見出し画像

FC Barcelona La Masia 40選 

世界屈指の育成機関であるFC Barcelonaの下部組織”La Masia”
ここから生まれた名選手の数々は筆者がわざわざ言及するまでもなく周知の事実であろう。
近頃、世間を賑わせているラミン•ヤマルやパウ•クバルシも同様に自慢のカンテラーノ(下部組織出身選手の総称)であるが、世間に知られていない素晴らしい才能は他にも数多く在籍しており、今回の記事を通して下部組織に少しでも興味関心を持って頂けたら幸いだ。
数年後に彼らの成長過程の変遷を振り返る上での備忘録として残しておきたいという筆者の個人的な都合もある。

各選手の記載方法は以下の通り。

記載番号 名前 年齢 評価点(10点満点)

ポジション別で並べたが、同じポジション内での紹介する順番に深い意味はない。
名前はアルファベット表記と筆者が普段使用しているカタカナ表記を併用する。実際の正しい発音とは異なる可能性に留意して欲しい。また、誤字脱字や情報の誤りも見逃してくれると嬉しい。

評価点が9.0を超えた選手は余程のことがない限り、間違いなくトップチームに昇格できる実力/将来性があると筆者が考えている、という認識でいいだろう。
これらの点数は全て筆者の主観的な指標の一つであるということを前提として、参考にして頂きたい。
目安として1年前の以下の2人に評価をつけた場合の点数を記載する。

Lamin Yamal  9.6/10
Pau Cubarsi   9.4/10


採用範囲は筆者が観測できている以下の範囲とする。

•Cadete A(U-16)
•Juvenil B,A(U-18,19)
•Barca Atletic (Bチーム)
•観測できているローンに出ているカンテラーノ



40人ということで各選手の特徴をコンパクトにまとめられるよう努力した。
今回の記事を読めばラマシア内で特に際立った選手に関する、ある程度の解像度は得られるはずだ。
気になった選手がいれば実際に試合を見てその解像度を更に深めてほしい。

尚、Bチームへの直輸入は果たしてカンテラーノなのか、という指摘に関しては受け付けていない。
アラウホとペドリはカンテラーノである。


GK編

1.Aron Yaakobishvili 18歳 8.6/10

ちょっ、イケメンすぎるって💦

U-19のゴールを守る足元の技術に優れたハンガリー人GK。
個人的に顔がめっちゃタイプ。
左右の足で正確なフィードを蹴ることができ、その精度はテアシュテーゲン程とまではいかないが、イニャキペーニャよりは上だろう。
ある程度の被弾はストップしてくれるが、ノーチャンスのシュートはほぼ軒並みゴールに吸い込まれる印象。
仕方ないと言われればそれまでだが、GKは足元下手くそでもシュートを止めれば御の字だと思っている筆者からすれば物足りない。身長も185cmで、もうひと超えといったところか。
最近、お兄さんがジローナでデビューした。

2.Ander Astralaga 20歳 8.9/10

声に出して読みたい名前してる。バスクって感じ

GKの名産地であるバスク州出身。
190cmの長身と長い手足を武器としたシュートストップに定評があり、調子がいい時は神がかったセーブを連発する。
ある程度のシュートは簡単に弾かず、できる限りキャッチしてくれるのも嬉しいポイント。飛び出してDFラインの裏ケアもやってくれる。
以前は”おもちゃ”と揶揄されるほど酷かったフィード精度も最近は及第点に達してきている印象(決して上手いとは言えない)
下部からは中々GKの芽が出ないが、久々に可能性がありそうな選手ではないかと個人的に思っている。
まずは2番手ポジを狙いましょう。

SB編

3.Hector Fort  17歳 9.1/10

中々激しめのタトゥー入れてらっしゃる

既にトップチームデビューも果たし、怪我人の影響もあるがリーグ戦のスタメンに名を連ねることもある新星。
ビルバオ戦で本職ではない左SBとして出場した際に、イニャキウィリアムズをほぼ完封したのには流石に驚いた。
彼の特徴はパラメータのバランスが良いことだろう。
少し前は特に特徴のない、いわゆるパッとしない選手、という印象だったが、185cmという体格と水準以上のスピードを持ち合わせ、ラマシア仕込みの基礎技術と上達傾向にあるクロス精度や保持局面での振る舞い(本人曰くカンセロをロールモデルにしているらしい)によって攻守共に満遍なくこなせる選手に成長していると思う。
カンセロの代わりとして左SBで出場することが殆どだが、本職の右で使ってあげて欲しい。

4.Guillem Victor   16歳 8.5/10

かっこよ

2-6invを両サイドで高水準にこなせる現代型SB。
小柄ながら高い基礎技術と戦術理解度でボール保持において重要な役割を担い、DMFの脇に顔を出し6番の位置でMFさながらのプレーをすることができ、後方からの配給にもゲームメイクにも優れている。
初めからDMFやIHとして出場することがあるのも彼の特徴を伸ばす要因であるのは間違いないだろう。
一時期は2-7invに固定されており、これでは彼の強みを活かせないと心配していたが最近はCBまでやり始め、色んなことをやれば良いと思いながら気楽に見守っている。
改善点は非保持。最近は少しづつ改善していると思う。

5.Xavi Espart  16歳 8.8/10

契約延長した時に着てた靴のTシャツ好き

近年のラマシアのSB育成事情は大外を主戦場とするいわゆる2-7invから保持タームにおいて中盤として振る舞える選手を育成する方向に転換したという報道を以前見たことがあり、前述したギジェムを良い例にそのようなプロフィールを持つ選手は実際に増えているように感じるが、エスパルトはこの類の選手の中でもトッププロスペクトであると言えよう。
元々中盤の選手であったため、DMFやIHで試合に出したとしても全く問題なくプレーできてしまう技術とプレス耐性に水準以上のアジリティを併せ持ち、近頃は胸板も厚くなった影響か以前は見られなかった力強さも出てきた。
最終ラインからDMF脇に顔を出してゲームメイクをするかと思えばそのまま8番の位置まで出張してチャンスメイクをし、2-6-8invを高いレベルで体現する。
懸念点と言えば例に漏れず小柄な体格であるが、最近は守備面でもメキメキと上達を見せているのであまり心配していない。
それに保持局面の貢献が計り知れないのである程度は目をつぶれるだろう。
U-19で出番を貰うことも増え、今後の成長が楽しみな選手の1人である。

6.Landry Farre  17歳 8.8/10

俺が責任持って右SBにしてやるからな

恵まれたフィジカルを駆使した対人性能が特徴の守備的SB。デカい速い強い。
良くも悪くもエスパルトとは対極の存在で、2人がフュージョンすれば最強SBが出来上がるのにな〜などと妄想したことは数知れず。
最終ラインの4ポジションを全てこなせ、世代別🇪🇸代表ではCBとして出場するほどディフェンス面で優れている。
U-19にも度々出場しており、一つ上のカテゴリーでも自慢のフィジカルが霞むことはない。
課題としては保持における振る舞いだろう。小柄な体格を補う形で保持面を向上させてきたギジェムやエスパルトと比べると、どうしても雑に見えてしまう。
しかし優れたフィジカルというのはやはり偉大であり、水準以上の基礎技術も持ち合わせているのだから改善の余地は大いにあると思っている。
エスパルトと並んで特に期待しているSBだ。

7.Alexis Olmedo  18歳 8.7/10

シャツイン!!

元々CBが本職であったが右SB不足により環境を変えたところ、大ハマりした選手。
CBとしては少し物足りなかった身長もSBとなれば大きい部類になり、アジリティやトップスピードも申し分ない。対人性能にも優れ、ある程度の守備強度を担保してくれる。
また、体格の割に基礎技術が高く、最終ラインからの配給もそつなくこなし、相手DFラインの裏にふわりと落とすパスが上手い。オーバーラップやインナーラップも積極的に行い、保持において自らも貢献することができる。
元CBが何故ここまで自然にSBの振る舞いができるのか不思議だ。
近頃はBチームデビューも果たし、上のカテゴリーでどこまでやれるのか楽しみである。

8.Albert Navarro  16歳 8.6/10

お米送りますね

高いキック精度が持ち味の長身左SB。
特筆すべきはやはりそのキック精度であり、FKを直接沈めることもCKでターゲットにドンピシャのクロスを上げることもできる。また190cm前後の長身故、空中戦にも強い。
近頃はスムーズなランニング(特に内側へのポジションチェンジ)を見せることも増えた。
今後の課題としては押し込んだときの振る舞い方か。
この局面では左大外の高い位置にポジショニングすることが殆どだが、ただ居るだけになってしまい大して意味がない。バックドアの回数を増やすだけでも大きな改善が見られるはずだ。
また、成長期ということもあるが、線の細さが目立ち身長の割には力強さが感じられない。ご飯いっぱい食え。
16歳にしてU-19のスタメンというだけでも素晴らしいことであるというのは忘れてはならないだろう。


9.Alex Valle  19歳 9.0/10

名前の正しい発音はなんですか

スペイン2部のレバンテに1年間のローン移籍で武者修行している左SB。
状況判断が非常に優れており、2-6invのSBとして理想的な振る舞いを見せてくれる。フィジカルが特に優れているわけではないが、水準以上のアジリティで及第点の守備対応をしてくれるので非保持が明らかな弱点になることも無い。
筆者の個人的に好きな選手だったため可能な限りレバンテを追っていた。
シーズン序盤は433システムを採用し、左SBのスタメン出場することが多かった。丁寧にボールを保持するチームであり、彼がとても活きる形だ。
事実、チームとしてのチャンスの多くはヴァレを起点とした左サイドの攻略であり、良いチームに行けたと安堵していたが年末頃から急遽システムを352に変更。ヴァレのポジションは大外のWBになってしまった。大外で幅を取るだけの役割を与えられ、彼の良さが全く活きない形に。
更にその後、爆速FWを走らせるカウンターサッカーに転向。この時点でレバンテを追うのをやめた。
この記事を書くにあたって直近のスタッツを軽く調べたところ、試合にはあまり出れていない様子で残念。
プレシーズンはトップに帯同する筈なので、どこまでアピールできるか楽しみだ。

CB 編

10.Mikayil Faye     19歳  9.5/10

名前の正しい発音はなんですか②


今シーズンからBチームに加入したセネガル人DF。強い速い高いの三拍子揃った圧倒的なフィジカルを駆使した対人性能は3部において明らかに突出しており、本人も飽きているのではないかと心配になる程。
また、傑出した身体能力に加えて述べたいのがDF離れした基礎技術と配給性能の高さである。驚異的なキックレンジに加え、相手プレスを窺いながら自らボールをキャリーすることもできるのでビルドアップへの貢献度合いは計り知れない。
更には攻撃性能も高くシュートの威力がキャノン砲。CBながらチーム内4位の4得点を挙げている。
クバルシと並べる未来も面白そうだが、攻撃性能を活かせる左SBで使うのも有りだと思っている。
欠点といえばSBやGKに解放した後のリポジが遅い時があるのと、持ち前のフィジカルを過信し過ぎるが故なのかマーク対応が疎かになる時がたまに散見されるところか。たまに見られる彼の技術からはあり得ないような不用意なロストもそうだが、自分の能力を過信してしまうところがある。とはいえ、3部が彼にとってぬるま湯になっているのも事実だ。
先日のラスパルマス戦でもトップチーム招集されているので今シーズン中にもトップで観られるかもしれない。
そしてアラウホ先輩に怒られて欲しい。

やっちゃってください先輩🫡

11.Andres Cuenca  16歳 8.8/10

それどういう感情?

16歳にしてU-19で不動のスタメンの座を掴み取った左利きCB。
目が隠れるほど前髪が長く感情をそこまで表に出さないため、何を考えているのかよくわからない。
スペイン人CBらしく足元の技術に優れ、決して強靭なフィジカルを持っているわけでは無いが3歳上のカテゴリーにおいて安定的な守備対応を見せている。
以前はもう少し自らドリブルで持ち上がって欲しい時もあったが最近はそれも向上し(精度については改善の余地あり)バランスの取れたCBという印象。
課題としてはフィードの質だろう。思い切り良く逆サイドに展開するも、届かずに跳ね返されることが多々ある。
また、平均値には僅かに達していないであろうフィジカル面での懸念も避けることはできない。
同じような体型でも保持で狂ったようなバリューを出せるクバルシと比べると、どうしても見劣りしてしまう。
下のカテゴリーではコンビを組んでいた強大なライバルと再びタッグを組むためにはトップチームまで昇り詰めるしかなくなった。
この2人をカンプノウのピッチで見ることができれば胸熱だ。

12.Eman Kospo  16歳 8.5/10

スイス行きたいけど物価が…

今シーズンからU-19に加入したスイス人CB。
初めて見た時の感想は木偶の棒だった。
16歳にして191cmの巨体と力強さには目を見張るものがあるが、なにせ遅いし下手。
後ろから相手FWに抜かれることはざらにあるし、基礎技術も配給性能も他のカンテラーノと比べると悪い意味で目立っていた。
そこから数ヶ月、ボール扱いに関しては成長を感じられる程上達し、自らドリブルで持ち上がることや縦パスを指す回数も増えてきた。キックレンジの広さは持ち前のフィジカルのおかげだろう。
きちんとコンタクトできれば競り負けることはまずない。
それでもスピードの問題だけは未だに大きな課題である。難しい問題なのは重々承知しているが、もし改善できれば評価も一変するだろう。
絶賛成長期の最中だろうし、今後の変化に期待したい。

13.Andrea Natali 16歳 8.7/10

俺カルボナーラ作るのめっちゃうまいよ

180後半の身長と高い技術を持ち合わせた期待のイタリア人CB。
特に速さと強さを兼ね備えているわけではないが、プレーを先読みしたポジション取りで相手の縦パスをカットすることや、最終ライン裏へのスルーパス/フィードの対応が上手い。
また、ビルド能力に優れ、両足を使った高精度な長短のパスを通したり状況に応じて適切に持ち運ぶこともできる。たまに出張先で迷子になるところは可愛げがあって良い。
課題としては身体能力に優れたFWを相手にしたときの対応だろう。止まっている状態では特に問題なさそうだが、よーいどんのスピード勝負になると後手に回ることが多い。
線の細さも気になるのでイタリア人らしく沢山パスタ食べろ定期。

14.Leo Saca  17歳 8.6/10

ご両親に宜しくお伝えください

ナタリと共にU-18でコンビを組む左利きCB。安定と書いてレオサカと読みます。
能力パラメータが綺麗に分布しており、保持も非保持も全ての項目で常に80点以上を出してくれる。
ナタリとコンビを組むU-18はビルドアップも守備も本当に安定しているので見ていて気が楽。
しかし安定してるだけではトップへの道のりが厳しいのも事実で、特に守備対応の強度は向上させる必要があるだろう。
パラメータの面積を増やしていき、ゆくゆくはラリーガのスペイン人によくいる”足元はうまいけど守備は並のCB”が彼の成功像になるのではないかと予想。
詳しくは後述するが、ラマシアを追いたいファンは彼のご両親にお世話になっている。

15.Chadi Riad  20歳 9.0/10

イスコにあの髪型やめて前のに戻せって伝えて

昨シーズンにトップデビューを果たしたが昨夏、€7mの買い戻しOP付きでベティスに移籍したモロッコ人CB。
20歳ながら現在は左CBとしてスタメンの座を掴み取っており、モロッコ代表にも招集されている。
特徴は高い身体能力と足元の技術だ。
ユース年代ではフィジカル的に優れているが守備対応は雑で、特に相手FWとの距離感が遠く身体能力の割に後手を踏むことが多かったが、近頃はそれも改善しリーガレベルのCBへと成長。
所謂、対人系CBとしての地位を確立しつつある。
懸念点としては、足元の技術は高いが縦パスを刺したり自ら持ち上がることは少ないのでビルドアップでの貢献度は低いところ。最近のアラウホの方がうまくやる。
また、フィジカルに関しては高い水準にあるが、超一流というほどではないため先日のジローナ戦ではドフビクの対応に苦労していた。(あれとやり合えるのはリーガではアラウホ、リュディガー、ミリトンくらいだろう)

彼の買い戻しOPを行使できるのが25年の夏、つまり1年後であるのは個人的に好意的に考えている。アラウホ、クリステンセン、クバルシの3枚(クンデはSB。異論は許さない)にBから上がってくるであろうフェイの方が期待値込みの序列としては上になると予想されるので、スタメンとしてもう一年リーガで出続けることの方が本人にとって有益だ。ゆくゆくはプレミア方面へ上手く換金されるのではないかと思っている。

16.Baba Kourouma  14歳 ?/10

兄のようにはなるなよ

ボールの扱いが非常に優れており、基礎技術の高さはCBとして臨界点だと思っているグヴァルディオルやカラフィオーリの域。
最終ラインからの配給にも優れており、広いキックレンジも相まって近くより遠くの選手に意識的に刺してくれる印象。
身のこなしも非常に軽く、解放した後のリポジもサボらない。
ちなみに兄がモリバ。
評価点を明記しなかったのは参考試合が少ないため筆者の彼への解像度が十分ではないからだ。
有識者によれば中盤でプレーすることもでき、そちらの方が良いという意見もある。彼の技術を考えれば十分ありえる話だろう。筆者が見た試合ではほぼ全てCBとして出場しており、尚且つバルセロナ側が殆どボールを保持していたためビルドアップ以外に関する深い意見を述べることはできない。(20分ほどDMFをやっている試合を見たが、ちゃんと上手いなという印象)。
代わりに筆者が常日頃、ラマシアに関してお世話になっている方が書いた素晴らしい記事を参考にして頂こう。今回の記事では扱わなかったRoberto Tomas やRaul Expositoなどのプロスペクトについても取り上げてくれているので是非読んでみて欲しい。


DMF編


17.Pau Prim   18歳 8.9/10

関西大文学部の熊谷学而准教授によると、かわいい音声とは「パ行」と「マ行」に分類される「両唇音」らしい

名前を聞いたことのあるバルセロナファンも多いであろう期待のDMF。
ラマシアにおいても特に際立つ基礎技術はまさに超一級品で、利き足は”おそらく”右であるが左足でも右と見分けのつかないキックを繰り出せる。
中盤の底で常に首を振りながら360度を認知し適切なポジショニングをし続けながらボールを受けると、そこから前線へのスルーパスを刺すことも自ら持ち上がることもでき保持局面においての能力は天才的であると断言できる。
また、自らを囮にする事でスペースを創出し、ユースリーグで後述するベルナルとドブレのような形を組んだ時には動きたがる相方を活かすような気の利いたプレーも行う、本当に賢い選手。
もし彼を保持局面のみで評価して良ければ9.5点を付けただろう。それでも8.9点という点数をつけた理由には守備強度の低さがある。
守備意識はとても高いが体格は小柄でDMFにもCB並みの守備強度が求められるようになった現代サッカーにおいては無視することができない要素だ。
それでも保持局面については素晴らしいのでトップチームで活躍する可能性は大いにあるだろう。もしかしたらポジションを一列前にすることもあるかもしれない。
フィジカルが全てでないことを証明して欲しい、と切に願っている。


18.Marc Bernal  16歳 9.2/10

そのタトゥーかっこいい。ディバラも入れてるやつ

次期ブスケツ後継者の筆頭だったプリムを突如押し退け、U-16からカテゴリーを2つ跳ばして一気にBまで辿り着いたDMF。
成長期で身長が190cmまで伸び、カンテラーノDMFにありがちなフィジカル問題を解決できてしまった。
シーズン序盤は線の細さが目立ったが、最近は筋肉量が増えてきた印象。
中盤の底での振る舞いはもちろんのこと、元々IHだったこともあり、チャンスがあればボックス内にも顔を出す程プレーエリアが広い。
プリムと比べるとかなり動的であり(プリムもブスケツと比べたら動的だけど)、静的を求められるバルセロナのDMFとしてはそぐわないという意見もあるが、トップでデヨングが活躍してるのを見ると心配する必要はないだろう。
懸念点は若干の守備意識の低さが窺えるところか。16歳なんだからもうちょっと必死になってもいいんじゃない?と思うことがある。
利き足とは逆の右を使うのを嫌がる傾向も。
似たようなプロフィールで同じく期待されながらも売却されたニコゴンザレスが頭に浮かぶが、今度こそトップに定着して欲しい。
今夏のプレシーズンでトップ帯同するはずなので今から楽しみにしている。


19.Marc Casado  20歳 8.8/10

最近の髪型、後頭部どうなってるの?

既にトップチームデビューは済ませており、ベンチ入りした回数も数多くあるが出番のほとんどない苦労人。
中盤の底で正統派DMFとして適切に振る舞えるが、懸念点はやはりフィジカル面であろう。身長は170代前半で体の線も細い。先日のアトレティコ戦で終盤に投入された時は子供が1人混じっているかのように見えた。
そんな彼にもトップチームに残る方法が1つ残されていると筆者は考えており、それはイニングイーターである。
厳しい話だが、彼がクラシコやCLなどの大舞台にスタメンとして名を連ねることは想像し難い。それでもスカッド編成をする上では控えを甘んじて受け入れ、尚且つ一定水準以上の活躍をしてくれる選手は必要不可欠だ。セルジロベルトが良い例だろう。
クラブ愛があり、キャプテンシーがあり、後輩たちから弄られるほど好かれている彼ならそんな選手になってくれるはずだ。
来シーズンはローンに出るのも一つの手かもしれない。

20.Tomas Marques   17歳 8.9/10

わー🫶🏼

筆者の推し。
よくあるラマシアの注目選手紹介で特集されているのを見たことないのが不思議なくらい、個人的にとても高く評価している。
1番の特徴は高いフィジカル能力によるフィルター性能だ。身長も目測185cmほどあり骨格もしっかりしている、ラマシアには珍しいタイプのDMF。
彼がいると中盤の強度が段違いに上がり、防波堤として相手を潰し続けてくれる。
前述したプリムやカサドがフィジカル面で苦労していることを心底理解している分、この選手には期待してしまう。
1番の特徴は先程述べた非保持であるが、保持局面において特に文句のない振る舞いをしてくれるのも嬉しいポイント。
静的なピボーテとして中盤の底からあまり動かずにボールを捌き続ける。
フィジカル的に優れた2人を比べると、動のベルナルと静のマルケスといったところか。
“非保持局面にも優れたブスケツ”とかいう最強DMFにならないかしら、などと妄想している。

21.Pedro Rodriguez  16歳 8.8/10

だいぶ老け‥大人びてるよね

特にオンザボールにおける振る舞いはプリムと並んでラマシア屈指の実力。自らがボールを運んでゲームメイクする能力ならプリムより上だろう。
基礎技術は一級品で、特にターンとインサイドでのダイレクトパスは芸術的だ。
身長以外のフィジカル要素は充実しており小柄ながら体格はがっしりしていて、コンタクトで負けることも少なく守備意識も高い。持ち上がる際のドリブルスピードも魅力的で、カンテラーノには珍しく中距離砲も撃てる。キックレンジも広い。
改善点としては首を振って周りの状況を把握することが他のプロスペクトと比べると劣っているように見えることだ。特にホルダーからボールが離れたタイミングでボールから目線を切れない場合がある。このせいか背後の状況を認知できていない時があり、これはDMFとして改善しなければならない問題だろう。

22.Dani Avila 17歳 8.5/10

メッシとスアレスとの写真好き

わかりやすく言えば1.5割引プリムみたいな選手。
前提として伝えておきたいのは彼ももちろん優秀な選手であるということだ。それでも選手としてのプロフィールがプリムとモロ被りで、歳も1つしか変わらない故にどうしても彼との比較になってしまう。
特に優劣が浮き彫りになるのは状況認知の速さだろう。
例えばCB→SBにボールが渡ったタイミングでのサポートや、IHがサイドフローした時の空いたスペースへの列上げがプリムと比べると半テンポ遅れているように見えてしまう。(なんなら実行しない場合もある)
これはあくまでもトッププロスペクトと比較した場合の評価であり、彼自身も有望株の1人として数えられ、世代別🇪🇸代表にも選出されている。試合を見れば彼がちゃんと上手いことがわかるだろう。
怪我で長期離脱していたが、つい先日ピッチに戻ってきたという報道があった。おめでとう。

IH(CMF)編

23.Guillermo  Fernandez  15歳 9.4/10

年齢詐称してる?

通称”ギジェ”の名前で知られる神童。
丁度先日、ヤマルの記録を抜き史上最速の若さでBチームデビューしたことでバルセロナ界隈では話題となった。
特徴はなんと言っても年齢離れしたフィジカルだろう。目測ながら身長も180cmを超え、4歳年上であるU-19の試合においても対等にやり合える力強さと、相手を置き去りにするドリブルスピードはフレンキーデヨングを彷彿とさせる。
昨季所属していたU-16ではチーム内得点ランキング2位になったこともあり、現在でもボックス内に侵入してそのまま得点を決めるなど得点能力にも長けている。
また、守備意識と強度共に非常に高く、ロストした直後のネガティブトランジションから即座に奪い返すことも多い。
改善点としては前への意識が強すぎてテンポ管理が出来ない場合があるのと、押し込んだ時の振る舞いだろう。ブロックを前にした時のカンテラーノらしい細かいプレーは周りと比べると少し見劣りしてしまう。
ビルドアップ時に6番の位置まで降りてきてボールを受けた際、その位置からドリブルで正対した相手DFを抜いてボールを前進させようとする癖は改善したほうがいいのかは分からない。これで抜いてしまうのは凄いが将来性に欠けるのでは、とも思ってしまう。
また、プロの世界でもこのフィジカル優位のプレーが通用するのか、という懸念点もある。
既にヤマルとクバルシに次ぐ才能と位置付けられ早くトップチームで見たいファンの気持ちもわかるが、最近の主戦場はU-18であり試合を見ていると彼なりの苦労も伝わってくる。焦りは禁物。(←ヤマルとクバルシにも同じこと思ってたけど、こっちの心配なんかどこ吹く風でスター街道走っていっちゃった。)

Bチームの直近2試合に途中出場して普通にプレーしてた。もう怖いよ…


24.Alex Garrido  20歳 8.9/10

早く怪我治せよ❤️

昨シーズンにトップチームデビューは済ませているがCasadoと並んで中々出番が貰えない苦労人の1人。
基礎技術と戦術理解度が高く、カンテラーノらしい正統派8番を高いレベルでこなすことができ、守備においてもサボることのないガッツに溢れた熱い男である。
トップに招集されても出番がないのは単純にトップチームが薄氷を踏むような試合ばかりやっているせいなので彼の問題ではないだろう。
ペドリ、ガビ、デヨングが怪我していたタイミングで彼自身も怪我で離脱してしまったのは本当に運がない。
もしBチームが2部に昇格することができなければ(現在首位と1pt差の2位)来季はローンに出て試合経験を積んで欲しいと思っている。

25.Crist Munoz  19歳 8.4/10

髪型のセットのやり方教えてほしい

常に安定したプレーを見せるU-19のお兄さん的存在。
水準以上の技術をもち守備もサボらず8番としてライン間で適切に振る舞えるが、特にこれといった特徴が無いのが課題。
ここから何か尖った武器を持つことは考えづらいので、能力パラメータの綺麗な円をどこまで大きくできるかが今後の躍進の鍵になってくるだろう。
Bチームデビューは果たしているが、今夏にBへ昇格できるかどうか注目だ。



26.Quim Junyento  17歳 8.8/10

リスみたいでかわいい

高い基礎技術でビルドアップからチャンスメイクにまで貢献するIH。
身長は170前後と今回紹介する選手たちの中で最も小さいが、体幹はしっかりしていて体の軸がぶれることがほぼない。
常に首を振りながら周囲を確認し続け、味方のホルダーに対して解放先の指示を与えるなど、非常に賢い選手であることが窺える。
必要に応じてDMF横に降りてきてビルド補助をするのは当然のこと、自らがホルダーとなって攻撃のテンポを調節したかと思えば急激に縦パスのスイッチを入れ、自分もポケットに侵入し再度受け直してチャンスを創出するなど攻撃の全権を握ることが多い。
保持についての文句は特にないため、課題はやはりそのフィジカルにあるだろう。
いくら体幹がしっかりしているとはいえ、大柄な相手にしっかりとコンタクトされれば流石に分が悪い。
それでもIHというサッカーにおいてフィジカル要素を最も無視できるポジションであるので、そこまで気にする必要はないかもしれないという筆者の希望的観測がある。

27.Ebrima Tunkara  14歳 9.7/10

年齢詐称してる?②

噂は聞いていたが実際に試合を見たところ、文字通り驚愕した選手。
特徴はその万能具合にある。
サッカーにおいて「万能」という言葉は特徴のない選手を雑に形容するために使われることも多いが、エブリマに関してはその限りではない。
文字通り、全ての能力が振り切っている。
非常に高いレベルでボールを扱うことができ,2ライン間のレシーバーとして1stタッチでボールを適切な場所へコントロールすると、急がずテンポを調節しながらボールを運ぶ。自分で抜くこともできるだろうに無理せず周りに展開する大人びたプレーも。
フィジカルも非常に優れており、コンタクトの強さやヘディングの高さ、ドリブルのトップスピードなど、どれをとっても高水準だ。お父さんが2m近くあるらしいのでフィジカルに関しては将来が約束されたようなものだろう。
非保持においても決してサボらず、強度もとても高い。彼が中盤で刈り取ってポジトラへ移行する場面が本当に多い。
そして筆者が特に驚いた点は彼のスペース認知能力と、その判断速度の速さだ。
試合中に彼1人を追い続けていると常に適切なポジションを取り続けていることが見てとれ、その範囲はDMF脇から敵陣ポケット内まで多岐にわたる。極めて賢い選手だ。
キャプテンを任されるほど真面目で、SNSは親が管理しているという徹底ぶり。
先日の大会ではユース年代の強豪であるジローナ、エスパニョール、ポルトのU-16を相手に2歳年下ながら明らかに突出した活躍を見せていた。
ヤマルを超えた評価点をつけたが、エブリマがこの記事を読む可能性は低いので好きなだけ期待させてもらう。
本当に怪我だけはしないで欲しい。

28.Nil Vicens  16歳 8.3/10

その髪型はありなの?

去年、ジローナから加入した選手。
WGの位置で出場することもあるが、本職はIHだろう。筆者が見る限りだが先日の大会含め、何故か順足WGとして出場していることの方が多いのはあまり理解できない。
フィジカル的に優れており、コンタクトで競り勝つ力強さと前への推進力を併せ持つ。身長もIHにしては大きい。
スペースがある場所では輝くが、ビルドアップとチャンスメイクなど、所謂両ボックス近辺での貢献度合いは物足りなさを感じる。
WGとしての将来性は個人的に殆ど感じていないので、欠点を克服するためにもIHで使って欲しい。

29.Pol Bernabeu 16歳  8.6/10

名前がアウト。カンプノウ家の婿養子になりなさい

筆者が見た試合では殆どSBで使われているが、IHで使った方が格段に輝いていたと思うためこのポジションに分類。
彼をU-18で見始めた時はフィジカル的素養も乏しく保持局面で特に何かをする訳でもない、とても平凡なSBという認識だった。
そのためU-16のIHとして別人のようなプレーを見た時は驚いた。
まず思ったのは、お前めちゃくちゃ上手いんだなということ。
SBで起用されていた時のCBから来たボールを横なり縦なりに繋ぐだけの簡単なお仕事では気付かなかったが、狭いスペースで敵に360度を囲まれたIHでは彼の基礎技術の高さが際立った。
スペース認知にも優れており、秀逸な列上げやポケット凸を見せることもある。
ギアの変速やボールタッチ、細かいターンを駆使した持ち上がりも武器の一つであり、優秀な(6-)8-10invという印象。
ちなみに先日のU-16🇪🇸代表では左SBとして先発出場していた。
筆者の見る目がないのかもしれない。

30.Noah Darvish  17歳 8.8/10

ロナウドに似てるってよく言われない?

フライブルグの下部組織から移籍金€2.5mの鳴り物入りでやってきたドイツ人。
中盤の才能の宝庫であるバルセロナに来るより虎の子で育ててくれるであろうフライブルグで研鑽した方が本人の成長には良さそうに思えたが(昨夏のプレシーズンにはトップ帯同したという情報も見た)本人が根っからのバルセロナファンらしい。

うん。かわいい


加入当時は16歳でこれだけ騒がれてるのだからU-19に加入するのだろうと思っていたらまさかのB登録。
期待に胸を膨らませながら見た試合は散々なものだった。
ポジショニングは常に迷子だし、難しいプレーを選択したがりロストを多発。
U-19のUYLならある程度やれるのかと思いきやそんなことは無く、年下のギジェの方が序列が上。
クーリングオフできるのかどうか、消費者ホットラインに電話をかけたかった。
そんな中でU-17W杯にドイツ代表のキャプテンとして参加し、見事優勝。
2,3試合見た程度だが、筆者が見たことのない生き生きとしたプレーを見せており、単純にスペインサッカーが合わないのかと思っていた。
それでも年明け頃から徐々にチームへ適応し始め、不用意なロストも減少。元々の持ち味である両足から繰り出されるキックと恵まれたフィジカルからなる推進力を武器に17歳ながらBチームで大きな穴にならない程度の働きは見せている。
まずはあの下手くそな守備をどうにかしてほしいところ。
手のひらを返す準備はできています。

WG編

31.Juan Hernandez  16歳 8.9/10

やけに浮遊感があるのは〜☁️

偽9番からIHまで幅広いポジションをこなすことができる右利きWG。
左WGとして幅を取ることもあるが、基本的にはハーフレーンの2ライン間を生息地として好み、狭いスペースでも喜んでボールを要求する。
大外でボールを受けると内側へカットインしていき、味方との細かなパス交換でペナ内部への侵入が得意。基礎技術に特に優れており、トラップからのターンがとてもスムーズ。
最近はアジリティの向上も見られ、ドリブルのキレが増してきた印象。
現在のU-19には何人か16歳の選手が在籍しているが、フアンはその中で最も活躍している選手だろう。
守備もサボらず、これといった欠点は特にないように思える。
強いて言えば、カットインから自らゴールを決められるようになると更に階段を1つ登ることができる筈だ。
最近は徐々に得点数も伸ばしており、トップチームは左WGが枯渇しているので彼には期待したい。


32.Arnau Pradas  18歳 8.4/10

彼女めちゃくちゃかわいいよな。誰か紹介してよ

かつてヤマルと共に両サイドを蹂躙していた左利きWG。あの時の相棒は今や世界のスーパースターとなる中で、本人は複雑な思いを抱いていることだろう。
主な課題はアジリティなどの瞬間的なパワーが以前に比べて衰えたように見えるところ。周りが追いついた、と考えるのが正しいのか。
とは言え、基礎技術は確かなものがあるのだから肉体改造などで以前のようなスピードを取り戻せればもう一度輝くことができるかもしれない。
同い年で同じポジションにダニロドリゲスという強力なライバルがいることをプラスに捉えて欲しい。

33.Pedro Fernandez  16歳 8.6/10

誰かに似てるんだよな〜

基礎技術が非常に優れた選手。
以前はWGで起用されていたが最近はIHでの出場も増えてきており、いずれはまたWGの位置に戻るのではないかと予想している。
2ライン間で受けることを好み、技術の高さは一級品で細かいドリブルもチャンスメイクもお手のものだが、シュートが中々枠に飛ばない。
このままだと上手いだけで結果がついてこない何処かの天才児🇵🇹みたいになってしまう。(雰囲気まで似てるし…)
“上手いけど残念な天才”になる臭いがぷんぷんする。
これを払拭するには得点という形が1番わかりやすいだろう。そうすればモデルの彼女もできるかもしれない。

34.Dani Rodoriguez  18歳  9.2/10

お願いだから早く延長して。靴ぐらいなら舐めるから

小柄ながら爆発的なスピードを武器に持つ快速WG。細かいタッチやステップも相まって大抵のDFなら1発で抜いてしまう。適切に正対することができ、内側へのカットインも縦突破からのクロスも上げられる。
守備もサボらずブロックに組み込むことも可能。
スカッドの人員構造から左WGをやらされることが多いが本職は逆足サイドの右WGだろう。
今シーズンのUYLでも大車輪の活躍を見せた。自陣から単騎で爆走してそのままゴールを決めたプレーが二つほどあったはずなので興味がある方は調べてみて欲しい。
契約が今夏で一度切れるがクラブ側が1年延長OPを保持している”らしい”ので、そうならさっさと行使しろよ!!と思っている。
この才能を流出させるなんてことはあってはならない。
最近はBにも招集されているのでプレシーズンではトップ帯同もあるのではないかと期待している。

丁度この記事を公開する日の朝、退団濃厚の報道が出た。しばらく寝込むかも

35.Sama Nomoko  16歳 8.6/10

日本の病院に来たらノモコサマ様〜〜だね

恵まれたフィジカルで大きなストライドを武器にするWG。
手足が長く、ドリブル時にボールを動かす幅が広い。周りとの連携にも優れており、自分のエゴとのバランスが丁度良いと感じている。バックドアの試行回数も多く、コンタクトにも強い。非保持も特に文句はない。
課題は足の長さ故かドリブルのタッチが少し大きいように感じるところと、適切に正対することをそこまで得意としているわけではないところだ。身体的な素質はあるのだからもっとドリブルに振り切ってもいいのではないか。
順足サイドで使われることが殆どだが筆者は順足WGアンチなので逆サイドで育てて欲しいと思っている。


36.Pablo Torre  21歳 9.3/10

一緒にミチェルに文句言いに行こうぜ

今季はジローナに1年限りのローン移籍をしており、ジローナが採用する325(あの配置が果たして325なのかという議論は省略する)のシステムにおいてIHのポジションで出場。序盤は殆ど出場機会が得られなかったがシーズンが進むと徐々にそれも増加。特に前半のアトレティコ戦では才能を爆発させMoM級の活躍を見せた。(なぜか最近は再び出場時間が減っている)
特徴は基礎技術の高さと攻撃時における判断の速さだろう。特にターンに関しては超一級品で、個人的にフォーデンやペドリに匹敵すると思っている。
2ライン間で動き回り、常にレシーバーになり続けることができる上に、そこからの展開力も魅力的だ。
バルサに在籍した昨シーズンは433のIHが主戦場だったが、ジローナが採用している325のIHの方がゴールに近く、弱点である非保持の強度/意識の欠如を比較的無視できるので相性が良い。(守備意識に関しては少し改善した印象)
監督であるミチェルからの指導が素晴らしいのも間違いないだろう。チームとして明確な決まり事がいくつか存在し、交代で入った選手も律儀にそれを実行する戦術の浸透具合からもそれは窺える。
ツィガンコフやポルトゥが上手いのは重々承知しているが、もう少し出場時間を貰えてもいいのではないかと思っている。
来シーズンに関して彼の報道は未だ出ていないが、売ったところで現時点では大した金額もつかないし、他に碌な補強もできないのだから個人的には手元に残したい選手だ。


CF編

37.Marc Guiu  18歳 8.8/10

坊主はやめて欲しかった…


特筆すべき点はやはり190cm近い恵まれたフィジカルだ。前線で相手DFを背負うパワーとDFラインの裏へ抜け出すスピードを持ち合わせ、幼少期からのラマシア仕込みによる賜物か足元の技術も申し分ない。ボックス外からの中距離砲も撃つことができ、相手最終ラインへのプレスもサボらず走り続ける。
ここまでの情報だとまるでハーランドのように思えるかもしれないが、残念ながらそうはならない理由の一つに決定力不足がある。ビッグチャンスを不意にしたことは数えきれないほどあり、ストライカーとしては致命的な問題だ。
だからこそ彼がデビュー戦であのワンチャンスを沈めた時は「あのグィウが??」と、喜びより驚きの方が大きかった。
ユース年代ではチームとしてサイドよりは中央を崩す意識が強く、押し込んだ局面では密集地帯に消えてしまうことも。
わざわざ無理なドリブルで抜きに行ってロストする部分も改善したい。
それと、予想もしていなかったスペースに走り込む様な”得点の嗅覚”をあまり感じない。理論ではなく才能のようなものだろうが、なんとか伸ばすことはできないものか。
デカくて強くて速い9番というのはいつの時代も重宝されるもので,純正9番の枯渇が叫ばれる昨今の傾向であれば尚更だろう。
わかりやすいタスクを与えれば輝けるはずだ。

38.Toni Fernandez 15歳 9.2/10

親戚の集まり、自分も参加していいすか?

果たして彼の適正ポジションはどこなのか、ラマシア愛好家の間では議論が絶えない天才。
下の年代ではゴールを量産し続けてきたが、近頃はそのペースに陰りが伺えるのもこの議論を加熱させる要因だろう。
そもそも3歳も飛び級しているカテゴリーで問題なく試合に出続けているだけでも十分な評価をされるべきであるが、サポーターは天才に多くを求めてしまうものだ。
彼の特徴は(抽象的な表現で申し訳ないが)圧倒的な攻撃センスである。
適切なスペースを認知して走り込むことができ、絶妙なボールタッチと前への推進力に加え、類稀なるシュートセンスを武器にCF,WG ,IHを高いレベルでこなす。
守備も決してサボらず、馬車馬のようにGKへプレスをかけにいく姿勢には頭が下がる。
ここで冒頭の議論を再燃させよう。果たして彼のポジションはどこなのか。
CFにしては小柄だ。
WGは?
特段ドリブルやスピードに優れているわけでもないし、彼は中央で使いたい。
ならばIHではどうか?
あの攻撃センスはゴールに近い場所でこそ輝くのでIHの位置では少し遠い。
そうなると答えはシャドーストライカーになってくるだろう。例えばトップチームが採用している3241の右IHは彼の天職のはずだ。
ところがラマシアでは各カテゴリーで伝統の433を採用しておりシャドーというポジションが存在しない。
つまりこの議論は彼がトップチームに上がってくるまで終わらないという事だ。
なんにせよ、彼が素晴らしい才能であることに疑いの余地は無いし、シャビが15歳の彼を複数回トップチームの練習に招集していることからもそれは分かるだろう。

真ん中にいるのはポチョくん


彼がどのような選手になっていくのか、期待に胸が膨らむばかりだ。
余談だが前述したギジェとは従兄弟である。ちなみにギジェの弟もラマシアに在籍している。

39.Oscar Gistau  16歳 8.8/10

しゅわっち!って感じ

3歳上のカテゴリーでも順調に得点を重ねる期待のCF。
おそらく180cmは超えているだろうがフィジカル的な力強さはそこまで感じない。それでも適切なスペースに走り込める嗅覚とワンタッチで決めきる決定力を武器に16歳ながらU-19でも出番を増やしている。
基礎技術に優れており、ビルドアップの出口として顔を出した後のボールコントロールやレイオフ、エリア内を攻略する際の細かいパス交換もお手の物。ラインブレイクも頻繁に行い、とても器用なCFという印象。
基本的には周りを使うプレーを得意としているが、たまに見せるストライカーらしいエゴイズムにギャップ萌えしてしまう。
守備も決してサボらず、当然のようにCB→GKへの2度追いに奔走する。レヴァンドフスキには見習ってほしい姿勢だ。
これと言った欠点は無さそう。線の細さは気になるが、成長期なのでそこまで問題ではないだろう。ご飯定期🍚
あと5cm伸びて欲しい。

40.Pau Victor  22歳 8.8/10

来てくれてめっちゃぐらしあす

今シーズンよりジローナからレンタルで加入し、フェイと並んでBチーム快進撃の立役者の1人。
本職はCFだがWGとしてもプレーことができ、27試合で16G/4AとBチームの傭兵としては十分すぎるほどの数字を残してくれている。
足元の技術が非常に優れ、逆足で綺麗なクロスを上げることもできる。
足も速く、ラインブレイクで裏への抜け出しからの得点や、WGで出場した際のサイドでのドリブル突破からチャンスを創出。
身長も186cmとまずまずの大きさで、ヘディングも上手い。
トップチームでのデビューがあるかはわからないが、もしBチームが2部に昇格することができれば間違いなく買い取る必要があるだろう。€3mの買取OPを行使できる金がバルセロナに存在するかは不明だ。
前述したギジェムは実弟。


総評

ラマシアは特に中盤の選手の育成に定評があるが、各カテゴリーの選手の層や才能の度合いを見てもこれは正しいだろう。
その中でもイニエスタ、シャビ、ブスケツのような上手くて賢い選手に加えて、フィジカル的素養に富んだ中盤の選手が増えた印象だ。この類の選手でトップチームに上がってきたのはモリバとガビとニコ以外知らないので楽しみにしている。(モリバとニコも定着は出来なかった)
SBについても言及したい。
エスパルトの説明でも述べたが、中盤として振る舞えるSBが増えている。
これはあくまでも筆者の予想だが、可変することが一般常識となった現代のSB事情による需要の増加と、可変先のポジションである中盤でも問題なく振る舞える技術を持った選手が豊富なラマシアとの相性が合致したからではないか、と考えている。
このタイプのカンテラーノに共通しているのは体格が漏れなく小さいということだ。
守備において特段大きなバリューを出すことができず、攻撃時に大外を駆け上がって相手SBを抜き去る、なんてことを得意としない彼らは、身体的欠点を極力無視出来るこのシステムに一縷の望みをかけているに違いない。
例に挙げたエスパルトは世代別代表にも選ばれており、この育成方針も少しづつ芽が出てきているのだろう。筆者は未だ見たことはないが、下のカテゴリーに中々の怪物達がいるという噂も聞いている。
逆に層の薄さを感じるのはWGだ。
ヤマルほどの才能とまでは言わないが、それでもやはり質不足は感じている。ある程度のフィジカル的素養が必要条件なのも理由の一つだろうが、大半はハーフレーンで受けたがり、大外で1on1を仕掛けることを好む選手はダニくらいだ。
トップチームではWGを含めたFWを南米などから外注するのが慣例なので、そんなものかと割り切っていたりもする。 

現在の15〜17歳(06〜08世代)には特に才能が集まっているように思う。
昨年のU-17W杯にはバルセロナから8人が招集され、ベスト16の日本戦ではスタメンに7人が名を連ねたことからもそれは窺える。(ベンチはプリムとポジションが被ったベルナル。)

上段左からベルナル、フォルト、グィウ、
クバルシ、クエンカ
下段左からフアン、プリム、クィム


ここ数年続いている下部からのベビーブームならぬカンテラーノブームはこの先も続くと思われるし、続かなければならない。


La Masiaの存在意義について

下部組織上がりの選手を中心としてサッカー界を席巻したペップバルサ以降、ラマシアはセルジロベルトがデビューした10/11を最後に、アンスファティがデビューした19/20まで長らくトップチームに確実に定着できる選手を輩出することが出来なかった。
それでも最近は毎シーズン、少なくとも1人はトップチームへの昇格を果たす選手を育て上げている。
育成方法の改善があったのだろうか。
筆者の予想はNoだ。単純に優秀な才能が集まっただけだろう。
もしラマシアの育成方法に何か特別なメソッドが存在するなら1番下のカテゴリーの子供達がそのままトップまで上がってくるはずだが、実際にはそのような選手は珍しい。他所から有望株を引き抜いて来るパターンが殆どであり、ファティもガビもクバルシもギジェもトニも途中からラマシアに入団した。
つまりラマシアがやっているのは有望株をかき集め、互いに切磋琢磨させながら更に一握りの天才を磨き上げていく作業であり、最も重要なのは集めてくる高品質な素材を無駄にしないことだ。
以前見た記事でラ•レアルの育成担当は
「我々の仕事は、育てることではない。芽を摘まないことだ」(意訳)
と言っていたが、正にその通りだろう。

La Masiaの存在意義とはなんだろうか。
それは勿論、自前で優秀な選手を育てることに他ならない。ソシオ制度を採用してオーナーからの資金注入が期待できないバルセロナは本来、財政的には弱いクラブである。
最悪な財政状況も相まって現代サッカーのマネーゲームには参戦できないのだから下部から優秀な選手を輩出するしかない。
「ラマシア上がりの選手はバルセロナでしか輝かない」などと揶揄されることもあるが、バルセロナでしか輝かない選手は優秀な選手ではない。そもそもトップチームの監督が数年ごとに代わり、採用しているシステムも異なるのだからこれは的外れな意見だろう。
本当に優秀な選手は監督が代わったとしても使われ続けるもので、例え他クラブに移籍してもそれは同じである。
近年トップチームに定着した選手が他クラブから多額の移籍金で勧誘を受けているという報道は後を絶たず、この様な報道が出るたびにバルセロナファンは肝を冷やしていることだろう。
しかしこれは現代サッカーに準ずる才能を輩出できたという証左でもある。
多くの下部上がりの選手がトップチームで活躍し、それがまた新たな若い才能をラマシアへと呼び込む。このサイクルはなんとしてでも維持しなければならない。

終わりに

筆者がラマシアを追うようになったきっかけは数年前、安部裕葵がBarca Bに移籍したことだ。
欧州サッカーを中心に様々なサッカーの試合は見るが、勝敗に一喜一憂するほどのめり込むクラブは1つしか持てない筆者の性格から、「FC Barcelona」 は特別で唯一のクラブだった。
ところがBarca Bも「FC Barcelona 」であることに気づいた。
U-19もU-18もその下のカテゴリーも全て「FC Barcelona 」だ。
特別な感情を抱くことのできる対象が増え、将来トップチームで活躍する選手を「育成する」という魅力にも取り憑かれた筆者は、見るカテゴリーの範囲がBチームから徐々に下へと広がり始めた。
出来ることなら1番下のカテゴリーであるpre-benjamin(U-8〜9相当)まで追いたいのが本音だ。

昨年、下部組織の試合を放送していた「Barca TV」がクラブの財政難により廃止され、下部を追いたい視聴者たちは視聴方法に悩まされている。
現在の主な視聴方法は以下のYouTubeチャンネルだ。(SACA FUTBOLは前述したレオサカのご家族が運営されている。)

これらチャンネルには本当に感謝しているのだが、放送してくれるカテゴリーと試合は限られている。(他に方法を知っている方はいつでもDMなどで教えて頂けると嬉しいです。)
先日開始したBarca TVに代わる配信サービス”BARCA one“では育成年代の試合も扱うらしいが、日本には対応していない。
公式オンラインショップ含め、極東ファンには世知辛い世の中である。

ラマシアについては一度何らかの形で記事を書きたいと思っており時間的余裕もあったためこの記事を書く運びとなったが、実際に書き始めてみると予想していたより選手のことを理解できておらず、過去の試合を漁ることになった。
特に意識して見ると今まで気づかなかった特徴も見つけることができ、大変楽しい制作体験であった。
また、今回の記事で取り上げなかった選手が数年後、大ブレイクするようなこともあるかも知れない。もしそうなれば、それはとても喜ばしいことである。
いくら世界屈指の育成機関であるラマシアの中で優れていようとトップチームに上がれるのは更に一握りの選手だけであり、今回の40人も今後、様々なキャリアを送ることになるだろう。
どのような形になろうと、彼らの幸多き未来を願っている。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?