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旅と日常。

ネパールを初めて訪れた時、ポカラという町で装備なしで行けるトレッキングに行ってみないかとお誘いがあり日帰りで登れる山を登った。

これまで日本で山登りをあえてしようという機会がなかったので、新鮮な気持ちで急な山道を一歩一歩歩んだ。

登った山の遥か高くにそびえる美しく神聖なヒマラヤの山々。

汗をかきながら、きつい坂道を登っていると無心に近い状態になることを覚え、到達した目的地から見えた清らかで美しい世界に心が華やいだ。

数年後再びネパールを訪れた時、もっと高い所へ登りたい気持ちが生まれ、一週間のトレッキングに向かった。

山道を歩き、カレーを食べ、山の宿で世界中から来ているトレッカーたちとストーブを囲む。

山歩きの楽しさを存分に味わった。

装備も揃え、登山の楽しみも覚えたので、日本に戻ってからも羊蹄山や駒ヶ岳、函館周辺で登れる山々を探しては友人たちと計画して、山登りする楽しみを続けている。

近所の函館山は一人でよく登る。

子供が小さい時は背負って登った。

それは函館山に登る魅力があるからであり、またいつかネパールを訪れることができたなら、またトレッキングに行きたいためのトレーニングだったりもする。

旅先で得た喜びを、目の前の地で同じように続け、その先にまた旅を夢想する。旅と日常は無縁ではない。

そう思いまた山へ向かう。


(北海道新聞みなみ風「立待岬」9/25掲載)


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