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9月18日の日記 三度目のマイナスポトフ

・最初の挑戦から半月も経っているのか。

・まだ「レシピ通り作れたぞ」となってないのでスタートラインにも立てていません。

・食べる量を増やそうキャンペーンも同時にやっているので、これをおかずの一品にして別の料理も作ろう!と思っているのですが、作り置きがあると思うとついそれだけ食べてればいいやと手抜きをしてしまいます。

・圧力鍋の使い方も把握し、「もうちょっと分厚く切っても大丈夫だな」と食材の塩梅も分かってきました。

・一番ハードなのはじゃがいもの焦げ目付けです。キャベツや玉ねぎも大変ですが、じゃがいもは何といってもボリュームが変わりません。焦げ目が付いた順に鍋に放り込んでいくしかなく、一枚ずつひっくり返しては戻し、ひっくり返しては戻し。これが大変。

・単調な作業や煮込み時間の間は本を読んでいます。通勤時間は気も散漫で何も読めないのですが、どういうわけか料理中に読む本は面白い上にすぐ読める。何なんだろう。美味しいものを作り上げながら読書ができて私としてはありがたいです。

・今でこそ「主人公が一番好き」と言って憚らない王道人間ですが、昔はまったく違いました。「よい」とされるものをなかなか体験できず、端っこで脇役を愛でるようなことをよくしていました。

・夏目漱石を読み耽っていた時期があります。高校生でした。こころを読んで「何も分からない」と思ったのを覚えています。なので他の作品も読みました。小品も読みました。解説書も読みました。大学に入ってもまだ読んでいました。

・ただ、坊っちゃんと吾輩は猫であるは、未だに読めていません。

・好きじゃなかったらどうしよう。

・太宰治のよさは全く分からず、人間失格を読んでも斜陽を読んでも「つまり何なの?」と思っていました。太宰治のよさを分からないのは家族のうち私だけで、何がいいあそこがいいと聞きながら「太宰は十代のうちに読まなければ」と言う父と、下さい頷く母と弟とを白い目で見たりなどしました。

・好きじゃなければ、王道作品も別に読めるんです。

・好きだから、好きじゃなかったときのことが怖い。

・世間から疎外されたくなかったし、疎外されている事実を進んで知りたくもなかった。

・そうして今も読めずにいます。

・向田邦子もなかなか手が出せずにいました。怖いから。よさが分からなかったらいやだから。しかしこの度、やっとのことで手に取ることが適いました。うれしい!

・というわけで、今日の調理中に読み進めていたのです。向田邦子のエッセイ集。

・細雪を初めて読んだときのことを思い出しました。何がいいとは言えないが、ずっとこの文章に浸りたいという心地。気持ちいいぬるま湯。どこまでも広がっていく心の景色。

・いいじゃん。

・この前「えいやっ」と読んだ側へ渡っていく勇気を出してよかったな……。面白い……。面白いな……。

・いつか坊っちゃんを読める日も来るかもしれません。そろそろポトフも出来上がるので、このへんで。

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