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セミの声 (加齢性難聴とオーディオ)

会話の途中で「えっ、何」と、聞き返すことがある。
自分の耳のせいだとは思いたくないが、歳とともに聴力の衰えを感じる。 まだ、普通の会話で困ることはない。だが夜に耳を澄ますとセミがいつも鳴いている。
 
今年の夏は、朝から異常にたくさんのセミが飛び回っている。
シャーシャーシャーの大合唱だ。
クマゼミばかりでアブラゼミがいない。ミンミンゼミもツクツクボウシもまだ現れない。
庭の金木犀にはビッシリと張り付いている。
このごろは近づいても逃げない。
地上一メートル位のところに、でかいのが五匹もいて驚かされる。


クマゼミ



鳴き声を気にし始めるとうるさくてかなわない。
セミの鳴き声の周波数は5000から8000ヘルツくらいだそうだ。
人間の可聴周波数は20から20000ヘルツといわれる。この聴こえる範囲が歳とともに狭くなる。

72歳の私は8000ヘルツ以上が聴こえない。若い頃は22000ヘルツまで聴こえるのが自慢だった。
どんな人でも聴力は衰えるので仕方がない。
セミが8000ヘルツ以上で鳴いてくれれば助かるのにと思う。
 

音楽鑑賞やオーディオいじりが趣味で、多くのアンプやスピーカーを製作した。良い装置といわれるものほど広い周波数領域を再生できる。
配線用ケーブルやスピーカーの下に敷くインシュレーター、コネクタなど凝り始めたらきりがない。
お金をかけるほど良くなりはするが、自分の耳は退化するいっぽうだ。

メーカーでは、新製品の試聴会をやっている。
東京方面ばかりで行くことはかなわないが、ネット上の記事で見ることができる。写真も出ている。
ところが、白髪や禿頭の年寄りばかりが目立つ。
この人達の耳は大丈夫なのか、もっともらしく評価もしているがどこまで聴き分けられるのか、信用できない。


音楽そのものを楽しむのに、装置はあまり関係ない。
聴く側の感受性が大事だと思う。

セミたちが鳴く声にも感じるものはある。
夏が終わるとともに消えてしまう、わずかな命。

鳴きやんだときの静けさも味わい深い。
 


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