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【日本の家】内と外を区切らない自然素材の日本家屋の優秀さ

 我が家はいわゆる古民家である。縁側の網戸が老朽化してすき間だらけだったので、思い切ってアルミサッシごと入れ替えた。網戸が密閉できれば、虫などを気にすることなく窓を全開にできる。家の中を風が吹き抜けるのは爽快の一言。古い日本家屋は、部屋を仕切るものは襖だけなので、襖をすべて開け放つと家全体がひとつの部屋のようになる。だから風通しの良さは申し分ない。日本家屋は、外と内を隔てないというのが基本的な考え方のようだ。日本人の感覚では、外だ内だという線引きはあまりなじまないのかもしれない。

 江戸時代や明治時代に日本を訪れた外国人は、何もかも開けっぴろげで中まで丸見えの日本家屋に驚嘆したという。寒い冬でも外と内を隔てるものは障子一枚。夏はそれを全部開け放して、部屋は虫たちに開放し、人間が蚊帳の中に逃げ込んで寝た。縁側というスペースは非常に使い勝手が良い。ご近所さんがふらりと訪ねてきたような折、「家に上がってもらうほどではないが立ち話もなんだな」というときに縁側に座ってもらうのは具合が良い。縁側もまた外であり内でもある中途半端な場所だからこそ、そういうことができる。土間も同様の存在で、外でやるような仕事も雨の日は土間でできる。

 江戸時代の江戸の庶民は長屋の非常に狭い部屋で暮らしていた。しかし外と内をあまり区別していなかったので、街全体が自分の家であり庭だったのだろう。銭湯に行き、屋台でメシを食い、外で将棋を指す。窮屈な思いはしていなかったと思う。

 昔の日本の家に住んでみて、あらためて日本の暮らしの良さがあれこれ見えてくる。

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