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社会保険料の負担減のために(税の特例により給付を減らす


(注 この記事には会計税務の情報はありません)
 以前「日銀の異次元緩和からの出口戦略(税の特例により出口を作る)」というnote記事を書いたのは2024年3月3日でした。その日のドル円相場は1ドル150円程度でした。それから4か月、本日7月21日は157円程度です。

 この間、1ドル161円といった時期もあり、かなり円安のマイナス面とか、円安が金利差要因以外によるのではないか(日本の国力の低下や円の信認の低下が原因ではないか)といった報道を見るようになってきました。

一部の高齢者への預金の集中

 「一部の高齢者に預金が集中し、それが動かなくなっていること」が様々な問題を起こしているのではないかと思っています。

・高齢であり、住宅取得や子育てといったライフイベントも終わって、倹約志向も強いので消費に回らない
・老後資金又は次世代に渡すためのお金であるため、投資にも回らない(相続が発生しても、老老相続で次世代も高齢者だったりする)

 このため預金に貯まる一方となり、結果として
・高齢者の預金>金融機関の日銀当座預金>日銀の保有国債
がそれぞれ巨額になっています。
 金利を上げると日銀の保有国債の評価損により日銀が実質債務超過になるとか、当座預金の付利により金融機関に棚ぼた的利益が生じるといった問題があり、金利を上げることがしにくくなっています。
 
 もちろん、高齢者の預金の一部でも急に消費に回ればインフレになるでしょうし、急に外貨建投資に回ればキャピタル・フライト(資本逃避)となって円の暴落を招くでしょう。急に国内の株式や不動産に向かえば資産バブルを招きます。そういう意味では、とにかく急な動きは弊害が大きく、変動は徐々である必要があります。

 note記事「日銀の異次元緩和からの出口戦略(税の特例により出口を作る)」に記載した、日本国債には相続税を課さないとする案の主眼は、高齢者が預金を通じてでなく直接日本国債を保有するように誘導することです。
 高齢者が直接日本国債を保有するよう誘導することで、
・高齢者の預金>金融機関の日銀当座預金>日銀の保有国債
 これら全てを減額することができるでしょう。

 本記事ではもう一つ、社会保険料の引き下げのために、高齢者が社会保険の給付を受けることを辞退または延期するように、税の特例を使って誘導できないか?ということを記載します。

問題の所在はどこか?

 最近、社会保険料の負担が大きいことに端を発して、主な問題を
・現役世代と高齢者の世代間格差
とする見方があります。これも重要な点ですが、高齢者の間での資産格差は非常に大きく、年金収入も金融資産も少ない高齢者も多数いることから、これは一面的です。
 また、従来からの
・資本家と労働者の階級対立
という図式も、また一面的です。ふつうの会社員が高配当株による資産形成を目指していたら、資本家と労働者のどちらになるのでしょうか?
 また、多額の金融資産を保有している高齢者でも、普段はつましい生活をしているということはごく普通のことです。消費してくれれば、経済規模の拡大につながるのですが、補助金(全国旅行支援のような)で消費を促すことも世代間格差を拡大させる面もあり、難しいです。

 高齢者の負担を一律に引き上げる(例えば医療費の負担割合を引き上げる)ことも実態に合わず、多額の資産を有している高齢者の負担を増やそうと考える(例えば相続税の税率引き上げ)ことも、いわゆる節税対策へのニーズを増やしてしまい、弊害が大きいと思います。
 (なお「借金をしてアパート経営」に代表されるような、いわゆる相続税対策については、本記事では詳述しませんが社会全体のリソースの無駄遣いと思っています)

社会保険料の引き下げのために(税の特例による誘導)

 保険診療の医療費について、1割から3割といった所定の割合以上に自費で負担したら、その累積額を相続税から控除するようにしてはいかがでしょうか。当該金額を負担しないで相続財産に残った場合と比べて、当該金額に税率を乗じた分だけ有利になります。

基礎控除を差し引いた後の相続財産を10,100、相続税率10%とする

 また、その年の所得税申告でも医療費控除により所得税の節税となります。 技術的には、マイナンバー及びマイナンバー保険証という基盤を活用すれば、十分可能と思います。
 長い目で見て相続税収を減少させることになりますが、健康保険制度からの給付を減らし、健康保険料を減額するほうが急務と思います。なお介護保険も同様です。

 年金についても、年金を受給しなかった場合にその累積額を相続税から控除することを提案します。当該金額を受給して、相続財産に残った場合と比べて、当該金額に税率を乗じた分だけ有利になります。

基礎控除を差し引いた後の相続財産を10,100、相続税率10%とする

  ただし年金については、病気をする等状況の変化により、年金を過去に受給しなかったことを後悔するようなことがあるかもしれません。このため、受給を辞退ではなく延期して、必要な場合は後で受給できるようにしておく必要があるでしょう。
 これも技術的には、マイナンバーという基盤を活用すれば、十分可能と思います。なお、既存の年金の繰上げ(又は繰下げ)受給の仕組みとの併存は可能と思います。
 これも長い目で見て相続税収を減少させることになりますが、年金制度からの給付を減らし、制度の持続可能性を向上させるほうが急務と思います。

 いずれも奇策であり、税金の税金の理論には全く適合しない暴論ではあります。また相続税の税収は減少しますし、富裕層優遇の批判は受けると思います。相続税がかかるかもしれないという層は限られるため、効果も限定的でしょう。しかし、社会保険料の負担の重さが、雇用の増加を阻害し、少子化の原因ともなっている現状では許容できるでしょう。
 もちろん、健康保険や介護保険については、給付の適正化という根本的なテーマがあります。この記事は、当面の健康保険や介護保険、年金制度からの給付を減らすために、税の仕組みの中で特例を講じることができるのではないかとの思いで作成しました。


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