始めさえすれば始まる

初めましての人は初めまして。
改まることでもないけれど、敢えて気持ち新たに挨拶からでもしてみよう。
どうもどうも、hi2jeeと書いてひつじと申します。
音楽が好きで、言葉が好きで、演技が好きで、料理が好き。
そして生きるのが上手でない。
そんな、とりわけなんの変哲もない男。

一つ面白くもなんともない自己を語ってみよう。なに、ただの戯言だと思って聞き流す…もとい読み流してもらって構わないし、なんなら初めから読む人だってそういないだろう。ここで引き返してもらっても大丈夫。ボールを受け取った、そう感じたから投げてみた、ただそれだけのことだから。

hi2jeeという人間は欠落者である。

自分という人間を表すのにこれ以上の言葉を僕は知らない。
問題があるとすれば、あまりにも短く纏めすぎであるということくらいか。

僕には生得的なものである障害であるところのADHDと、生きてきた中で獲得してしまった精神障害がある。ASDに関してはグレーだと当時言われたっけ。

そのような人間であるところの僕にとって、とかく人生というのは生きづらい。それはもう生きづらい。息しづらい。

根本的には人の気持ちなどわからない。わからないということをわかっている。無知の知ならぬ無理解の理解とでもいうのだろうか。何もかも忘れていくし、忘れたことさえ忘れる。人を傷つけたことも山のようにある。その倍くらい傷つけられてきたとも思うが、もしかするとこの発想そのものも欠けであるのかもしれない。

ただ、この欠落を何かの言い訳にすることだけはしたくない。
そう思ってここまで生き延びてきた。

僕は5人兄弟の長男で、親はそれはもう厳格な親だった。門限を破ったら家に入れてもらえず、何か悪いことをすれば一晩中外に立たされ、顔をぼこぼこに腫らしたまま学校に行ったこともある。
そんな中癒してくれるのは本であり、音楽だった。

本の中でも特に好んだのはファンタジーとミステリだった。読書をしている間はこの世界から逃げ出せているような気持ちになれた。ありがとう、ハリー・ポッター、ネシャン・サーガ、ダレン・シャン、果てしない物語、セブンスタワー、その他多くの空想に浸らせてくれた物語たち。ありがとう、シャーロック・ホームズ、アルセーヌ・ルパン、怪人20面相、十津川警部、謎と向き合わせてくれたすべての作品たち。
読書に優劣をつけるのはナンセンスだと思う。しかし僕はこれまで自分が好きだった本を語るのは避けていた節がある。所謂文学というものにあまり触れてこなかったことへの負い目なのかと言われればそうなのかもしれない。しかし、僕という人間を語る上でこれらの作品は外して語ることができない。それほどまでに、逃げ場としていたから。

音楽は人並みに好きだった。父親がバイオリンを弾け、母親がピアノを弾ける、そんな家庭だった。遺伝なのか環境なのか、とかく耳がよかった。絶対音感、とまではいかないが、相対音感は優れていると思う。そんな僕はというと、その時流行っている音楽をそれなりに聴く、そんな青春時代だった。誰かに合わせて、誰かと共感したくて。しかしそして、いつしかどれも聴かなくなった。キラキラしている音楽を聴くと反吐が出そうになった。社会の不条理や生きることの苦しさを語らない音楽が聴けなくなった。
その代わり、amazarashiと出会った。衝撃の出会いだった。言葉に殴られ、思いに殴られた。僕のための歌だ、そう思った。周りの人間は誰も知らなかったが、それが誇らしくさえあった。そして、そのあとHIPHOPに出会う。自分の言葉で、環境を抜け出すための歌詞を綴る。そんなあり方に憧れた。それが約4年ほど前となる。
食えないだろう、でもそれで生きていきたくなった。否、そうでなければ生きていけないと思った。無駄に拘りたくなってビートから手探りで手作りし始める。少しずつ形になっていく様が嬉しくてのめりこんだ。時折作ったものが売れるようになり、まるで自己が肯定されているかのような気になった。自分で歌詞も書いた。まだ一曲、でも始まりの一歩を踏み出す大事な一曲。どこかで無駄に年齢を重ねたように思っていたが、無駄じゃなかったというための一歩を踏み出した、そんな気がした。

この文章も書いているうちに蛇行し、それ以上に僕の内部が蛇行し、気づけばよくわからない文章になってきた。なので、

丁度いいからタイトルに戻ろうと思う。世界は混沌としていて、一寸先は闇で、手探りもままならない。それでも一歩踏み出してみた。そうしたら、目を凝らさねば見えないほどではあるが。わずかに光が灯った。そんな気がする。光があるから踏み出すのではないのだ。そんなものは持っているものの論理だ。それでも僕は、僕たちは、生きている以上踏み出し続けることになる。恐ろしくも、悔しくも。だからせめて、僕はこの一歩を、その一歩を祝したいと思うのだ。願わくばその道の先に僅かでも明かりが灯りますように。大丈夫じゃない。でも大丈夫。始めさえすれば、始まるのだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?