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巨石を訪ね、かつての聖地に触れる。
島根県の山間部、奥出雲町にある「権現山」の巨石を訪ねました。
加食集落から尾根伝いに続く登山道を歩いて、巨石を目指します。
30分ほど歩いて、ようやく巨石のある場所に到着。まずは天然石を彫り込んだ手水鉢がお出迎え。
この手水鉢がすごい。天然石を線状に切って岩清水を集め、それを手水鉢に引き込む構造になっていて、手水鉢には清らかな水が常時湛えられるようになっている。
この手水鉢の上には、寄進者の名前と年号が掘ってある。『文政六年(1823) 寄進 内田捨三良』と読める。この方が手水鉢を掘ったのだろう。
参拝道を石積みで整備した形跡がみられる。
これが今日の主役。天狗岩と呼ばれる巨石。
おそらくこの巨石は、とても古い時代から神聖視されていたのだと思う。やがて、この地に修験道が入ってきたことにより、巨石と蔵王権現が結びつき、ついにはこの山全体を権現山というようになったのではないだろうか。
巨石の下の隙間には、小さな祠がある。
巨石の説明板「天狗岩 蔵王権現の加食神社は権現山から明治四十年十二月大曲の本山神社に合祀」と書いてある。
権現山を下山して、少し移動した場所にある大曲の本山神社
本山神社の由緒書き。最後の方に「明治四十一年加食神社の安閑天皇を合祀奉れり」と書いてある。神仏習合の歴史の中で、蔵王権現は安閑天皇と同一視されてきたようなので、天狗岩を御本尊として祀っていた加食神社は、こちらに合祀されたということでよいようだ。