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【物質依存からの脱却】カネやモノを追い求めれば幸せが遠のく。

 ここ数世紀あまり、カネやモノをたくさん持つ者が幸せであり、人生の勝者であるという価値観に支配された時代が続いている。腐ることのないカネは際限なく貯めることができ、欲望はどこまでも肥大していく。今世紀に入り、持つ者と持たざる者の格差がかつてないほどに大きくなってきた。フランスの研究グループの報告によると、今や世界の上位1%の富裕層が世界全体の4割近くの富を保有しているという。一方、世界人口の半分の人たちが、わずか2%の資産を分け合っているというのだ。世界には貧困が蔓延しており、状況は悪化の一途をたどっている。力のある者、強い者が奪い尽くすという原理で世界が暴走している。

 人類史上、かつてないほど物質的に豊かになった現在、社会が幸福に向かっていると感じている人が果たしてどれぐらいいるのだろう。カネやモノを追い求める限り、幸せが遠のいていくことに多くの人が気づき始めている。今、世界中で物流が停滞しており、モノが手に入りづらく、価格が高騰している。モノが動かなければ経済は止まる。本格的な不況がやって来て、収入が下がり続ける一方、物価はそれに反して大幅に上がっていくという最悪の状況=スタグフレーションがやってくる可能性もある。

 食料も危うい。日本の食料自給率は38%と言うが、化学肥料や農薬、種子、それに農業機械を動かす燃料はほとんど輸入に頼っており、価格も上がる一方だ。それらを輸入に依存する限り、自給率はゼロに近いと言っても良い。

 紙幣は紙きれであり、それ自体には価値はない。カネに価値があるのはそれに承認を与える社会システムがあるからだ。これから生き抜いていくためには、カネやモノへの依存を減らし、社会システムとできるだけ距離を置くしかない。今後、若い世代にもっとも必要とされるのは、生きていくために必要なものを自分で生み出す「自給」の力だろう。自給で自らの身を守り、世界を牛耳る1%が作った経済システムから逃れることが幸せへの切符となる。

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