入院初夜
着の身着のまま病院を訪れ、その日に入院する事となった。
突然の出来事に驚くべき所なのだろうが、決まっていたことのようにすんなり受け入れられた。
車椅子のまま救急病棟の様な所に案内され、程なくベットイン。
時間は確か、16時くらい。
お昼ご飯も食べておらず、晩御飯も出ないとの事で嫁にヴィダーインゼリーを渡され、とりあえず今日はご帰宅いただいた。
一人ベットの上で、一抹の楽観的な感情で、ベットに横たわる。
横たわっていると特に身体を動かす必要もないので、身体が動かないことも気にならず、ウトウトと少し眠った。
数時間眠ったのか、目が覚める。
体育会系気質がまだ抜けない年頃なので、とりあえず何か食べると良くなるだろうと思いヴィダーインゼリーに目をやる。
ベッド横にあるヴィダーを取ろうと手を伸ばすと、動かしにくい、、、。
「なんか進行してる、、、??」
何とか手元に寄せ、飲み口のスクリューキャップを開けようとするも、開けれない、、、。
口を使って開けようとするも、上手く持てない、、、。
これはマズイ、、、。
仕方なくナースコールを押し、看護師さんに開けてもらった。
心よく開けてもらえた、ありがてぇ。
チュウチュウ飲んでみる。
なんか吸い込み辛い、、、。
ひとしきり吸い終え、サイドテーブルに押しやってみる。
「ん〜、これは重症かも、、、。」
改めて事の重大さがシンシンと降りかかってくる。
「でもまぁ、とりあえず寝よう。寝てみよう。」
現実逃避甚だしい思考回路で目を閉じてみた。
深夜、多分深夜、物音で目が覚めた。
どうやら救急でどなたかが運ばれてきたらしい。
ふと目を向けると、警察の方やら、なにやら物々しい。
聞き耳を立てると、マンションから落ちたとかどうとか。
わー、なんかテレビで見る感じの出来事やなと思いつつ、聞き耳を立てつつ、気付かぬうちに眠ってしまっていた。
人間は非日常に遭遇すると、客観的に物事を感じてしまうものなのでしょう。
なんとなく他人事な気持ちの中で、入院初夜は過ぎて行きました。
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