対策室】通称【禍特対(カトクタイ)】を設立。
班長・田村君男(西島秀俊)
作戦立案担当官・神永新二(斎藤工)
非粒子物理学者・滝 明久(有岡大貴)
汎用生物学者・船縁由美(早見あかり)が選ばれ、任務に当たっていた。 禍威獣の危機がせまる中、大気圏外から突如あらわれた銀色の巨人。 禍特対には、巨人対策のために分析官・浅見弘子(長澤まさみ)が新たに配属され、神永とバディを組むことに。
浅見による報告書に書かれていたのは・・・
【ウルトラマン(仮称)、正体不明】。

公式HP

<注意>
ネタバレがあります。
個人の感想です。

【登場人物】

神永 新二(斎藤 工)
 本作品の主人公。秘密主義者。もちろん、彼がウルトラマン
浅見 弘子(長澤 まさみ)
 専従班の新入り。他人の尻も自分の尻も叩く。大きいにも程がある
滝 明久(有岡 大貴)
 専従班の非粒子物理学者。無力感に苛まれてつい言いすぎたりする。
船縁 由美(早見 あかり)
 専従班の汎用生物学者。チームの潤滑油的存在。ストレスには弱め。
田村 君男(西島 秀俊)
 禍特対専従班の班長。いつでも冷静なみんなのリーダー。頼りになる。
宗像 龍彦(田中 哲司)
 禍特対の室長。現場が気持ちよく働くために結構頑張ってると思う。ナイス中間管理職。
<外星人>
ウルトラマン(仮)/リピア(高橋 一生)
 来たぞ、我らのウルトラマン。
ゾーフィ(山寺 宏一)
 ゾフィではなく、ゾーフィ。まさかの登場。
ザラブ(津田 健次郎)
 透明になれたり電磁波を操れたり芸達者。
メフィラス(山本 耕史)
 人気宇宙人。知性がある分、質が悪いと思うが、利害が一致すればそれなりにやっていけそうな感じがある。好き。

【見る前の気持ち】
実は『シン・ゴジラ』も観ていないし、ウルトラマンシリーズも言うてそんなに夢中になっていたわけでもない。まあ、話題作だし、よもや駄作ではないだろうし・・・。
大怪獣のあとしまつ』とかいう近年まれにみるゴミの記憶をスペシウム光線で粉砕してほしいなぁ。

【よかった点】

①    制作陣のウルトラマン及び特撮作品への愛
 作品のあらゆる部分にウルトラマンと特撮への愛が感じられた。冒頭の特撮感とか、いいよね。スペシウム光線のポーズとか、マネしたくなる。
 個人的には宇宙人ゾーフィのネタが使われていたのは笑ってしまった。ゼットンの1兆度の火球の「太陽系が蒸発する」というネタも使ってたし、最高でした。

伝説のネタ。誤情報らしい。

②    役者陣の演技
 西島秀俊のリーダーっぷりが特に格好良かった。あんなちゃんとしたリーダー、なかなかいないですよね。あと、竹野内豊が渋格好良かった。好き。
③    最後の最後であの演出
 なんと説明したらよいか、あの「デヤッ」的な『あれ』。「『あれ』、使ってないな。使わないのかな…」と思っていた『あれ』があそこで出てきて、すごく嬉しかったし、グッと来た。ちょっと泣きそうになった。
④    ウルトラマンの優しさ
 放射性物質をまき散らさないために禍威獣を爆散させずに倒し、後始末までしっかりやってくれるサービスっぷり。「大怪獣のあとしまつ」のデウス・エキス・マキナさん、見てますかー?

【悪かった点】

①    アクションは地味
 結構すぐスペシウム光線を撃ってしまうので、一つ一つの戦いに盛り上がりが足りない。もうちょっとプロレスやってくれてもいいんじゃよ…?
 謎の回転アクションは…笑えたからいいや。
②    あともう少し盛り上がりが欲しい
 全体的に一つ一つの事件の盛り上がりが薄いと感じる。以外とあっさり片付いてしまう。
③    脚本的に気になる部分がある
 神永が死んだのはまあ分かった。だが、そこからウルトラマン(仮)とどう邂逅したのか。ウルトラマン(仮)がなぜそこまで地球人を好きになったのか。地球人の考え方に興味を持ったのは分かったけど、それで命を捧げるほどなのか?
 また、神永は以前から専従班のメンバーだったはずで、いかに秘密主義者らしい神永とはいえ、新入りの浅見以外のメンバーが違和感を覚えないのはちょっとどうかと思う。以前の同僚を名乗る男も違和感が無かったみたいだし。でもウルトラマン(仮)が地球の知識を得るために本を読みまくっているのは結構好き
④    あの歌、使ってほしかった
 胸~に つけ~てる マークは流星~
 自慢の ジェットで 敵をう~つ~
 光の国から ぼくらのために
 来~たぞ われら~の ウル~ト~ラ~マ~ン

【まとめ】

きっと、ウルトラマンへの思い入れが強い人の方が楽しめると思う。私が気付かないような小ネタもきっとちりばめられているに違いない。
そこまでではない私としては、面白い作品ではあるが、傑作には遠く及ばない…という評価になってしまった。尺の都合で結構カットした部分が多かったんじゃないかとも思う。

評価 ☆3(普通におもしろい)

【改善案】

もうちょっとシーンを挿入した方が良かったんじゃないかな。浅見が捕まった描写とかさ。ウルトラマン(仮)が地球人への理解を進める、あるいは好意を持つ流れとして、一心同体となった神永との心的会話とかあっても良かったんじゃないかと思う。
全体的にシーンを絞った結果、少しずつ説明不足になってしまってるんじゃないかな。


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