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松濤美術館の文体練習

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かつてレーモン・クノーは、1つの出来事を99通りの文体で提示し、その出来事のイメージを変幻自在に書き分けた。 これは建築空間を言語で説明するための、私にとっての建築文体練習である…
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2019年10月の記事一覧

15・映画キャンペーン

渋谷騒然! 閑静な住宅街に建つ松濤美術館に君は足を踏み入れたか? 金色と薄紅の小さな巨人―中央の空洞に隠された秘密とは! 渦巻く驚きをあなたに。 白井晟一が贈る、瞑想世界 松濤美術館 昭和56年10月1日オープン!!

14・脚韻

松濤美術館について記述したい そこは喧騒の街では決してない 目につくのは金色格子の外装材 紅雲石のピンク色は仄かに淡い 歩を進めると一面金色の建物内 空に浮かんだ橋の扉の先は暗い 階段を照らす灯りは記憶の触媒 地下深く沈み込んだ水盤は壮大 螺旋の空間体験はそうそう無い ここにあるのは白井晟一の世界。

13・頭韻

松濤に建つかの美術館は 紅潮した女性のような岩肌と 黄金のアクセサリーのような格子の 荘厳な外観を纏っている。 抱擁されるように中に入ると 黄金の天上に迎えられる。 神々しい中央の橋の先に 鋼鉄の扉が控えている。 照明に導かれて階段をゆき 透明な空と水盤の周りをゆく。