30手前でモノづくりに対して思うこと。
気がついたら、開業届けを出してそろそろ2年くらいに差し掛かっている。
皆様のお陰で楽しく仕事ができ、何不自由ない生活ができている。ありがたい。
一方で最近いろいろと仕事に関すること・同人に関することに対して考えることが多くなってきた。
すぐ感情的にお気持ちツイートしてしまうのが僕の悪い癖なので
ここら辺でしっかりと今の気持ちを整理しておきたい。
クリエイターの自我が見えまくるので、苦手な方はそっ閉じして頂けると幸いだ。
同人だけに関わらず、モノづくりの根幹になる部分なので
皆さんの気づきのきっかけになれば幸いです。
まず初めに昔話をさせてほしい。
僕は社会人1発目、土木工事の現場監督として仕事をしていた。
給料目当てだったので、仕事自体は心底嫌いだったが学ばせて頂いた機会も多かった。
初めて現場に配属された時、その現場の管理技術(上司)が言っていた事は今でも覚えている。
「最後はね、みんな笑顔で現場を終えましょう」
この言葉には、モノづくり
とくにチーム製作の全てが詰まっていると思う。
この言葉を頭に置きながら、最後まで読んで頂きたい。
チームのモノづくりはリレー
一人ですべて完結する自己制作以外は、基本的にいろんな人が関わって一つの作品を作り上げることがほとんどだと思う。
そして大抵の場合、顔も合わせず、声すら知らない相手とチームを組んで作業をする場合が同人制作ではほとんどだ。
顔も名前も知らない、素性も生い立ちもよくわからない人間同士でバトンをつないでいく、透明なリレーをしているようなもので
透明がゆえに、チームで動いているという感覚が薄くなっていく。
でも、それぞれ一人ひとりがその意識を持とうが持たまいが
確実にリレーのバトンは回されていく。
リレーを早く走るコツは、綺麗にバトンを渡すことが大事だ。
次の走者が、しっかりと受け取りやすい形でバトンを渡したいものである。
バトンを拒否する勇気
チームのモノづくりで大切なのは
貰ったバトンの形が凹んでいたり、亀裂が入っていたりしたら
「声を上げてバトンを受け取らない」
これができるかどうかは、すごく大切である。
同人音声に関してリスナーは、その作品に対して受け身で
手を加えたくても加えることは叶わない。
(勘違いしてほしくないのだが、リスナーの意見になんでも従え、という事ではない。そのチームが納得するものが出来上がっているなら、それは自信を持ち、胸をはってリリースすべきだ。)
ミスに気付いた時に、それを軌道修正できるのは貴方しかいない。
そこに遠慮の心などは一切いらない。
このファクターに遠慮が出るチームは、チーム構成を今一度見つめなおしたほうがいい。
ただ、遠慮は要らないと言ったが声を上げるべきタイミングというものは存在する。
収録などは特にそうだが、現場に監督が立ち会っていてOKを出したらそれはもうOKなのだ。
後から修正してもらえるという気持ちは甘え以外の何物でもない。
もし修正を行う場合は、修正する側の負担などを考え、いい折り合いをつけるのが監督の仕事である。
また、制作側もリテイクがなるべく出ないように全力で仕事に挑む事。
次の項で説明させて頂くが、このリテイクや修正トラブルを低減する方法として
コンセプトをしっかり定めて、周知することは非常に重要だと思う。
このリレーのコースは難解
このリレーのコースは単純な校庭のリレーではなく
トライアスロンのように複雑である。
次のバトンを渡すのに想定以上の遠回をすることになるかもしれない。
遠回りを少しでも回避するためには、最初のリレーの渡し手が
「地図を渡すこと」
すなわち企画書など、その作品の主軸・コンセプトを明確にすること。
そしてその地図を受け取った走者は「絶対にその地図に従うこと」。
途中でコンセプトの軸をブラすことは、絶対にあってはならない。
余談だが、現場監督は「段取り屋」と呼ばれる事がある。
前準備がしっかりできる監督は、いい監督だ。
新人の頃はよく先輩に
「あんたその程度の準備で現場出るって、戦争にピストル持っていかんのと同じやで!」とよく怒られた。
最後はみんなで笑顔でゴールしようぜ
ごちゃごちゃ書き上げたが、これが一番言いたい事かもしれない。
冒頭の話だが、同じ上司に飲みの席でこんな説教をされた事がある
「へじちゃん!(余談だが社会人時代、何故かちゃん付けで呼ばれる事が多かった)
みんなが笑って終われる現場っていうのは、ただ単に楽しい現場ってことちゃうねん。
みんな笑ってるってことは、誰一人泣いてないねん
これは金も時間も、人間関係もそう。
途中ぶつかる事はあっても、最後にはみんなが笑って、やって良かったって納得できる仕事にせないかん。
それができる現場かどうかは
ほんまに現場監督しだいやさかい」
多分原文ママである。
この意味に関しては、僕からは多くは語らない。
この上司の言葉で、貴方は一体何を感じたでしょうか?
今のところ、僕が携わり最終的に音源をリリースして頂いているサークル様は
ちゃんとみんなが笑って終われている作品だと思っている。これは本当にありがたい。クライアント様にここで感謝の意を伝えさせて頂く。
(逆に、僕が途中で匙を投げたサークル様は今一度、チーム体制などを見直すのをオススメします。)
勿論、途中で意見がぶつかったりした事はあるけれど
それはむしろ良い事だと思っている
最後にみんなが笑えれば
その作品は花丸なのである。
そしてみんなというのには監督も含まれている。
少々現実的な話だが
土木工事だと施工管理が一番嬉しいのはやはり「金」だったりする
同人という流動的な世界で
音でどれだけ売り上げに貢献できるかはわからない
でも僕としては、採用していただいた監督さんに笑ってプロジェクトを終わって頂ける
そんなフォーリーアーティストでありたいと思う。
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